概要
乳管拡張症とは、母乳の通り道である乳管が拡張した状態を指します。乳管が拡張すると同時に、乳管の壁が通常よりも分厚くなることもあります。
多くの場合、特別な症状は現れません。そのため、超音波検査などを通して偶発的に病気が見つかる場合もあります。
なお、乳管拡張症は、閉経時期に近い女性においてみられることが多い病気です。
原因
乳管拡張症がなぜ発症するか、原因は完全には解明されていません。しかし、いくつかの要因が病気の発症に関連することが推定されています。
具体的には、乳房の組織が年齢的に構造的な変化を起こすことがひとつの原因であると考えられています。また、陥没乳頭や喫煙習慣なども乳管拡張症の発症に関与していることが推定されています。
症状
多くの場合、特別な症状はありません。そのため、乳房の超音波検査などを通して偶発的に病気の存在が見つかり、指摘されることがあります。
無症状で経過することが多いですが、一方で何かしらの自覚症状が出現することもあります。たとえば、液体成分が乳房から分泌されることがあります。
また、拡張した乳管がしこりとして触れることもあります。さらには、乳頭が内側に陥没するようなこともあります。なお、乳管拡張症では感染症が併発することもあり、それに関連した発熱や痛み、発赤などが生じることもあります。
検査・診断
乳管拡張症は、超音波検査やマンモグラフィーといった検査を通して指摘されることがあります。乳房からの分泌物がある場合には、顕微鏡的に観察して異常な細胞が存在していないかを確認することもあります。
乳管拡張症で生じる症状は、乳がんでもみられることがある症状です。そのため、診断をより確実にするために、病変部位から組織の一部を採取して顕微鏡で確認する病理検査が行われることもあります。
治療
乳管拡張症は必ずしも治療が必要なわけではなく、特別な症状がない場合には慎重な経過観察を行うこともあります。症状がある場合でも、治療介入を行わないまま自然に消失することがあります。
感染症を併発している場合には、抗生物質や解熱鎮痛剤の使用を検討します。そのほかにも、腫瘤形成がある場合、分泌物が持続する場合、抗生物質に対しての反応性が悪い場合などでは、病変部位を手術的に切除することも検討されます。
乳管拡張症そのものは悪性腫瘍ではありませんが、症状としてしこりや分泌物の出現、陥没乳頭の形成など乳房の変化を伴うことがあります。こうした症状は乳がんでもみられるものであるため、両者を鑑別(見分けること)することはとても重要です。
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