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帯状疱疹は人からうつる病気なの?人にうつしてしまうことはあるの?〜家族と感染者ができる感染対策とは〜

帯状疱疹は人からうつる病気なの?人にうつしてしまうことはあるの?〜家族と感染者ができる感染対策とは〜
渡辺 大輔 先生

愛知医科大学 皮膚科 教授

渡辺 大輔 先生

目次
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帯状疱疹(たいじょうほうしん)は発症すると体の片側に帯状に皮疹が現れ、痛みやかゆみなどが生じます。主な原因は水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)であり、感染後に潜伏していたウイルスが再活性化することで発症するとされています。原因がウイルスであるということから発症時は家族や周囲の人にうつるのか不安に思う方もいますが、実際はどうなのでしょうか。

そこで本記事は帯状疱疹の原因、人にうつる可能性、対策について詳しく解説します。

帯状疱疹は、一般的に水痘と呼ばれる“水痘”を引き起こす水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)によって発症します。

そもそも水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の初感染時は水痘が発症します。その際、水痘が治癒しても神経節(末梢(まっしょう)神経系の神経細胞が集まっている部分)の中にウイルスが留まるため、その後、免疫力の低下などが原因でウイルスが再活性化すると帯状疱疹を発症するとされています。

つまり、帯状疱疹は人から人へウイルスが感染して引き起こされる感染症ではなく、体内に元々あったウイルスが再活性化することが原因となります。

前述のとおり帯状疱疹の発症自体は人から感染するものではありませんが、発症した患者のウイルス水痘の罹患経験がない人にうつると水痘を発症する可能性はあります。

なお、帯状疱疹の症状は感染部位の痛みやかゆみから始まり、虫刺されのような赤い腫れが現れる、水ぶくれが現れる、破れてかさぶたになり治癒する、というように移り変わります。かさぶたができるまでは水ぶくれにウイルスが含まれているため、この場合はほかの人にうつることがあります。

一般に水痘は成人が発症すると重症化しやすいですが、15歳以上または1歳以下での発症でも肺炎などの合併症のリスクも高くなるとされています。また、妊婦の水痘は重症化することがあり、さらに流産や、妊娠中期以降では、先天性水痘症候群(胎児に先天異常が生じることがある)などのリスクが高くなるとされています。以上のことから自身が帯状疱疹を発症した場合や、家族や周囲に帯状疱疹患者がいる場合は、次項で解説する感染対策を心がけるとよいでしょう。

帯状疱疹患者のウイルスは一般的に接触感染によってうつるとされています。ただし、免疫不全者や播種(はしゅ)性(全身性)の帯状疱疹患者の場合は気道粘膜でウイルスが増殖するため、空気感染の可能性もゼロではありません。また、水ぶくれが乾燥してかさぶたになるまでは人にうつるリスクがあるため、以下のような感染対策を心がけるとよいでしょう。

まず、患者自身は早めに皮膚科などの受診を検討し、診断を受けて治療を開始させましょう。その際に具体的な感染対策のアドバイスを医師から受けるとよいでしょう。自宅療養の場合は個室で過ごし、特に新生児や水痘になったことのない妊婦など感染した際のリスクが高い家族との接触を避けるようにしましょう。

家族や周囲の人は看病する際は手袋を着用し、患者が触れたものに直接触れないように心がけましょう。なお、体液や分泌物などに触れた後はすぐに手袋を外して手洗いをします。タオルなどの共有も避けるとよいでしょう。これらの対策は少なくとも水ぶくれがかさぶたになるまで続けます。また、水痘になったことのない人が患者と接触した場合は、抗体検査や、抗体がない場合は緊急ワクチン接種が必要となる場合もあります。接触者の対処も含めて、感染対策に関する不明点は医師に相談し、適切な対策を講じることを心がけるとよいでしょう。

繰り返しとなりますが、帯状疱疹自体は誰かから感染して発症するものではなく、以前に感染したウイルスが体内に留まっており、それが再活性化することで引き起こされます。しかし、治癒するまでは水ぶくれなどに水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)が含まれているため、水痘未感染の人(接触者)にうつす可能性があります。水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)に初感染すると水痘を発症することがあり、新生児や成人、妊婦の場合は重症化リスクがあるとされています。そのため、主に接触感染に注意して患者自身も周囲の人も、感染対策を心がけるとよいでしょう。また、帯状疱疹を発症した際は皮膚科を受診し医師の指示を仰ぐとよいでしょう。ただし、成人の90%以上は水痘にすでに感染していること、小児を対象とした水痘ワクチンの定期接種も始まっていることからも、実際の感染リスクはそれほど高いものではありません。

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