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ランドウ・クレフナー症候群

最終更新日
2017年04月25日
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2017/04/25
掲載しました。

概要

ランドウ・クレフナー症候群(Landau-Kleffner syndrome ; LKS)とは、就学前後の子どもに発症する神経疾患で、指定難病のひとつです。

耳の機能には異常がないのに、発症前は発達が正常であった子どもに、言葉が聞き取れない、音の意味が理解できないといった症状が現れることが特徴です。また、急性期にはすべての方が高度な脳波異常を伴い、てんかん発作が相前後して発症することが多く、行動異常がみられることもあります。

2014年に報告された疫学調査によれば、5歳から15歳未満の子どもで毎年新たに発症する患者さんの数はおよそ100万人に1人と推定されています。

原因

ランドウ・クレフナー症候群の原因は、現在のところ医学的に明らかになってはいません(2018年時点)。脳波上のてんかん性発作波との関係が推定されてはいますが、ステロイド治療により改善する場合があることから免疫学的機序も疑われているほか、遺伝子異常の報告もあります。しかし、いずれも確立されている説ではありません。

また、患者さんご本人や親御さんの生活習慣、妊娠時の行動などが発症のきっかけになることはありません。

症状

ランドウ・クレフナー症候群の主な症状は、言語聴覚症状です。音としては聞こえているのに意味を理解できない「聴覚失認」が主な症状です。発症初期には、重度の場合は言葉を理解したり、話したりする能力に障害が生じる「失語症」の状態が生じます。

患者さんの約70~80%は、言語聴覚症状が現れる前後にてんかん発作を伴います。多動や興奮しやすさなどの行動異常が一時的にみられることもあります。

また、発症急性期にはすべての方に高度な脳波異常が認められます。脳波異常は、起きているときは散発的でも、眠っているときは脳全体に異常な波が持続して発生する頻度が高いことが特徴です。

検査・診断

ランドウ・クレフナー症候群は、臨床症状に加えて主に脳波検査と聴力検査とにより診断がつけられます。脳波検査では高度のてんかん性の異常波があることを必ず確認します。標準的な聴力検査では聴力正常なのに、言葉の聞き取りや環境音の理解がわるいことで確認されます。急性期には、患者さんはこういった聴力検査に協力できないことが多いので、本人の協力を得られなくても聴力の評価ができる聴性脳幹反応(ABR検査)を実施して聴力が正常であることを確認します。

治療

てんかん発作に対しては、薬物療法が有効で、発作型にあった抗てんかん薬によりほとんどがよくなり、遅くとも思春期を過ぎるころまでには発作は消失します。

言語聴覚症状については、抗てんかん薬を用いても改善しないことが多く、発症から比較的日が浅く、症状が重い場合はステロイドパルス療法(3日間程度連続してステロイドを点滴静注する治療法を1ないし数回実施する方法)や経口ステロイド療法が検討されます。

聴覚言語機能自体も次第に改善し、完全に治癒する場合も多いですが、大人になっても聴覚失認の後遺症が残ることもあります。急性期をすぎても継続して言語療法に取り組むことが大切です。

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