症状
骨折により出血が起こると耳の周囲に出血斑が現れることがあります。また、外耳道に出血がみられることがありますが、出血源は外耳道だけではなく、中耳よりも奥の場合があり、鼓膜損傷を示唆する所見であるといえます。
さらに、側頭骨骨折によって外耳道から髄液が漏れ出すことがあり、髄膜炎の発症リスクが高まります。髄膜炎を発症すると頭痛や吐き気、嘔吐、意識障害などの症状がみられます。また、原因の項目で述べたように、側頭骨周辺には脳神経や血管などの重要構造物があります。顔面神経は、顔面の表情筋を動かすのに重要な役割を担っています。そのため、顔面神経が損傷を受けると、表情が作りにくくなり、口から水がこぼれる、目をしっかりと閉じることができなくなるなどの症状が現れます。
さらに側頭骨骨折では、内耳や前庭神経の障害を併発することもあり、ふらつきやめまい、耳鳴りなどの症状が出現します。側頭骨骨折の経過では、聞こえや顔面神経への影響などが外傷後早期に出現することもあれば、時間経過をおいてから遅発性に発症することもあります。また、外傷を契機にして発症するため、受傷後早期には本人の意識状態が悪いこともあります。
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