だいどうみゃくにせんべん

大動脈二尖弁

同義語
大動脈弁二尖弁,二尖大動脈弁
最終更新日:
2025年01月20日
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2025/01/20
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概要

大動脈二尖弁とは、通常3枚あるはずの大動脈弁の弁尖(べんせん)が2枚しかない状態を指します。弁尖とは、心臓の弁を構成する膜状の組織です。大動脈二尖弁は生まれつき起こる先天的な病気で、発生頻度は出生児200人に1人程度とされ、男性に多いといわれています。

心臓は収縮と拡張を繰り返して全身に血液を循環させるポンプの役割をしています。血液を全身に送り出す心臓の出口に大動脈弁があり、血液が心臓から大動脈に送り出される時に弁が開き、その後は弁が閉じることで心臓から出た血液が心臓に戻らないようになっています。

通常、尖弁は薄い花びらのような形をしていて3枚で構成されています。しかし、大動脈二尖弁の場合、2枚しか存在しません。このため、正常な弁に比べて負荷がかかりやすく、弁が開きにくくなることがあります。また、一度心臓から送り出された血液が逆流することもあり、50歳代までの比較的若い時期から弁の機能不全が生じ、治療が必要になる場合があります。

治療としては、重度の弁機能障害が発生した場合や弁機能障害による症状が出現した場合に、薬物療法や外科的手術が行われます。

PIXTA
図:心臓と弁の構造
イラスト:PIXTA

原因

大動脈二尖弁は生まれつき起こる弁の形態異常ですが、その正確な発生メカニズムは解明されていません。この先天性疾患の頻度は比較的低いものの、家系内で遺伝する可能性があることが知られています。

大動脈弁の弁尖が2枚の場合でも、弁の機能が正常に保たれているうちは特に問題ありません。ただし、正常な3枚の弁尖と比べると弁への負担が大きくなりやすく、これにより弁の機能障害が生じやすい傾向があります。その結果として、弁周囲の狭窄(きょうさく)や開閉の異常、血液の逆流といったさまざまな病気を引き起こすリスクが高まります。

症状

大動脈二尖弁は、弁尖が2枚しかないという状態だけでは、通常は自覚症状を伴いません。しかし、この弁の形態異常により、大動脈弁狭窄症大動脈弁閉鎖不全症といった合併症が発生する可能性があります。これらの病気は、弁の開口部が狭くなったり、適切に閉じることができなくなったりすることで生じ、進行すると胸痛、息苦しさ、動悸、両足のむくみといった心不全症状、さらにはめまいや失神などの症状が現れることがあります。

また、より深刻な合併症として大動脈解離感染性心内膜炎を引き起こす可能性もあります。大動脈解離は前触れなく突然の激しい胸痛や背部痛を特徴とし、感染性心内膜炎は持続する発熱、悪寒、倦怠感、筋肉痛、関節痛、呼吸困難感、食欲不振、体重減少など、多様な症状を引き起こします。

さらに、大動脈二尖弁では高率に上行大動脈瘤を合併することが知られています。これは心臓から出て上に向かう上行大動脈の部分で、動脈の壁が薄くなりこぶのように膨らむ状態を指します。上行大動脈瘤の多くは自覚症状を伴いませんが、進行すると咳や血痰といった症状が現れることがあります。

検査・診断

大動脈二尖弁の検査では、主に身体診察と心臓超音波検査が行われます。身体診察では、聴診器で心雑音を確認し、異常が見つかれば大動脈二尖弁を疑い、心臓超音波検査で診断を確定します。この病気は経過とともに合併症が生じる可能性があるため、定期的な心臓超音波検査によるモニタリングが重要です。上行大動脈瘤を合併する場合には、CT検査にて大動脈の形状、大きさを定期的に検査する必要があります。

患者の状態に応じて、血液検査、心電図検査、CT検査、MRI検査などの追加検査が必要になることもあり、手術を検討する際には心臓カテーテル検査が行われることもあります。

治療

大動脈二尖弁があっても、特に症状がない場合は治療を行わず、定期的な経過観察を行います。ただし、年齢や体の状態などを考慮し、治療が必要と判断された場合は適切な対応を開始します。治療方法は、合併症の種類や重症度に応じて、薬物療法や外科手術などが選択されます。

薬物療法は、主に合併症の症状緩和と進行抑制を目的として行われます。主に血圧を下げる薬が使用され、心臓の負荷を軽減し、心不全の症状や進行を抑えます。

大動脈弁狭窄症大動脈弁閉鎖不全症などを合併した場合、患者の状態に応じて、外科的手術を行います。若年者では自身の弁を修復して機能を回復させる大動脈弁形成術が第一選択として考慮されますが、形成術が困難な場合には、劣化した大動脈弁を切除し人工弁に置き換える大動脈弁置換術が実施されます。また、高齢の患者に対しては、より低侵襲(ていしんしゅう)TAVI(タビ)(カテーテル治療*による弁置換術)という選択肢もあります。

*カテーテル治療:カテーテルと呼ばれる医療用の細い管を用いた治療法。

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