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インタビュー

子どもの発疹は緊急受診が必要な病気のサイン?感染症やアレルギーの可能性もある

子どもの発疹は緊急受診が必要な病気のサイン?感染症やアレルギーの可能性もある
平本 龍吾 先生

松戸市立総合医療センター 小児医療センター長

平本 龍吾 先生

子どもの発疹は、その大半があまり心配のいらないものですが、まれに緊急受診が必要となる病気が潜んでいる場合があります。小児救急では、特に「緊急性の高い疾患」であるアナフィラキシーや紫斑(しはん)などによる発疹に注意しています。また、麻しん(はしか)や風しん、水痘(みずぼうそう)などのウイルス性感染症による発疹は、周囲に感染を広げてしまう可能性があるので、注意を払う必要があります。これらのウイルス性感染症はワクチン接種によって予防が可能であるため、ワクチンをきちんと接種することが重要です。松戸市立病院小児科部長の平本龍吾先生にお話しいただきました。

重大な病気は、「重症度(命にかかわる重症なものかどうか)」と「緊急度(急いで対応しなければならないものかどうか)」の2つの視点から見ます。ともに重要ですが、小児救急では特に「緊急度が高い(急いで対応しなければならない)」疾患を見つけ出すことが求められます。「緊急度が高い発疹」は、アナフィラキシーと粘膜出血を伴う紫斑の2種類です。

*詳細は記事1『「子どもの皮膚にぶつぶつした発疹ができた」とき―熱、かゆみ、赤みは危険な症状?』もご覧ください

このふたつの症状のうち、いずれかがみられる場合は、時間帯にかかわらず(深夜や休日であっても)直ちに救急病院を受診してください。ただし、夜間に精密検査をすることができる医療機関は限られるので注意しましょう。

その他に発疹を伴う重大な病気としては、下記のものがあります。

主症状は「5日以上続く発熱」「両側眼球結膜の充血」「イチゴ舌」「不定形発疹」「首のリンパ節が腫れる」「四肢末端の変化」の6つです。この6つのうち、5つ以上の症状を伴っていれば川崎病であると診断されます。川崎病の場合、発疹の出方や形は患者さんによって異なります。なおイチゴ舌とは舌が真っ赤に変色し、ぶつぶつとしたできものができた状態です。

関連記事:「写真でみる川崎病の症状と診断-どのような発疹が現れる?」

多くが髄膜炎菌により引き起こされる重症疾患で、片側もしくは両側の副腎から大規模な出血がおこります。進行すると臓器不全、昏睡、低血圧やショック、播種性血管内凝固症候群DIC)、全身の紫斑、副腎皮質不全がみられ、最悪の場合死亡します。これは非常に稀な疾患です。

記事2『どうして体にぶつぶつができる?子どもの発疹のよくある原因』で述べた通り、ウイルス性感染症によって発疹が生じることもあります。麻しん、風しん、水痘などが有名なウイルスで、特に水痘は集団保育や学校で大流行することも多い感染症の代表です。ウイルス性感染症の診断には潜伏期間と事前情報が大事であり、発症者との接触歴があれば注意が必要です。

また、最近国内では風しんの予防接種の啓発に力を入れています。妊婦、特に妊娠初期の女性が風しんに感染すると、赤ちゃんが先天性風しん症候群という病気(難聴、目が見えにくくなる、心臓の病気、発達の遅れなどの症状が代表的です)にかかるリスクが高まります。

現在、子どもへの麻しん風しんワクチンは定期接種化されています。しかし、大人のうち一部の年齢の方々(特に10代後半から50代前半の男性、20代から40代の女性)は子どものときに風しんワクチンの定期接種の対象ではなかったため、風しんワクチン接種を受けた割合が低く、風しん抗体を持っていない方が多いことが知られています。現在は厚生労働省が、妊娠可能年齢の女性だけではなく、成人男性へも積極的に風しんワクチン接種を啓発するなど、先天性風しん症候群の予防活動が広がっています。

水痘は通常2週間、麻しんは8~12日の潜伏期を経て発症します。このふたつの病気は基本的にワクチン2回接種で予防できるため、必ずワクチンを打っておきましょう。ワクチン接種は子どもや親御さん自身を守るだけではなく、社会で感染症を広げないために非常に重要です。

また、麻しん患者への接触がある場合、麻疹患者との接触後 3 日以内に麻疹含有ワクチンを接種することによって、麻しんの発症を予防できる可能性があるといわれます。ただしこのやり方については、6ヶ月未満の方は接種適応外となる(日本小児科学会の推奨、添付文書上は記載なし)、1歳未満の場合は任意接種となるなど、いくつか条件があります。

原因不明あるいは非典型的な紫斑や出血斑、やけどの跡がみられる場合、小児医療者は子どもの安全を最優先に考えるために虐待の可能性も念頭に置いて治療にあたります。

記事1『「子どもの皮膚にぶつぶつした発疹ができた」とき―熱、かゆみ、赤みは危険な症状?』では、紫斑をみつけたら白血病特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の可能性を考えると述べましたが、虐待によって紫斑ができることもあります。このとき最も重要なのは「誰がやったのか」よりも、虐待による紫斑などの可能性があるならば「子どもを守る手段を考える」必要があることです。

虐待を予防するためには、周囲の大人たちが子どもの様子をしっかりとみて、日ごろから声をかけて、地域全体で子どもを見守ること、そして万が一のときには手を差し伸べることが重要です。私は、社会全体で「子どもを守る」ことが大切だと考えています。

 

「こどもの様子がおかしい」と思ったときは、日本小児科学会が運営する「こどもの救急(ONLINEQQ)」も参考にしてみてください。

 

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