そくとうこつこっせつ

側頭骨骨折

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

側頭骨骨折とは、側頭部に対しての外傷をきっかけに起こる側頭骨の骨折です。
側頭部には、さまざまな神経や耳など複雑かつ重要な構造物が数多く存在しています。そのため、側頭骨骨折を起こすと聞こえの低下、ふらつき、顔面神経麻痺などを併発することがあります。

さらに、頭部外傷によって骨折だけではなく、脳へのダメージを併発することがあるため、合併するその他の臓器障害の把握も大切です。
さまざまな合併症を来たしうる側頭骨骨折は、早期に合併症の有無をきちんと把握し、いかに治療へとつなげるかが重要な鍵となります。
 

原因

側頭部骨折は、側頭部に対しての外力をきっかけとして発症します。たとえば交通事故やスポーツなどで側頭部を強打し、発症するケースが多いです。

側頭部の周囲には中耳や内耳といった聴こえやバランス感覚に重要な役割を担う構造物があります。また、前庭神経や顔面神経、内頸動脈や頸静脈も存在しています。さらに側頭骨は、脳から見た際の床に当たる部分も構成しています。
こうした解剖学的な特徴から、側頭骨は脳や耳、各種脳神経や血管を保護する役割を持っています。そのため、側頭骨骨折によって重要構造物が同時に損傷される可能性が考えられます。

また、側頭骨骨折では、骨折線の入り方に応じた分類があります。
縦骨折は、横骨折よりも頻度が高く、それぞれ合併する特徴に違いがあります。縦骨折の場合、中耳や鼓膜損傷などを来たしやすく、顔面神経への影響から表情筋の麻痺が起こることが多いです。一方、横骨折ではさらに前庭機能に対しての影響が起きるリスクがあります。
 

症状

骨折により出血が起こると耳の周囲に出血斑が現れることがあります。また、外耳道に出血がみられることがありますが、出血源は外耳道だけではなく、中耳よりも奥の場合があり、鼓膜損傷を示唆する所見であるといえます。

さらに、側頭骨骨折によって外耳道から髄液が漏れ出すことがあり、髄膜炎の発症リスクが高まります。髄膜炎を発症すると頭痛や吐き気、嘔吐、意識障害などの症状がみられます。また、原因の項目で述べたように、側頭骨周辺には脳神経や血管などの重要構造物があります。顔面神経は、顔面の表情筋を動かすのに重要な役割を担っています。そのため、顔面神経が損傷を受けると、表情が作りにくくなり、口から水がこぼれる、目をしっかりと閉じることができなくなるなどの症状が現れます。

さらに側頭骨骨折では、内耳や前庭神経の障害を併発することもあり、ふらつきやめまい、耳鳴りなどの症状が出現します。側頭骨骨折の経過では、聞こえや顔面神経への影響などが外傷後早期に出現することもあれば、時間経過をおいてから遅発性に発症することもあります。また、外傷を契機にして発症するため、受傷後早期には本人の意識状態が悪いこともあります。
 

検査・診断

側頭骨骨折は、エックス線検査やCT検査によって診断されます。
重症度が高いと予測される場合には、特にCT検査が重要です。CT検査では、骨折だけでなく、合併して損傷を受けている器官がより正確にわかります。

また、側頭骨骨折では耳の聞こえが低下することがあります。聴力低下は、鼓膜損傷などによる物理的な音の伝わりが悪いことや、内耳損傷などで神経学的に聴力が低下していることが原因として考えられます。そのため聴力障害が生じている原因を明らかにするために聴力検査を行うことも重要です。さらに、症状に応じて顔面神経の麻痺について検査します。また、髄膜炎の発症が疑われる際には、髄液検査が行われます。
 

治療

顔面神経麻痺、聴力障害、前庭機能障害、髄液の漏出などに対してアプローチしながら治療を行います。

受傷後早期の段階で高度の顔面神経麻痺を生じている場合には、手術的な治療介入が検討されます。程度の軽いもの、もしくは遅発性に生じる顔面神経麻痺は、ステロイドを中心とした保存的療法が選択されます。聴力障害は損傷部位によって発症機序が異なります。手術的な治療が必要となる場合もあれば、保存的な治療で経過をみることもあり、病態にあわせて適切な治療方針を決定することが重要です。さらに、外リンパ瘻を伴う場合にも手術が検討されます。

髄液の漏出に対しては、数日の間に自然に止まることが期待できますが、状況によっては外科的な治療を要します。

側頭骨骨折では、骨折というひとつの側面のみで治療方針を決定することは難しく、複雑な病態を正確に把握しながら、治療法を選択することが重要です。
 

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