インタビュー

どうして体にぶつぶつができる?子どもの発疹のよくある原因

どうして体にぶつぶつができる?子どもの発疹のよくある原因
平本 龍吾 先生

松戸市立総合医療センター 小児医療センター長

平本 龍吾 先生

この記事の最終更新は2016年11月17日です。

子どもの発疹の原因は、大きく「全身にでるもの」と「接触によるもの」の2種類に分かれます。基本的に、全身に発疹が広がってくる場合は感染性の発疹であることが多く、麻しん(はしか)、水痘(みずぼうそう)などが当てはまります。また、感染症とは異なりますが川崎病も全身に発疹がでます。一方、何かに接触したり、虫に刺されて出る発疹には、アレルギー反応、接触性皮膚炎虫刺症虫刺され)などがあります。子どもの発疹のよくある原因について、松戸市立病院小児科部長の平本龍吾先生にお話しいただきます。

子ども発疹の原因は、「全身にでるもの」と「接触したことでできるものの」2種類に分けて考えます。

*感染症によるもの(麻しん・水痘などのウイルス性発疹症、溶連菌感染症など)

川崎病

薬疹

*紫斑(記事1『「子どもの皮膚にぶつぶつした発疹ができた」とき―熱、かゆみ、赤みは危険な症状? 』を参照してください)

基本的に、全身に発疹が広がってくる場合は感染症による発疹であることが多いです。

*接触性皮膚炎かぶれなど)

虫刺症(むしさされ)

下記に、発疹の原因となる病気を詳しくご説明します。

麻しんウイルスは非常に感染力が強く、空気感染する代表的なウイルス性感染症のひとつです。高熱が始まり数日たってから、顔や耳の後ろから発疹が始まり、体幹、手足の順に全身に広がります。また発疹どうしが融合していく(くっついていく)ことも特徴です。

2015年に日本では麻しんの排除認定が出され、現在は輸入感染症となっていますが、残念ながら2016年も国内での流行が話題となりました。麻しんはワクチン接種を2回行えば、99%予防可能とされています。2016年の麻しん流行で感染した方のほとんどが、ワクチン2回接種が完了していないお子さんと、抗体価が低下している大人でした。麻しんワクチンをうちそびれないことが非常に重要です。

関連記事:「麻疹(はしか)とはー特徴的な症状と予防接種の重要性」

風しんの3大症状は、微熱・発疹・耳の後ろのリンパ節の腫れです。発熱がみられない場合もあります。

発疹は顔から始まり全身へ広がりますが、通常3日程度で治ります。妊婦、特に妊娠初期の女性が風しんに感染すると、赤ちゃんが先天性風しん症候群という病気にかかるリスクが高まります。先天性風しん症候群は、難聴、目が見えにくくなる(白内障)、心臓の病気、発達の遅れなどの症状が代表的です。

最近では厚生労働省などの公的機関が、妊娠可能年齢の女性だけではなく成人男性へも積極的に風しんワクチン接種を啓発するなど、先天性風しん症候群の予防活動が広がっています。現在、子どもへの麻しん風しんワクチンは定期接種(国が接種を推奨するワクチンで、決められた期間内であれば無料で受けられる)となり、1歳時と就学前の2回接種が基本です。(記事4『子どもの発疹に関する疑問まとめ。小児科・皮膚科どちらに行く?お風呂は入れていい?』もご参照ください)

関連記事:「風疹(三日はしか)―症状と予防法は?」

水痘帯状疱疹ウイルスによる感染症で、空気感染します。主な症状は発熱と発疹で、赤い丘疹(直径1cm以下の小さなブツブツ)~水疱(水ぶくれ)が全身に生じます。頭皮や陰部にも発疹ができることがあります。発疹は自然によくなっていき、その頃にかゆみが出てくることもあります。水痘は通常自然治癒しますが、重症度はさまざまで、免疫不全の子どもが発症すると命に関わる危険があります。

関連記事:「水痘・帯状疱疹とは―予防接種が定期接種に」

溶連菌感染症は、発熱と喉の痛みが主な症状ですが、痒みを伴う発疹を伴うこともあります。溶連菌感染症の場合、緊急性は高くないため、平日日中に受診すれば問題ありません。

発疹は発熱の後から生じることがあるため、最初の診察で医師から抗菌薬を処方され、服用開始後に発疹が出現した場合は薬疹※と間違われる恐れがあります。薬を飲んだその日に薬疹が出ることは少ないので、抗菌薬の服用をすぐには中止せず、発疹が広がる場合は医師に相談しましょう。

また、溶連菌感染症ではいくつかの合併症があります。適切に抗菌薬を内服すれば、心臓の合併症(リウマチ熱)の予防が可能です。しかし腎臓の合併症(溶連菌感染後糸球体腎炎)の予防はできないので、浮腫(むくみ)や肉眼的血尿(見た目で尿が赤くなる)が出る場合は、すぐに受診が必要です。

※薬疹の詳細については「薬疹とは。薬剤によって発症する皮膚疾患」を参照

全身にでる発疹の原因では、以下も代表的です。

手足口病

突発性発疹症

りんご病

・皮膚の細菌感染症(伝染性痂疹:とびひ蜂窩織炎など)

川崎病

アレルギー反応の一種「アナフィラキシー」については記事1『「子どもの皮膚にぶつぶつした発疹ができた」とき―熱、かゆみ、赤みは危険な症状?』を参照してください。

虫にも様々な種類がありますが、最近は「トコジラミ(南京虫)」という虫による発疹を見る機会が増えている印象です。その名の通りシラミの一種で、海外旅行の際に接触することが多いと考えられます。

この他には、春先にピクニックに出向いた際などに、蝶の鱗粉や毛虫に接触して発疹が生じることもあります。虫刺されによる発疹は、接触した部位を中心に発疹が集まることが多いので、非対称性になることが特徴的です。

接触性皮膚炎によって皮膚がかぶれると強いかゆみを伴います。我慢できないかゆみに対しては、患部の冷却が最も効果的です。

赤ちゃんにはあせもが生じやすいことが知られています。あせもの予防には、衣類への配慮や、スキンケアが重要です。たとえば、入浴直後は十分に湯冷ましさせてから服を着せるように心がけましょう。

「こどもの様子がおかしい」と思ったときは、日本小児科学会が運営するこどもの救急(ONLINEQQ)も参考にしてみてください。

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