治療
上記の検査で診断が確定された場合でも、病気の進行がゆっくりであること、初期の段階で治療することによる生存期間の延長がはっきりせず、逆に治療に伴う副作用のデメリットが上回ると考えられるため、症状がない場合は血液検査の異常の程度によっては治療を延期します。その際は検査値の異常の程度や病院の方針にもよりますが、4か月~1年に一度程度血液検査を行って病気の進行度合いを確認します。
症状を伴う段階まで病気が進行する際は、診断から5年以内に起こる場合が多く、逆に診断後も血液検査の結果が安定している場合はこれらの病気を持たない方と同程度の寿命が期待できる場合もあります。診断に加えて、上で述べた様な症状が認められる場合は治療が必要となります。
また、症状がない場合でも血液検査で貧血や血小板減少が高度の場合は、病気の進行のリスクが高いと判断して治療を開始します。 現段階ではこの病気は完治が見込めませんので、病気の症状のコントロール、合併症の予防が治療の目的となります。完治が見込めないというと当然ショックを受けられるとは思いますが、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣に伴う慢性疾患も完治が見込めない場合が多く、治療の目的は心筋梗塞や脳梗塞の予防です。治療にも依りますが、初期治療は長期入院を必要とするものではありませんし肩を落とさないでください。
治療の流れとしては、まず過粘稠度症候群による症状が強い場合は、入院してプラスマフェレーシスという、血液中で多くなり過ぎたタンパク質を除去する治療を行います。血液透析で使用する様な、太い静脈路を確保して透析機で数時間血液を濾過します。
過粘稠度症候群が認められない場合や、プラスマフェレーシスを行なった後は、リツキシマブという、B細胞の表面にあるCD20という分子に特異的に作用する薬剤を中心に、その他のさまざまな化学療法を組み合わせて治療を行います。リツキシマブを投与した直後は、一時的に病気が悪化する場合があるので注意深い観察が必要ですが、これが現在最も標準的な治療法です。
残念ながら時間経過によっていずれは病気が再発しますが、年齢と健康状態によって自己造血幹細胞移植による更なる病気の長期コントロールを目指すことが可能な場合もありますし、別の治療選択肢も現時点で複数あります。
治療後は血液中の免疫グロブリン値を定期的に測定しますが、数値が上がったから必ずしも治療が必要な訳ではなく、症状の再発や貧血、血小板減少の程度が再治療開始の目安になります。最初の治療終了から、症状再発まで3年以上時間が経っている場合は、最初の治療が顕著に有効であったと判断して同じ治療を繰り返します。
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