症状
先天性胆道拡張症では腹痛、黄疸、腹部腫瘤(拡張した胆管が腫れあがり、外側から固い腫瘤が触れる状態)が自覚症状としてみられます。実際に病気を発見されるきっかけとしては、腹痛など自覚症状と血液検査にて判明する肝機能異常および高アミラーゼ血症になります。
腹痛の出現には、膵管中に形成される蛋白栓と呼ばれる物質が深く関係しています。膵液が逆流しうっ滞すると、膵液中のたんぱく質が結晶として出現します。膵管内のたんぱく成分が濃くなると、ここに塊ができます。これが蛋白栓です。蛋白栓はやがてカルシウムを取り込み、濃い膵石(膵管内にできた石)となります。
先天性胆道拡張症の症状である腹部激痛や肝機能異常は、蛋白栓が胆管や膵管に詰まり、胆汁や膵液がたまって胆管・膵管の内圧が一過性に上昇することで起こります。大半の蛋白栓は脆く、自然排出されるため腹痛などの症状はすぐに消失します。
しかし、まれに堅い蛋白栓ができることがあり、この場合は腹痛が現れます。堅い蛋白栓によって膵管・胆管の閉塞が持続すると膵液や胆汁の流れがせき止められ、膵炎や黄疸、胆管炎を生じ、さらに蛋白栓による閉塞が長時間に及ぶと胆管内の圧が上昇し、胆管に穴があく(穿孔)こともあります。
逆の見方をすると、先天性胆道拡張症では蛋白栓が悪さをしない場合には腹痛が見られないため、先天的に解剖学的な異常があっても診断には至りにくいです。そのため、病気の存在に長年気づかず、成人になってから発見されることもあります。
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