だいたいこつけいぶこっせつ

大腿骨頚部骨折

同義語
大腿骨頸部骨折
最終更新日:
2024年07月30日
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2024/07/30
更新しました
2017/04/25
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概要

大腿骨頚部骨折とは、股関節(こかんせつ)部分にある太ももの骨(大腿骨)の端が骨折した状態を指します。大腿骨の端には、“骨頭(こっとう)”という球状の骨があり、骨頭のくびれ部分を頚部といいます。頚部はくびれているため、転んだときや高いところから落ちたときに負荷がかかって骨折しやすいといわれています。大腿骨頚部骨折は特に骨密度が減少(骨粗鬆症)し、筋力が低下しやすい高齢の女性に多く生じます。

骨折直後から股関節部分に強い痛みを感じ、立ち上がることが難しくなります。治療は基本的に手術治療を行い、廃用症候群*を防ぐために術後早期からリハビリテーションを開始します。

大腿骨頚部骨折は高齢者が自力で歩行できなくなる原因としてもっとも多いものの1つです。転倒しないための筋力の維持と、転倒しても骨折しないようにするために骨粗鬆症の予防が大変重要です。

*廃用症候群:長期間の安静状態や活動量の低下によって生じる身体・精神機能の低下。

原因

大腿骨頚部骨折の主な原因は、転倒や高いところからの転落です。

高齢の方は、運動機能や視力の低下などによって転びやすく、筋力や骨密度の低下によって少しの衝撃でも骨折しやすいため、大腿骨頚部骨折を生じやすいといわれています。特に骨粗鬆症で、もともと骨がもろい状態の方だと足をひねる程度でも骨折することがあります。

最近では、著しく骨密度が低下すると転倒などの明らかなきっかけがないにもかかわらず、いつの間にか骨折する場合があることも分かっています。

症状

大腿骨頚部骨折を生じると、多くの場合で股関節部分に強い痛みが生じ、立ったり歩いたりすることが困難になります。ただし、骨折や骨のずれの程度が軽い場合は、痛みを伴うものの骨折後も歩けることもあります。

なお、大腿骨頚部骨折は骨折やずれ(転位)の程度により、Garden分類を用いてステージⅠ〜Ⅳの4段階に分類されます。

  • ステージⅠ……骨に部分的にひびが入った状態
  • ステージⅡ……骨折はしているが、折れた骨が正常な位置からずれていない状態
  • ステージⅢ……骨折した骨が正常な位置から部分的にずれている状態
  • ステージⅣ……骨折した骨が完全にずれている状態

検査・診断

主にX線検査を行い、大腿骨の状態を観察します。

骨が完全に折れておらずひびが入っている状態の場合にはX線検査の画像では分かりにくいこともあるため、CTやMRI検査を併せて行うこともあります。

治療

大腿骨頚部骨折の治療としては、保存治療または手術治療を行います。

骨折した骨のずれがない場合や、全身の状態、ほかの病気などを考慮して手術ができない場合は、ベッド上安静による保存治療が検討されることもありますが、一般的には早期の回復をめざして“骨接合術”または“人工骨頭置換術”という手術治療を行います。

骨接合術

折れた骨同士を金属の器具で固定する治療方法です。折れた部分のずれがほとんどないステージIまたはIIで選択されます。手術時間が短く、出血量も少なく済みます。

しかし、十分に固定ができていないと骨癒合(骨がつくこと)せず、偽関節とよばれる状態となったり、骨頭への血流が滞って骨頭壊死(こっとうえし)や骨頭がつぶれる遅発性骨頭陥没などの合併症を生じたりする可能性があります。これらの合併症が生じた場合には人工骨頭置換術での再手術が必要になります。

人工骨頭置換術

折れた骨頭を取り除き、人工の骨頭に置き換える手術です。一般的にはステージIIIやIVが適応となります。

骨接合術と比較すると手術時間が長く、出血量も多いものの、骨頭自体を切除するため骨頭壊死や遅発性骨頭陥没などの懸念はありません。ただし、脱臼や感染などの合併症の可能性があるほか、手術から長期間が経過すると人工骨頭のゆるみや骨盤側の軟骨がすり減り、再手術が必要になることもあります。

術後は体力や筋力が低下しないように早期からリハビリテーションを開始します。

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