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ヒトパピローマウイルス感染症

別名:HPV感染症
子宮

目次

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概要

ヒトパピローマウイルス(HPV)は、性交渉の経験がある女性であれば約半数以上の方が生涯で一度は感染すると考えられている一般的なウイルスです。しかしながら、子宮頸がんを始め、肛門がん、腟がんなどのがんや尖圭コンジローマなど、多くの病気の発生に関わっていることが分かっています。また、ヒトパピローマウイルスには多くの種類が存在し、そのなかの一部のタイプががんと関連することが明らかとなっています。

特に、最近では若い女性が子宮頸がんに罹患することが増えていることもあり、問題視されているウイルスです。日本での子宮頸がん罹患数は毎年1万人を越し、死亡者数は年間3000人程度です。

ヒトパピローマウイルスに感染すると、ウイルスが自然に排除されることもありますが、そのまま子宮頸部にとどまることもあります。長い間排除されずに感染したままでいると、子宮頸がんが発生すると考えられています。尖圭コンジローマは、子宮頸がんより短期間の感染で発症するといわれています。

子宮頸がんは、早期に発見されれば比較的治療しやすいがんですが、進行した場合には治療が難しいという特徴があります。

原因

性行為を介して感染する性感染症ウイルスです。生殖器(子宮頸部など)の微小な傷から一部の細胞に侵入して、その細胞内に潜みます(潜伏感染)。感染した細胞が長期間かけて変化することで、ウイルス増殖が起こり、異形細胞(前癌病変のもとになる細胞)が形成されてしまいます。

尖圭コンジローマは、粘膜型HPVのうちの低リスクタイプが感染することにより、性器周辺にできる良性のイボです。

症状

ヒトパピローマウイルス感染でもっとも注意するべき病気は子宮頸がんです。また、尖圭コンジローマは良性の疾患ですが、生活に支障が出てしまうことが少なくありません。この2つの病気について説明します。

子宮頸がん

HPVが長期間感染することでがん細胞が形成されますが、がん細胞になる前の段階として、異常細胞(前癌病変)が徐々に増殖してきます。このような異常細胞は、通常の細胞よりもろいことが一般的です。このため、普段の月経以外に、不正性器出血を認めることがあります。

尖圭コンジローマ

性器周辺にイボが多発します。イボの形は、乳頭状(丸くもこもこしたような形)、鶏冠状(ニワトリのトサカのような形)、カリフラワー状などと表現されます。女性では、大・小陰唇、腟、子宮頸部、また肛門周囲や外尿道口(尿が出てくる部分)によく出現します。

検査・診断

子宮頸がん

HPVが子宮頸部に感染しているかどうかを調べます。具体的には、子宮頸部をこすって細胞を採取し、これを用いて、特殊な検査方法によりウイルスのDNAを調べます。同様にして、ウイルスのタイプ(高リスク型か低リスク型か)についても検査が可能です。どちらも特殊な検査であるため、その場ですぐに結果を出すことはできません。通常、1~2週間程度必要になります。

尖圭コンジローマ

内診でイボの場所と形状を確認することでほとんどが診断可能ですが、確定診断のためには切除した病変を病理検査に提出する必要があります。この病理検査も、結果が出るまでには、通常1~2週間程度必要になります。

治療

子宮頸がん

前癌病変も含めて、病気が見つかった時期によって治療法が大きく異なります。まず、前癌病変は進行具合によって3段階に分けられており、通常、もっとも進行している病変(CIN3)であれば、手術療法が検討されます。

古くから行われており、病変部分をもっともしっかりと切除できるのは子宮頸部円錐切除術という手術です。この手術は、やや大掛かりですが、全身麻酔をしたうえで、電気メス等を使用して子宮頸部の一部を円錐状に切り取る手術です。

一方で、外来で日帰りでも行うことができる処置もあります。レーザーや特殊な器具を使用して子宮頸部の一部を切り取る、もしくは病変部を蒸散させるものです。これらは手軽で、全身麻酔も不要なことが多く、短時間で終わりますが、確実性という面では円錐切除術に劣ると考えられています。

進行した子宮頸がんの場合には、全く別の治療が必要になります。

尖圭コンジローマ

切除、外用薬(クリーム)での治療が可能です。病変の位置や大きさ、妊娠しているかどうか、などを総合的に考えて判断する必要があるため、担当医に治療方法をよく確認することをお勧めいたします。

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