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慢性肉芽腫症
慢性肉芽腫症とは、体の中の免疫細胞がうまくはたらくことができない病気です。“慢性”とは、ゆっくり発症し進行する、という意味です。“免疫”とは体を守るしくみです。免疫細胞は通常、外敵を見つけて取り...
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慢性肉芽腫症まんせいにくげしゅしょう

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
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概要

慢性肉芽腫症とは、体の中の免疫細胞がうまくはたらくことができない病気です。“慢性”とは、ゆっくり発症し進行する、という意味です。“免疫”とは体を守るしくみです。免疫細胞は通常、外敵を見つけて取り除くことで感染症を防いでいます。

生まれつき(先天性)タンパク質を作る設計図(遺伝子)に異常があるため、免疫細胞がうまくはたらけなくなります。そのため、簡単に細菌などの病原菌に感染し体中に炎症が起きやすくなります。具体的には、肺や皮膚、リンパ節、肝臓に感染症が起き、“膿瘍(のうよう)”と呼ばれるウミの塊を作ることがあります。炎症が起きるために“肉芽”と呼ばれるできものが体中にでき、内臓に障害を引き起こすことがあります。胃や腸といった消化管や膀胱など尿の通り道に肉芽ができると問題になります。

ほとんどの症例は5歳以前に診断されます。この病気は子供に遺伝する可能性があり、日本人では“X連鎖型劣性遺伝”と呼ばれるタイプが多く、男の子に多く発症します。

原因

免疫細胞が感染症の原因となる外敵を倒せなくなってしまうことが原因です。免疫細胞は外敵が来た時にタンパク質(NADPHオキシダーゼ)を用いて活性酸素を作ります。慢性肉芽腫症は先天的なタンパク質の設計図(遺伝子)の異常により、感染源を攻撃するための活性酸素を作ることができなくなってしまいます。日本人では約20万人に一人の割合で発症しています。

症状

生後2-3か月から細菌やかびの仲間である真菌といった感染症の症状が出始めます。自覚症状としては、発熱、咳、呼吸困難、皮膚の痛み、腫れ、下痢、血便、腹痛、成長が遅くなる、などがあります。

このような自覚症状が表れにくい患者さんもいます。この場合、何度も肺炎や皮膚炎を繰り返すことで病気が判明することがあります。腹痛や下痢が数週間続いた場合、この病気の可能性があります。“膿瘍(のうよう)”と呼ばれるウミの塊や “肉芽”と呼ばれるできものが身体中にできて、肺炎や皮膚炎、リンパ炎、腸炎が起きることがあります。全身に感染症が広がる“敗血症”と呼ばれる合併症が起きた場合には、治療が困難になり重篤になる危険性があります。

検査・診断

血液検査

血液に含まれる免疫細胞を調べます。きちんと外敵を倒すはたらきが機能しているかどうか確認します。特に好中球と呼ばれる白血球の一種が、正常に外敵を攻撃できるのか詳細に調べます。また、繰り返す感染症によって引き起こされる炎症や貧血、タンパク質の異常などについてもわかります。

画像検査

肺炎や腸炎、皮膚炎などが考えられた場合、感染源を特定するために画像検査を行います。レントゲン検査やCT検査が一般的です。針はさしません。体にかかる負担は小さいです。

遺伝子検査

家族内にこの病気を発症した方がいた場合には、タンパク質(NADPHオキシダーゼ)の遺伝子を調べてどのような異常があるか調べます。複数の遺伝子異常があり、どの遺伝子異常があるかによって重症度が異なるため、治療の選択が大きく変わります。

治療

外来で通院を行いながら治療できます。治療の目的は感染症のコントロールです。細菌に対する抗生物質や真菌に対する抗真菌薬で治療を開始します。重度の感染症の場合は、入院し点滴で治療を行います。全身にできた肉芽腫が周囲の臓器に悪影響を及ぼす場合には、手術などで取り除くことがあります。症状が落ち着いた場合には、飲み薬(内服薬)で治療を行いながら外来で経過観察を行います。感染症が起きないように予防することが重要であり、抗生物質を定期的に内服しながら通院します。重度の感染症を繰り返す場合には、唯一完全に直すことのできる“造血幹細胞移植療法”を検討します。

感染症に対する治療

入院中は点滴にて抗生物質や抗真菌薬を投与します。外来通院しながら予防的に内服薬を継続します。インターフェロンガンマと呼ばれる薬で約3割の患者さんが重篤な感染症の発症を少なくすることができます。手洗いやうがいなど日常から感染症を予防することが重要です。インフルエンザや肺炎球菌などの予防接種も有効です。BCGは深在性リンパ節炎と呼ばれる合併症を引き起こすことがあるため主治医に相談してください。

造血幹細胞移植療法

重症型の一部の症例でこの治療を行います。HLA(組織適合性抗原)という型が一致するドナーから提供された造血幹細胞を移植することで、血液の大本の細胞を入れ替える治療です。唯一、慢性肉芽腫症を完全に直すことのできる治療です。大量の抗がん剤や放射線を用いて、骨髄にいるはたらけなくなった免疫細胞だけでなく正常の血液細胞まですべて破壊します。その後、ドナーさんから提供された造血幹細胞を移植し、患者さんの骨髄にうまく適合して正常な免疫細胞ができてくるのを待ちます。体にかかる負担が非常に大きく、この治療の合併症で重篤になる可能性もあるため、この治療を行うかどうか慎重に見極める必要があります。