めっけるけいしつ

メッケル憩室

最終更新日:
2024年10月24日
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2024/10/24
更新しました
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概要

メッケル憩室とは、小腸の一部の壁が袋状の突起物のように外側に飛び出た状態を指します。

メッケル憩室は、胎児の間(胎生期)に一時的に発生する卵黄管という管状の組織が、消失せず残ることで発生します。一般的に無症状で経過しますが、腸閉塞(ちょうへいそく)憩室炎を合併する例や、腹痛や下血などの自覚症状を認める例もあります。

通常、メッケル憩室は腸粘膜で覆われていますが、まれに胃の粘膜組織が存在する場合があります。そこから胃酸が分泌され小腸に潰瘍ができると、大量出血を引き起こすこともあります。メッケル憩室を認める場合には、一般的に外科的手術が考慮されます。

原因

メッケル憩室は、胎生期の初期に一時的に発生する卵黄管という組織が消失せずにそのまま残ったものを指します。卵黄管とは、(へそ)の緒(臍帯(さいたい))と小腸の間に発生する管で、母体から栄養を補給する役割を担う器官です。本来であれば発生後まもなく消失しますが、残留したまま残った場合にメッケル憩室となります。

なお、小腸以外にも、管状や筒状の臓器(腸、血管、膀胱など)に同様の突起物が発生することがあり、これらを総称して“憩室”と呼びます。

症状

メッケル憩室を認める場合でも、多くは無症状で経過します。しかし、合併症を併発してさまざまな腹部症状がみられることもあります。合併症には、メッケル憩室に炎症が生じる憩室炎や、メッケル憩室に穴が開くことで生じる腹膜炎などが挙げられます。

憩室炎を伴う場合、強い腹痛や嘔吐などがみられることがあります。腹膜炎でも同様に強い腹痛がみられるほか、感染や脱水などをきたすケースもあります。

また、メッケル憩室に膵臓(すいぞう)や胃の組織が混入している症例も存在します。特に胃の組織の混入を認める場合、小腸内に胃酸が分泌され潰瘍ができることがあります。潰瘍が形成され、そこから出血すると腸管内の粘液と血液が混ざり、イチゴゼリー状の便を認めることがあるほか、ときに大量出血を起こすケースもあります。さらに、メッケル憩室が反転して腸重積症*を生じると、腹痛や下血に加え、嘔吐などの症状が出現することがあります。

このほか、メッケル憩室と臍、もしくは内臓の表面を覆っている腹膜の一部である腸間膜の間に紐状の組織が存在することが多く、その紐状の組織に腸管が巻き付くと、絞扼性腸閉塞(こうやくせいちょうへいそく)を併発し、腸が壊死(えし)して重篤な状態に陥ることもあります。

*腸重積症:腸の一部が肛門側に向かって入り込むように重なり、狭くなった状態のこと。

検査・診断

無症状の場合は、別の病気を治療するために受けた外科的手術によってたまたま発見され、メッケル憩室の診断に至るケースが多いとされています。

一方、下血など明らかに自覚症状がある場合は、原因を特定するために腹部X線、CT、小腸内視鏡、カプセル内視鏡*、シンチグラフィ**などの画像検査を行います。ただし、自覚症状が腹痛しかないケースでは、腸閉塞や虫垂炎などの病気との鑑別が困難な場合もあり、手術をして初めてメッケル憩室の診断に至ることもあります。

*カプセル内視鏡:小型のカメラが搭載されたカプセルを飲む方法で行う内視鏡検査のこと。

**シンチグラフィ:人体に無害な放射性物質を含む薬剤を静脈注射した後、放射線検出用カメラで撮影することで薬剤の分布を調べる検査のこと。使う薬剤によって検出対象が異なり、メッケル憩室を見つけるためのものや、消化管からの出血部位の特定を目的として行われるものがある。

治療

メッケル憩室では、一般的に外科手術によってその部分を切除する方法が考慮されます。

近年では腹部を大きく切開せず、小さな穴を開けて手術用の器具を挿入して行う腹腔鏡下(ふくくうきょうか)手術も行われています。

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