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卵巣出血

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概要

卵巣出血とは排卵や外的な刺激等により生じた卵巣の傷から出血する状態を指します。20~30歳代の女性に多くみられますが、年齢に関わらず排卵がある女性には誰にでも起きる可能性があります。

原因

卵巣出血の原因としては特発性、外因性、内因性に分類されます。 特発性の卵巣出血には月経周期にともなう卵巣のダイナミックな変化が関係します。卵巣内には卵胞と呼ばれる卵子を包み込む袋があり、この卵胞が月経直後より成熟にともなって徐々に増大していきます。

月経周期が一般的な28日周期の女性の場合、月経開始日から約14日目に成熟した卵胞から卵子が放出され、これを排卵と呼びます。排卵後は、卵子を放出した卵胞に変化が生じ、黄体という構造に変化します。黄体はホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)を分泌することで子宮内膜の厚みを保ち、妊娠が生じやすい状態を維持します。

黄体は1週間程度でもっとも大きくなりますが、妊娠に至らなければホルモン分泌をやめ、次の月経が生じます。妊娠に至った場合は4か月程度黄体が機能しその後消退します。 特発性の卵巣出血の原因として もっとも多いのが 黄体からの出血です。ついで排卵時の出血が挙げられます。

黄体内には微小な血管が多く含まれるため、性交渉などの何らかの原因によって黄体内の血管が破綻することで出血を生じます。特に黄体がもっとも大きくなる月経1週間前の時期が高頻度です。

また、排卵時は卵子を放出する際、卵巣の表層の部分が破け、破綻部から出血を生じます。卵巣出血を発症するきっかけは性交渉が約40%と最多ですが、特に誘因なく発症する場合も30%程度でみられます。

外因性の卵巣出血の原因は採卵などの不妊治療や卵巣手術による出血、子宮内膜症や悪性腫瘍の卵巣への波及などを背景とした出血が挙げられます。また内因性の出血の原因は血液凝固異常や抗凝固剤服用などがあります。

症状

卵巣出血の際にみられる主な症状は下腹部痛ですが、出血の程度により症状の強さや種類が異なります。腹痛は突然起こり、持続性で間欠性でないことが特徴です。腹痛の部位は出血した卵巣付近 (右側が60~80%と高頻度)に認めることが多いです。

また、出血量が多い場合、腹膜刺激により下腹部全体に痛みが広がり、嘔気や嘔吐、下痢などの症状をともなう場合があります。またさらに出血が多くなると血圧低下や顔面蒼白となりショック状態をきたすことがあります。 

検査・診断

下腹痛、腹腔内出血を生じる原因としてもっとも多いのは子宮外妊娠であり、症状も卵巣出血と類似することから、卵巣出血の際にはまず妊娠の有無を確認することが重要です。知らずに妊娠にしているという場合もしばしば見られるため、原則的に妊娠反応検査を行い、妊娠の有無を判定します。

続いて、内診、超音波検査を行います。内診により痛みの部位を確認、また経腟超音波で子宮及び付属器領域を観察します。腹腔内に出血している場合には出血の程度について経腟ないし経腹超音波検査で評価するとともに、血液検査で貧血の程度や血液の凝固能を評価します。CTやMRI検査も併用する場合やCT検査の結果診断に至る場合もあります。 

治療

卵巣出血の治療は出血の程度により異なります。多くの場合(80%程度)には自然に止血し、血液も自然吸収されることで症状が消退することが多く、経過観察が可能です。しかし、経過観察が可能な場合にも急な貧血進行を認める可能性があるため、多くの場合入院が必要となります。

出血量が少なく、血圧など循環動態が安定している場合、数日から1週間程度の安静入院として定期的な経腟超音波、血液検査を行い経時的に観察を行います。この際、症状が悪くならないか、腹腔内に貯留した血液が増加しないか、貧血が進行しないかなど、注意しながら総合的に判断を行います。

腹腔内出血が多くショック状態の場合や、出血が持続し貧血進行が疑われる場合には輸血や緊急手術が必要となる場合があります。手術療法には症状や出血量を参考に、開腹手術と腹腔鏡手術の2種類から選択されます。

止血は電気メスなどで焼灼止血を行う方法と、卵巣の一部分を切除して止血する方法があり、年齢や今後妊娠を希望するかどうかに基づき選択されます。なお、卵巣出血後は排卵機能が正常であれば、今後の妊娠や出産に影響しないことがほとんどです。 

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