めっけるけいしつ

メッケル憩室

大腸・小腸

目次

項目をクリックすると該当箇所へジャンプします。

概要

メッケル憩室とは、小腸の壁の一部が袋状になって外側に突き出たものを言い、このような憩室が生まれつきにある小児がいます。消化管に関連した形態の異常としてはもっとも頻度の高いものであり、2%前後の人がもっているといわれています。その多くは無症状ですが、なかには腹痛や出血などをきたし治療介入が必要になることもある病気です。

メッケル憩室の多くは2歳までに発症します。さらに、2種類の臓器に関連した組織(胃とすい臓)がメッケル憩室内に認めることもあり、メッケル憩室の症状を引き起こし得ます。

原因

妊娠初期の段階で、赤ちゃんの小腸は卵黄のうと呼ばれる体の外の空間とつながっています。卵黄のうと小腸をつなぐため、卵黄管と呼ばれる組織がへその緒の中に存在していますが、通常は妊娠7週頃までに卵黄管は閉鎖します。しかし、卵黄管がうまく閉鎖せず残ったときにメッケル憩室が発生します。

メッケル憩室の粘膜には、胃やすい臓の組織の一部が認められることもあります。本来存在するべき部位以外にこれらの組織が認められることから、異所性組織と呼ばれることもあります。

症状

メッケル憩室をもっていても多くの方は無症状で経過します。そのため、別の理由でお腹の手術をした際に、偶然メッケル憩室が指摘されることもあります。

メッケル憩室には胃の粘膜が紛れ込んでいる場合があり、胃酸がつくられる関係から粘膜に潰瘍(かいよう)が形成されることがあります。この場合は、消化管出血という形をきっかけとしてメッケル憩室が指摘されることがあります。出血以外に、腸閉塞、メッケル憩室炎、穿孔(せんこう)といった形で発症することがあります。これらの場合は、嘔吐や腹痛、発熱などの症状が現れます。

メッケル憩室では、腹痛や出血などの症状が現れる場合がありますが、初診の段階で診断することは容易ではありません。しかし、メッケル憩室を疑うべき臨床経過もあります。たとえば、乳児で腸重積を認めることは多いですが、多くの場合は1回の発症のみです。一方、メッケル憩室でも腸重積を引き起こすことがありますが、典型的な腸重積と異なり発症年齢が高く、繰り返すことがあります。こうした非典型的な腸重積を見たときには、メッケル憩室を疑う必要があります。そのほか、虫垂炎と似たような症状を現すこともあります。

検査・診断

メッケル憩室の診断は、アイソトープ検査、腸管動脈造影、小腸内視鏡、試験的開腹術などを組み合わせて行います。メッケル憩室では出血や腹痛などの症状がある場合がありますが、これらの症状に合わせてどの検査を行うかを決定します。

また、胃の粘膜組織が入り込んでいる場合には、胃の粘膜に親和性のある放射性テクネシウムを用いたシンチグラムで同定するアイソトープ検査が有用なこともあります。メッケル憩室は上腸間膜動脈と呼ばれる動脈で血液の供給を受けています。出血をきたしている場合には、この動脈を介してメッケル憩室から出血していることが造影検査で同定できることもあります。

しかし、メッケル憩室の診断は必ずしも容易ではありません。メッケル憩室が疑われるにもかかわらず、種々の検査で確定できない場合、お腹を実際に開けて直接病変部位を観察する試験的開腹術が行われることもあります。

治療

メッケル憩室の治療は手術が基本です。メッケル憩室では、ときに周辺の小腸にも影響がみられることもあるため、周辺組織に対しての手術介入を行うことがあります。炎症や出血による影響がメッケル憩室のみに限るようであれば、メッケル憩室を切除します。小腸にも影響が起きているときには、腸管切除・吻合(ふんごう)術が必要になることもあります。