むんぷすずいまくえん

ムンプス髄膜炎

脳

目次

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概要

ムンプス髄膜炎とは、流行性耳下腺炎(おたふく風邪)の原因であるムンプスウイルスによって引き起こされる髄膜炎を指します。流行性耳下腺炎を発症すると耳下腺の腫れのほか、ときに髄膜炎や難聴、精巣炎などの合併症を引き起こすことがあります。ムンプス髄膜炎の発症率は3~10%ほどであると報告されており、年齢が高くなるほど発症率は高まることが知られています。

ムンプスウイルスは1989年からワクチンによる予防が日本で導入されていましたが、ワクチンそのものによる髄膜炎が問題となったことから一時ワクチンが中止された時期があります。そうした歴史的な背景もあり、2018年現在の日本においてムンプスウイルスに対してのワクチンは定期接種ではなく任意接種となっています。

ワクチンによる髄膜炎の発症頻度は自然感染によるそれよりはかなり低いものですが、ワクチン接種により副作用が出るということにより社会的には問題とされています。安全性が高く、かつ有効率も高いワクチンの導入が求められています。

原因

ムンプス髄膜炎は、ムンプスウイルスに感染することを原因として発症します。ムンプスウイルスは感染者の唾液中に多く含まれており、咳やウイルスが付着したおもちゃ、タオルなどを通してウイルスが体内に侵入することで感染します。

ムンプスウイルスによる症状は小さいときほど症状が出にくく、大人になるにつれムンプス髄膜炎の発症率が上昇したり重症化しやすくなったりするといわれています。

症状

ムンプスウイルスに感染すると、3割ほどの方は無症状だと言われています。症状を呈する場合には、ウイルスに接触して2〜3週間ほどの潜伏期間を経たのち耳下腺の腫脹、痛み、発熱などが現れます。これらは1週間ほどの経過を経た後次第に落ち着いてきます。

ムンプス髄膜炎はこうした流行性耳下腺炎の経過中に発症、頭痛や吐き気、嘔吐、易刺激性、食欲低下、全身倦怠感、項部硬直、光に対しての過敏性、眠気などの症状を呈します。

髄膜炎は肺炎球菌やGBS(B群レンサ球菌)といった細菌を原因として発症することもありますが、同じ髄膜炎でもムンプス髄膜炎の経過は通常良好であることも知られています。7〜10日ほどこうした症状が続きますが、ムンプス髄膜炎は特別な後遺症を残すことなく改善することが多いです。

検査・診断

ムンプス髄膜炎の診断では、髄膜炎の臨床所見とムンプスウイルスの存在の確認をします。髄膜炎が疑われる場合、髄液を採取して、髄液中の糖分やタンパク質、細胞数などを測定します。髄膜炎は細菌やウイルスなどで引き起こされますが、こうした項目を確認することで、細菌が原因なのかウイルスが原因なのかを推定できます。

ムンプスウイルスが原因病原体であることを証明するには、血液や髄液等を用いたウイルスの分離・同定が重要です。ウイルス分離による直接的なウイルスの存在の証明、ムンプスウイルス特有の遺伝子の検出を目的としたPCR法によりウイルスDNAの証明が行われます。また、ムンプスウイルスに感染すると、防御反応としてIgMやIgGと呼ばれる抗体がつくられます。こうした抗体を検出することで、ウイルス感染の間接的な証明が可能です。

治療

ムンプス髄膜炎に対しての根治的な治療方法はなく、生じる症状に対しての対症療法が中心になります。頭痛や発熱に対しては解熱鎮痛剤が用いられ、吐き気や嘔吐のために食事摂取が出来ない時には補液による水分補給が検討されます。細菌性髄膜炎と異なり治療予後は良好であり、自然治癒を期待して対症療法を行うことになります。