概要
レノックス・ガストー症候群とは、てんかん発作を引き起こす病気の1つです。子どもの頃に発症し、さまざまなタイプのてんかん発作が現れて知的障害を伴いやすいとされています。
主な原因は、生まれつきの脳の形態異常のほか、脳腫瘍・低酸素脳症などの病気や外傷による脳へのダメージなどですが、原因がはっきり分からないケースも少なくありません。
治療はてんかん発作を抑えるための薬物療法を行いますが、薬が効きにくいことも多く、大人になっても治らないケースがほとんどとされています。また、意識を失うタイプのてんかん発作が生じる場合には転倒などによって思わぬけがをすることもあるため、ヘッドギアなどの装着が必要になることもあります。
原因
レノックス・ガストー症候群ははっきりとした原因が不明なケースもありますが、生まれつきの脳の形態異常、出産時などに起こる低酸素脳症、脳腫瘍、頭部外傷による脳への大きなダメージなど脳に何らかの異常がある人、代謝や染色体、遺伝子の異常がある人が発症するケースが多いとされています。しかし現在のところ、明確な発症メカニズムは解明されていません。
一方、乳児期に発症するてんかんの一種である“ウエスト症候群”の多くは脳への重篤なダメージが原因で発症します。このうち4~6割はレノックス・ガストー症候群に移行するとされており、発病との関連が指摘されています。
症状
レノックス・ガストー症候群ではさまざまなタイプのてんかん発作が引き起こされます。
睡眠中に生じるてんかん発作としては、体が左右対称に固くなって白目になったり、腕が上がったりする“強直発作”があります。起きているときに生じるてんかん発作としては、突然筋肉の緊張が失われる“脱力発作”、突然ぼーっとする“非定型欠神発作”などが挙げられます。また、多くの患者はてんかん発作が反復して5分以上続く“てんかん重積”が生じるとされています。てんかん発作のタイプによっては、突然意識を失ったり脱力したりすることがあり、転倒した際に顔や頭に思わぬけがをするケースも少なくため注意が必要です。
なお、レノックス・ガストー症候群は患者の8~9割で知的障害がみられ、大人になってもてんかん発作が改善しないケースが多いのも特徴です。
検査・診断
レノックス・ガストー症候群が疑われる場合は以下のような検査が必要になります。
脳波検査
脳の電気的な活動を波形として記録する検査です。レノックス・ガストー症候群は特徴的な波形の変化がみられるため、確定診断を行ううえで必要な検査となります。
画像検査
脳の形態的な異常や脳腫瘍などの病気の有無を調べるために画像検査を行うのが一般的です。
血液検査
てんかん発作は代謝の異常などによって引き起こされることもあるため、電解質などを調べるために血液検査を行うこともあります。
治療
レノックス・ガストー症候群の基本的な治療は抗てんかん薬を用いた薬物療法です。てんかん発作のタイプは多岐にわたるため、さまざまな種類の抗てんかん薬が用いられますが、十分な効果を得られないケースが少なくありません。そのため、治療効果を正しく判定しながら患者に合った薬の組み合わせを見つけていくこととなります。
また、レノックス・ガストー症候群では抗てんかん薬による薬物療法以外にも、ステロイド、副腎皮質刺激ホルモンを使用した治療が行われることもあります。さらに、“低炭水化物・高脂肪食”を基本として体内のケトン体を増やしててんかん発作を抑制するケトン食療法や脱力発作に対する脳梁離断術や迷走神経刺激術などの外科手術が有効なケースもあります。このように、ほかのてんかん発作を引き起こす病気と比較して特殊な治療を行うことが少なくありません。
予防
レノックス・ガストー症候群を予防する方法は現在のところ解明されていません。
しかし、発症した場合はてんかん発作を予防するために医師の指示に従って治療を続けることが大切です。また、睡眠不足などを避けて規則正しい生活を送ることもてんかん発作の予防方法の1つとされています。
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