乳児(1歳未満)が発熱をしている際に、それが風邪による発熱なのか、なにか別の病気が原因で発熱しているのか、判断が難しいです。3か月未満の赤ちゃんに発熱がみられた際にはすぐに近くの医療機関に受診するようにいわれているのはなぜなのでしょうか。前回に引き続き東京都立小児医療センターの村井健美先生に乳児(1歳未満)の風邪や発熱についてご解説いただきます。
発熱の定義はさまざまですが、平熱から1度上昇している状態、38度以上を発熱とすることが一般的です。生まれたての乳児(1歳未満)は体温の調節機能がうまく働かないため、大人に比べ体温は高く、37度台のこともあります。たくさん洋服を着せている時や、環境の温度によって高めになることがあります。
乳児(1歳未満)が発熱している際には元気か、食欲があるかなど全身状態を確認するようにしてください。発熱をしていても先ほど述べたように、気温や厚着の服装に影響されて体温が上がっていることがあります。元気ならば、時間を置いて、体温を測り直してみても良いでしょう。
乳児(1歳未満)の検温の仕方には2種類あります。脇の下で測る方法と耳のなかで測る方法があります。病院ではより正確な直腸温で測ることがありますが、自宅などでは脇の下や耳で測るとよいでしょう。脇の下で測る前に厚着を避けると良いです。
乳児(1歳未満)が発熱した際、保護者の方はまず風邪を疑われるかもしれません。しかし、乳児がかかる病気は風邪以外にもインフルエンザや突発性発疹など、たくさん存在します。
まずは風邪の症状を確認し、他の病気との違いをご紹介します。
乳児の風邪はライノウイルスやコロナウイルスなどに感染することでかかります。主な症状は、
の3つです。
風邪の場合、発熱といっても軽度でおさまることが多く、また、経過も緩やかです。風邪には季節性がなく、1年を通してかかる可能性があります。
風邪には特効薬がなく、「この薬を飲めば治る」といったものはありません。あくまで自身の治癒力で治していきます。
インフルエンザも風邪と同じく、ウイルス感染が原因です。症状は、以下のとおりです。
また、風邪とは違い、冬に多いという季節性があります。ただし、インフルエンザウイルスでも熱がないことや、37度程度の微熱のこともあり、風邪との区別が難しいこともあります。特に健康な乳児(1歳未満)や子どもの場合、インフルエンザウイルスでも自然に治ることがほとんどです。
乳児(1歳未満)が発熱した場合、風邪やインフルエンザの他にも
風邪をひいた場合に炎症のある部位によって症状が異なります。炎症の部位によって鼻づまりや咳などがでるため、母乳やミルクを飲みにくそうにすることもあります。特に小さな1か月未満の赤ちゃんでは、鼻で呼吸していることが多く、鼻づまりで苦しくなることがあります。
また気管支などの空気の通り道に炎症がおよぶと、咳が強く、ゼーゼーと苦しそうに呼吸していることもあります。この場合、風邪ではなく、細気管支炎などの診断になります。RSウイルスというウイルスが有名です。
発熱すると、体温を下げようと、乳児は汗をかきます。また、通常に比べミルクを飲む量が減ることも多いので、脱水になりがちです。
脱水症状になると、具合が悪くなってしまうので注意しましょう。普段の飲む量からどれくらい減ったか、おむつにおしっこがでているかが、脱水の評価で重要です。飲む量が少なくなり、半日以上、おしっこが出ていない場合は、脱水の可能性があります。普段よりぐったりしてくることが多く、早めに医療機関を受診しましょう。
賢い選択(Choosing Wisely)という患者さんにとって本当に必要で副作用の少ない医療を目指すキャンペーンが世界各国で行われており、日本も参加しています。このキャンペーンは、様々な医療の専門学会も参加しています。そのなかで、4歳以下の子どもに風邪薬の処方を推奨しないともあります。効果に疑問があり、副作用などの懸念があるからです。
市販の風邪薬には解熱剤や鎮痛剤・鎮咳剤などさまざまな成分が入っています。
保護者の方からすると我が子が心配で、つらい症状を少しでも取り除いてあげたいと思うでしょう。解熱剤には一定の解熱効果はありますが、咳や鼻水に対する薬は効果が弱いです。効果や副作用を考えると市販の風邪薬を乳児(1歳未満)へ使うことは控えたほうがよいでしょう。市販の風邪薬をあまり服薬しないほうがよい理由はいくつかあります。
などがあります。風邪のほとんどは自然に治るもので風邪だから薬を飲まないと治らない、ということではありません。
市販薬や医療機関で処方される解熱剤で熱を下げる効果はあります。熱を下げるメリットは、水分をとらない、ぐったりしているときに解熱剤で熱を下げることで、体の消耗を抑え、食欲がでて水分がとれることがあります。風邪でも脱水があると具合が悪くなるので、脱水の予防の観点からは、解熱剤の使用が有効のことがあります。また呼吸が苦しい時も、体温を下げることで、消耗を避けることができます。
乳児が風邪をひいた場合、なんとかしてあげたい気持ちになると思います。保護者の方はしっかり見守ってあげることが大切です。熱があるときは、熱がこもるので厚着を避けましょう。また鼻水がひどいようであれば、ぬぐってあげたり、市販の吸引器で鼻を吸ってあげるとよいでしょう。離乳食などは食欲がなければ、無理に食べさせる必要はありません。水分は、普段飲ませている母乳やミルクで良いです。食事がとれない時に塩分が含まれない水やお茶のみを与え続けてしまうと、塩分が体のなかで足りなくなってしまい、そのせいで具合が悪くなってしまいます。ひどい場合には、痙攀や意識が悪くなることがあります。塩分を含んだ水分補給が大事です。
3か月未満の乳児では、治療が必要な細菌感染症の可能性が高いことが知られています。38度以上の発熱がみられた際には、医療機関を受診しましょう。3か月以上の健康な乳児では、元気であればすぐに受診する必要はないことが多いです。しっかり哺乳ができていて、普段と同じようにおしっこをしていて、機嫌がよく、眠れていれば問題がないことが多いです。
また、発熱以外でも下記の症状があれば受診をするようにしてください。
発熱の怖い原因として、肺炎球菌、インフルエンザ菌b型による感染症があります。これらの細菌は、髄膜炎や敗血症という重症の感染症を起こし、脳に後遺症を残したり、死亡したりすることもあります。ワクチンによる予防接種で大部分のこれらの感染症を防ぐことができます。
百日咳菌による呼吸の感染症も乳児では重症化や死亡することがあり、これも4種混合ワクチン(百日咳、破傷風、ジフテリア、ポリオ)の予防接種で、予防することができます。
ロタウイルスも胃腸炎の原因となり、嘔吐や下痢をきたし、入院が必要なことがありますが、ロタウイルスワクチンで予防することができます。
乳児のときに接種するワクチンにより、発熱する病気で特に怖い病気を未然に防ぐことができます。これらのワクチンがなかった時代には、多くの赤ちゃんが命を落としたり、後遺症を抱えたり、入院で治療が必要になったりしていました。今は、ワクチンのおかげで予防できるようになりました。接種できる月齢になったら、お近くのかかりつけ医に相談して、遅れることないように予防接種をしていきましょう。
長野県立こども病院 感染症科 医監
村井 健美 先生の所属医療機関
WHO Western Pacific Region Office, Field Epidemiologist、東京都立小児総合医療センター 感染症科 非常勤
日本小児科学会 小児科専門医・小児科指導医日本小児感染症学会 暫定指導医米国感染症学会 会員欧州小児感染症学会 会員米国小児感染症学会 会員米国病院疫学学会 会員米国微生物学会 会員
小児患児に感染症が多いにも関わらず、それぞれの診療科が独自に感染症診療を行うという小児医療の現状を変えるべく、2008年トロント大学トロント小児病院感染症科に赴任。感染症症例が一挙に集約される世界屈指の現場において多くの臨床経験を積むとともに、感染症専門科による他診療科へのコンサルテーションシステム(診断・助言・指導を行う仕組み)を学ぶ。2010年帰国後、東京都立小児総合センターに小児感染症科設立。立ち上げ当初、年間200件~300件だったコンサルタント件数は現在1200件を超える。圧倒的臨床経験数を誇る小児感染症の専門家がコンサルタントを行うシステムは、より適正で質の高い小児診療を可能にしている。現在は後進育成にも力を注ぐ。
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子供の熱が下がらない
日曜日から37.5~38.0度くらいの子供の熱が下がらずに心配です。 こんなにも熱が下がらないのが初めてで、どう過ごしたらいいか不安です。 病院ではRSとコロナの検査をしましたが、陰性でした。 今年の4月から保育園に通い、毎週末に風邪を引き、熱が出ます。 イヤイヤ期でもあり、服を着るのも、水分取るのも嫌がります。 やれることとしたら、寒くないようにする、体力を使わせないようにする、水分をどうにかとらせるくらいなんですかね。 多少汗かいても暖かい格好させるべきなのかも迷います。どのくらいかが適温なのかもいつも分かりません。 あと、こんなにも毎週熱を出すのはよくあることなのでしょうか?
ひどい咳がとれない
2週間前から咳をするようになった。なかなかとれない。むしろどんどん酷くなる。高熱ではないものの、少し体温が高め。(37.8度くらい)。鼻水は少しでている程度。咳がすごいので、夜起きてしまうこともある。小児科を受診し、風邪薬をもらって飲んでいるが、治る気配がない。何か他の病気でしょうか?どうすればいいのでしょうか?
咳風邪について
1歳5ヶ月の男の子なんですが 4月末から軽い咳が始まり 5/2朝6時には既に39.6の高熱があり咳もひどく午前中に病院へ行き風邪薬を頂きました。インフルエンザ検査はまだ早いとの事で次の日も高熱の場合はインフルエンザ検査しにいってほうがいいといわれ次の日(5/3)案の定熱が下がってないので休日当番医へ検査行きました。インフルエンザはマイナスだったのでやはりただの風邪だろうとのことでした。その日の夜から下痢も始まり熱も下がらなく咳を悪化する一方で5/5熱は37.5まで下がりましたが咳で夜寝れずもう一度休日当番医へいきました。気管支の方の音はまだ大丈夫だと。ゼェゼェはしていましたが、大丈夫といわれ帰宅しました。5/6、は熱は36,7まで下がるものの咳は相変わらずひどくご飯もなかなか受け入れず下痢も治らず…で5/7の夜中が今までの中でも凄い咳で朝には38度までまた熱が上がり病院へ再度行きました。レントゲン、血液検査、アデノウイルス調べて頂きました。レントゲンでは肺炎の可能性は無いとの事。アデノウイルスもマイナス、血液検査ではCRPは正常範囲の0.8といわれ、医者もうーんと悩む感じではいましたが普通の風邪って事になりました。レントゲンで肺炎みてましたが、気管支炎とか診て分かりますか?言われなかったって事は異常無しって事ですか?!血液検査も正常範囲ってことは、細菌でもウィルスでもないのでしょうか?咳が、ひどくて子供がまともに寝れていません。熱も上がり下がりなので何か違うウィルスがいるんじゃないかと思うのですが…木金まで熱が下がってないのであれば再度受診になっています。今はまだフォローアップミルクですが、いつもの様には飲めていませんが多少は飲めています。食欲は無し、下痢は続いてます。水分補給は出来るだけさせてます。無理矢理でも、、薬も吐くまで拒否されどんな手を使っても飲んでくれません。CRPとかの数値で異常がない限りやはりただの風邪でしょうか?
27日の夜から下痢で翌朝に嘔吐
小1の息子、6歳。 25日の夜に38.7°の熱が出て、お腹が気持ち悪いと言っていました。 翌朝8時半には熱も36.7°に下がりましたが、食欲はなく、いつもより元気もなかったです。 27日の夕方にウンチをしたら下痢で その日の夜に37°台の熱が出て 夜中に2~3回程トイレに行っては下痢。 28日の朝、お茶1杯を飲んでお粥を食べてる時に嘔吐。 その日は、それから吐くことなく、 下痢で何度かトイレに行く程度で 朝履いてから凄く元気になりました。 29日の朝、嘔吐。 そこからまた吐くことなく 下痢でトイレに何度か行くといった感じです。 昨日より少し元気はない様子です。 GWということもあり、病院に行けず、 様子見の状態ですが、 この様子からある程度の可能性を 教えていただければと思います。 よろしくお願いします。
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