治療
家族性高コレステロール血症は、幼少期から動脈硬化を進行させるため、若くして脳梗塞や心筋梗塞を引き起こすことがあります。特に重症(ホモ接合体)の場合はリスクが高くなるため、できるだけ早期に発見し、積極的な治療を行うことが必要です。
主な治療には生活習慣の改善、薬物療法、LDLアフェレシスがあります。
生活習慣の改善
コレステロールや動物性脂肪の少ない食事を心がけ、LDLコレステロール値が高くならないような食生活を身につけます。家族性高コレステロール血症では小児期から動脈硬化が進むため、子どもの頃から正しい食生活を送るようにします。また、運動はLDLコレステロールを下げる効果があります。
肥満、喫煙、高血圧、糖尿病は動脈硬化を発症、進展させる危険因子となるため、これらを避けることも大切です。
薬物治療
生活習慣の改善だけでLDLコレステロール値をコントロールできない場合は、治療薬の使用が必要になります。
主に使用される薬はスタチン系と呼ばれるコレステロールの合成を抑える薬です。薬の量が多いほどLDLコレステロールを低下させる作用は高くなりますが、その分副作用のリスクも高くなるため、まずは低用量から開始して薬の使い方を決めていきます。また、スタチンだけで効果が低い場合は、エゼチミブ、コレスチラミン、コレスチミド、プロブコールなど別の作用機序の薬を併用することもあります。
また、最近ではこれまで使われていた高コレステロール血症治療薬に加えて、PCSK9阻害薬と呼ばれる新しいタイプの注射薬が使えるようになりました。作用が非常に強力なため、従来のスタチン系などを使っても十分な効果が得られない患者さんで使用されることがあります。
LDLアフェレシス
LDLアフェレシスとは、血液透析のように血液を体外に循環させ、機械を使ってLDLを吸着して除去する治療です。ホモ接合体の家族性高コレステロール血症患者を中心に、いかなる薬物治療を行っても効果がみられない場合に用いられることがあります。
また、家族性高コレステロール血症治療の中心となるスタチン系薬剤は妊娠中、授乳中は使用できないため、スタチン系以外の薬剤でコントロールが難しい妊婦はLDLアフェレシスが必要になることがあります。
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