

水痘(水ぼうそう)は感染力が非常に高く、発症したら周りにうつしてしまうのではないかと心配される親御さんも多くいるのではないでしょうか。水痘(水ぼうそう)は学校保健法で「出席停止」に指定されている感染症のため、自己判断で登校や登園を再開させてよいのか判断が難しい部分があります。前回に引き続き東京都立小児総合医療センターの村井健美先生に水痘(水ぼうそう)の完治の判断や登校、登園の再開について解説していただきます。
重症化しなければ、水痘(水ぼうそう)は発症してから、1週間ほどで自然に治ります。抗ウイルス薬を使うこともあります。みずぶくれはかゆみを伴うので、かゆみを抑えたり、熱を下げたりと対症療法が中心となります。まれに水ぶくれに細菌感染を起こすことがあります。
下記のような場合には、医療機関を受診するようにしましょう。
水膨れや発疹がみられ、親御さんからみて水痘(水ぼうそう)だと疑った場合に、医療機関に受診する前、または受付でその旨を伝えてください。水痘(水ぼうそう)は空気感染します。また感染力が非常に強いため、待合室などでほかの患者さんにうつってしまうことがあるためです。
赤い発疹・水ぶくれが出てきて、典型的には一か所ではなく、1日程度のうちにからだの広範囲にみられます。数個だけの発疹では、診断が難しいことが多く、湿疹などの別の病気のことが多いです。元気であれば、発疹が腹部、背中、腕や足などにまたがってみられたら、疑って受診しましょう。
水痘(水ぼうそう)は感染力が強く、学校保健安全法により第2種感染症に定められています。そのため、完治のタイミング(発疹のすべてがかさぶたになる)まで、「出席停止」となります。
発疹・水ぶくれがすべてかさぶたになったタイミングで、近くの医療機関に受診をお願いします。水痘(水ぼうそう)にかかった子どもが学校や幼稚園に出席するには、医療機関が発行する「登校許可書」の提出が求められることも多いです。一方、幼稚園や保育園では自己申告でもよいとしている施設もあります。わからなければ、施設に出席の要件を問い合わせるようにしましょう。
嘔吐や下痢などの消化器の症状がなければ、普段通りの食事で問題ありません。
熱が下がっており、かつ、子どもが元気であれば、シャワーを浴びせて皮膚を清潔にするとよいでしょう。入浴の際には体をこすらないようにしましょう。
長野県立こども病院 感染症科 医監
WHO Western Pacific Region Office, Field Epidemiologist、東京都立小児総合医療センター 感染症科 非常勤
日本小児科学会 小児科専門医・小児科指導医日本小児感染症学会 暫定指導医米国感染症学会 会員欧州小児感染症学会 会員米国小児感染症学会 会員米国病院疫学学会 会員米国微生物学会 会員
小児患児に感染症が多いにも関わらず、それぞれの診療科が独自に感染症診療を行うという小児医療の現状を変えるべく、2008年トロント大学トロント小児病院感染症科に赴任。感染症症例が一挙に集約される世界屈指の現場において多くの臨床経験を積むとともに、感染症専門科による他診療科へのコンサルテーションシステム(診断・助言・指導を行う仕組み)を学ぶ。2010年帰国後、東京都立小児総合センターに小児感染症科設立。立ち上げ当初、年間200件~300件だったコンサルタント件数は現在1200件を超える。圧倒的臨床経験数を誇る小児感染症の専門家がコンサルタントを行うシステムは、より適正で質の高い小児診療を可能にしている。現在は後進育成にも力を注ぐ。
村井 健美 先生の所属医療機関
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