腹膜播種とは、がん細胞が腹膜に散らばるように転移した状態を指します。胃がんの再発時に多くみられる病態ですが、大腸がんに伴って発症することもあります。大腸がんで腹膜播種も起こしている場合、治療は主に化学療法によって行われます。
今回は、大腸がんにおける腹膜播種について、大阪市立十三市民病院 院長である西口幸雄先生と、同病院の外科・消化器外科部長である井上 透先生にお話をお伺いしました。
腹膜播種は、大腸がんの広がり方のひとつです。がん細胞が大腸の壁から飛び出し、腸管を覆っている腹膜に散らばるように転移した状態を指します。予後に影響する病態で、ステージⅣに分類されます。大腸がんの治療後に、再発で腹膜播種が起こることもあります。
腹膜播種が進行すると、お腹に痛みや張りが生じることがあります。
腹膜播種になると以下の症状をきたすことがあります。
など
腹膜播種は、進行するとがん性腹膜炎を起こし、腹部の痛みや張り、嘔吐などの症状が出ます。お腹の張りは、腹腔内にある体液が正常範囲を超えて溜まってしまう腹水という状態が原因となって起こります。
症状には個人差があり、患者さんによっては腹膜播種になっていても症状が現れないことがあります。
腹膜播種を伴う大腸がんの場合、手術で全てを切除することは難しいため、化学療法が基本です。化学療法で一定の期間治療をして、手術で切除可能な状態になった場合は手術をすることがあります。
また、大腸がんの手術と同時に、限局している腹膜播種を可能な範囲で切除することで予後が改善した例が報告されています。そのため、大腸がんの手術と同時に腹膜播種も切除できる場合は、患者さんの体に過度な負担がかからない程度で腹膜播種も切除します。
一般的に腹膜播種の予後は悪化しやすいと考えられています。しかし、治療により改善する可能性はあります。希望を捨てることなく、治療に取り組んでほしいと思います。
また、ご自宅で在宅医療を受けながら、化学療法を受けるために定期的に来院される患者さんもいらっしゃいます。当院では、地域のかかりつけの先生たちと連携しながら、このように在宅医療を受ける患者さんにも対応しています。在宅医療を希望される患者さんも当院にご相談ください。
大阪市立総合医療センター 病院長(大阪市立十三市民病院 元院長)
日本外科学会 外科専門医・指導医日本消化器外科学会 消化器外科専門医・消化器外科指導医・消化器がん外科治療認定医日本大腸肛門病学会 大腸肛門病専門医・大腸肛門病指導医日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医日本消化器病学会 消化器病専門医
大阪市立大学医学部を卒業後、大阪市立総合医療センターなどを経て、2018年4月より大阪市立十三市民病院の副院長を務める。大腸がんなどの手術を専門とし、自身も大腸がんを経験。常に患者さんとそのご家族の目線に立って治療法を提案している。また栄養療法に積極的に取り組み、術後の合併症を減らすために栄養の観点からも手厚くサポートしている。
西口 幸雄 先生の所属医療機関
大阪市立総合医療センター 消化器外科 部長(大阪市立十三市民病院 元外科部長)
日本外科学会 外科専門医・指導医日本消化器外科学会 消化器外科専門医・消化器外科指導医・消化器がん外科治療認定医日本大腸肛門病学会 大腸肛門病専門医日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医日本がん治療認定医機構 がん治療認定医日本内視鏡外科学会 技術認定取得者(消化器・一般外科領域) ICD制度協議会 インフェクションコントロールドクター
大阪市立大学 医学部を卒業後、同大学の医学部腫瘍外科学教室に入局。さらに大学院に進学し、研究に従事する。その後、複数の病院で消化器外科医としての経験を積む。主に下部消化管である小腸や大腸を専門とし、腹腔鏡手術に積極的に取り組んでいる。2019年には大阪市立十三市民病院 外科部長に就任。チーム医療を行う体制を築くため、日々尽力している。
井上 透 先生の所属医療機関
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