赤ちゃんが生まれたらさまざまな予防ワクチンを接種することが一般的ですが、麻疹(はしか)の予防ワクチンもそのひとつです。
ワクチン接種のスケジュールや受け忘れた時の対応など、東京都立小児医療センターの福岡かほる先生に麻疹(はしか)の予防方法や注意点について解説していただきました。
麻疹は感染力が非常に強く、また空気を伝ってヒトに感染します。感染しやすい環境にいると個人の努力ではそれを予防することは難しく、予防接種は麻疹に対する唯一確立された方法だと言えます。
麻疹は集団感染予防を目的として自治体が実施する定期接種にも指定されています。それほど感染力の強い麻疹ですので、自分のためだけでなく、他人にうつさないため、集団感染を防ぐためにも予防接種を定められた時期に受けるようにしましょう。
麻疹(はしか)のワクチンは原則2回接種する必要があります。1回目のワクチン接種で95%程度の小児が麻疹に対する抗体を獲得できるといわれています。その後一定の期間をあけ、小学校の就学前に2回目のワクチン接種をします。これにより麻疹に対する抗体が99%以上獲得できるといわれています。
1回目のワクチン接種で約95%の小児が抗体を獲得できますが、予防効果が長く続きません。2回にわたりワクチンを接種することで、麻疹に対する抗体を確実に獲得し、かつ長く効果を持続させます。それなので麻疹のワクチンは2度接種しましょう。
麻疹と風疹のワクチンは、麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)として1本に混合されており、同時に接種します。このワクチンは1歳の誕生日を迎えたらすぐに接種が可能です。また、定期接種に指定されているので、1歳になっていれば自己負担はありません。
1回目の接種は1歳の誕生日を迎えたらすぐに受けるようにしてください。2回目の接種はそれから期間をあけ、小学校就学前の1年間の間に接種するようにしてください。この期間に慢性疾患で接種できなかったなどの理由がなく、2回目の接種を忘れると費用は自己負担になってしまいます。
指定された期間に2回目のワクチンを接種していなかった場合、自費にはなってしまいますが、ただちにお住いの近くの医療機関に相談して予防接種を受けるようにしてください。先ほども述べましたが、麻疹(はしか)のワクチンを接種しても、免疫が減少してしまうことがあります。
麻疹は大人が罹患すると子どものときよりも症状が重くなってしまうので、2回目の接種を忘れたことに気が付いた段階でワクチンを接種受けるようにしてください。
特別な事情があれば、生後1年未満でも、生後6か月以上であれば予防接種を受けることができます。ただし、免疫が未熟なために充分な予防効果が得られない、または予防効果が持続しない可能性があります。周囲で麻疹(はしか)が流行している場合、または麻疹(はしか)が流行っている国に行く場合には、6か月から1歳未満でも自己負担で接種を考慮します。ただし、この1歳未満の接種はカウントせずに、通常の1歳以降のワクチンは、2回の接種が必要になります。
厚生労働省のホームページに注意すべき海外渡航先が掲載されています。事前に確認し、必要に応じて医療機関で相談してください。
麻疹のワクチンを接種すると一定の割合で副反応がみられます。ただ、副反応が出ても一般に軽度とされているので過度に心配する必要はありません。
初回ワクチン接種後にみられる副反応は、発熱が最も多いです。接種後約7-12日、1-2日程度持続することが多いとされています。また、接種後7-10日頃に発疹が出ることがあります。2回目の接種では、接種した場所が赤くなる、腫れるなどの局所反応がみられる場合がありますが、発熱や発疹の頻度は低いと報告されています。
麻疹ワクチン接種後の重篤なアレルギー反応については、非常にまれとされています。麻疹ワクチンは卵白に含まれるタンパク質(オボアルブミン)を含んでいますが、その濃度はアナフィラキシーを起こし得る濃度を大きく下回っています。そのため、基本的には卵アレルギーがあっても麻疹ワクチンの接種は可能ですが、小児科の先生によく相談してください。
自費の場合、施設によって金額が異なります。
ワクチンの2回接種が導入されたおかげで、2015年3月にはWHOより日本は麻疹の排除状態にあると認定されました。これは土着株の麻疹(はしか)ウイルスが日本にいない状態をさします。現在は、麻疹は海外から持ち込まれる輸入症例が、日本で問題となっています。麻疹(はしか)発症の危険があるのが、ワクチンの接種をしていない人、1回しか接種をしていない人になります。
沖縄県立中部病院 小児科
福岡 かほる 先生の所属医療機関
WHO Western Pacific Region Office, Field Epidemiologist、東京都立小児総合医療センター 感染症科 非常勤
日本小児科学会 小児科専門医・小児科指導医日本小児感染症学会 暫定指導医米国感染症学会 会員欧州小児感染症学会 会員米国小児感染症学会 会員米国病院疫学学会 会員米国微生物学会 会員
小児患児に感染症が多いにも関わらず、それぞれの診療科が独自に感染症診療を行うという小児医療の現状を変えるべく、2008年トロント大学トロント小児病院感染症科に赴任。感染症症例が一挙に集約される世界屈指の現場において多くの臨床経験を積むとともに、感染症専門科による他診療科へのコンサルテーションシステム(診断・助言・指導を行う仕組み)を学ぶ。2010年帰国後、東京都立小児総合センターに小児感染症科設立。立ち上げ当初、年間200件~300件だったコンサルタント件数は現在1200件を超える。圧倒的臨床経験数を誇る小児感染症の専門家がコンサルタントを行うシステムは、より適正で質の高い小児診療を可能にしている。現在は後進育成にも力を注ぐ。
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予防接種前の抗体検査
海外渡航に際して、麻疹、風疹、破傷風、A型肝炎などの予防接種を求められています。 過去の接種歴はありますが、一般的に言われている持続期間は過ぎてしまっています。 麻疹/風疹に関しては接種歴あるものの1回しか摂取していませでした。 このような場合、通常、抗体検査をして抗体の有無を確認してから接種の検討をするのでしょうか。それとも切れている前提で抗体検査はせず接種をするのでしょうか。ご助言いただけますと幸いです。
麻疹、麻疹、抗体検査について
風疹。麻疹が流行ってるので、リウマチなど持病があるので心配で抗体の検査をしました。結果の数値が検査方法によるのか?わかりませんが、麻疹ウィルス抗体HI法で8倍 正常範囲8倍未満。となってました。風疹ウィルス抗体HI法64倍 正常範囲8未満となってました。医師は風疹は抗体があると言ってました。しかし麻疹は聞いてませんでした。リウマチ科での診察中で他の症状の話で抗体の話は聞けませんでした。風疹は抗体はあるのでしょうか?麻疹はどうなのでしょうか?麻疹は数値がギリギリ?の感じですがどのくらいあるのでしょうか?64倍は普通なのでしょうか?
全身に発疹
昨日の夕方、不要な服を整理していたところ、突然背中にチクチクとした痒みが襲って掻いても治らず濡れたタオルで拭くとおさまりました。その時に気づいたんですが、背中の腕の付け根と両腕に赤い湿疹ができているのに気づきました。 検索しましたが、りんご病の発疹に似ています。 母に聞いたところ、りんご病にはなっていないようです。 お風呂に入るとお腹と足にもできて、腕も赤みが増しました。ボコボコしていません。 朝起きると腕全体が赤くなっていて熱を持っていました。 体のだるさと、頭痛があります。 二週間くらい風邪の症状があり、良くなってきたところです。 熱はありません。関節も痛くないです。 今は発疹は薄くなっています。 今日病院に行こうと思いましたが怠くていけませんでした。 りんご病でしょうか?なんの原因が考えられますか?
妊活に向けた予防接種について
2人目妊活をしようと考えています。 私(女)が1人目妊娠時に風疹の抗体チェックをした際に、風疹抗体価[32]とありました。 この場合、風疹の予防接種は不要との認識で大丈夫でしょうか。 また麻疹の予防接種は幼少期に1度のみですが、妊娠前に予防接種を受けたほうがベターなのでしょうか?また予防接種を受ける場合、妊活は直ぐスタートしても大丈夫なのでしょうか? 主人は麻疹は幼少期に1度のみ、風疹は未接種のため、予防接種を受けようと考えています。 主人が予防接種完了するか否かに関わらず、妊活をスタートしても大丈夫なのでしょうか。それとも、完了後、暫く妊活は控えたほうが良いのでしょうか。 風疹麻疹以外に、妊娠前に受けたほうが良い予防接種等ありましたらお教え頂けますと幸いです。 よろしくお願いします。
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