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インタビュー

新生児感染症の予防―ワクチン接種のほか、日常生活でできる注意点とは

新生児感染症の予防―ワクチン接種のほか、日常生活でできる注意点とは
永松 健 先生

東京大学医学部附属病院  女性診療科・産科 准教授

永松 健 先生

新生児感染症を予防するためには何をしたらいいのか、一般の方の立場で気を付けるべき点について周産期関連学会から「赤ちゃんとお母さんの感染予防対策5ヶ条」が提案されています。その中ではワクチン接種、手洗い、体液に注意すること、食事で生ものを避けること、人ごみを避けることが示されています。そうした内容を踏まえ、東京大学附属病院講師・周産期病棟医長の永松健先生にお話をお聞きしました。

妊娠して産婦人科を受診すると、そこから分娩まで定期的に妊婦健診が行われます。この妊婦健診のシステムにそって、それぞれの時期に必要な検査をしっかりと受けることが大切です。

日本の周産期医療は世界の中でも大変安全性が高く、評価されています。これはすべての妊娠女性が妊婦健診をきちんと受けていることにより実現しているものです。妊婦健診の中で行われる様々な感染症スクリーニング検査は、母児感染により赤ちゃんに問題が発生することを未然に防いでいます。妊婦健診を受けずに過ごしている未受診妊婦はしばしば社会的問題として取り上げられますが、何に感染しているかもわからないまま分娩に臨むことは大変危険な行為といえます。

ワクチン接種は怖い・意味がないと考えられる方もいらっしゃるかと思いますが、妊娠中に感染症にかかることでお母さんのみならず赤ちゃんにも影響が出る危険性を考えると、ワクチンの接種は母児感染を防ぐためには大変有効性の高い方法です。ワクチンには妊娠中に接種できるものと、できないものがあることを知っておく必要があります。

病原性を低下させた病原体そのものを打つタイプのワクチンは生ワクチンと一般的に称されます。生ワクチンには風疹麻疹・BCGが含まれ、妊娠女性に打つことは危険です。ですから、風疹・麻疹の抗体がない女性は妊娠していない時期に接種を行っておくことが大切です。また、周囲の家族(旦那さんやご両親)も抗体がないことが確認されれば予防接種をしてもらうこともお勧めします。

一方、不活化ワクチンは病原体の成分だけを打つものであり、その多くは必要と判断されれば妊娠中に接種が可能です。インフルエンザワクチンは不活化ワクチンです。インフルエンザは妊婦が感染したとしても胎児に対して直接的な影響はありませんが、妊婦自身が重症化しやすいため、妊婦への予防接種が推奨されています。

感染を予防する最も基本的で重要な方法です。

特に食事の前、外から帰ってきたときなどは念入りに手洗いとうがいをしましょう。また、生肉を調理した時、園芸をするとき、ペットの排せつ物の処理をする時なども念入りに手を洗ってください。

尿や唾液、鼻水、汗などの体液には細菌や微生物が多量に含まれています。「目に入れてもいたくない」というほどかわいい自分の赤ちゃんでも、おむつの交換の際は手袋などを付けるか、処理後の手洗いを徹底してください。また、歯ブラシの共有や口移し、同じスプーンを使ってものを食べる、直箸などは控えましょう。妊娠中のセックスは必ずコンドームをパートナーに着用してもらい、オーラルセックスは避けましょう。

『母児感染症の種類。赤ちゃんの感染症で予防法が確立しているものは、すぐさま対策を』で述べたトキソプラズマは、生肉を介して移る病気です。とくに馬刺しはトキソプラズマが入っている可能性があります。また生ハムも危険とされています。馬刺しを含めた生肉をよく食べる地域に住んでいる妊婦さんは、妊娠中にはそれらの食事を控えることをお勧めします。その他、フレッシュチーズなども微生物が多く含まれます。このような食品はできる限り避けるか、十分加熱してから食べるようにしましょう。また、生野菜を食べるときは念入りに洗ってください。

風疹インフルエンザは飛沫感染する感染症です。当然ながら、人口密度が高いところで感染症は感染しやすくなります。そのような場所へ行く際は、マスクを着用するなどできる限り他人の体液を吸い込まないような工夫が必要です。

しかし一方で、妊娠中の生活を楽しむという気持ちも大切です。感染症が怖いからと言って、妊娠期間をずっと家に閉じこもって生活するのは、お母さんの精神的な負担にもつながります。ですから、そこまで厳しく制限をする必要はありません。ショッピングやレジャーも十分に楽しみ、バランスを取りながら、妊婦としての生活を過ごしてください。

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    永松 健 先生

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