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有馬症候群
有馬症候群とは、脳の奇形(特に小脳中部と呼ばれる部位に関して)、発達の遅れ、重度の腎障害にて特徴付けられる先天性疾患の一つを指します。有馬症候群はCEP290遺伝子と呼ばれる遺伝子異常に関連して...
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有馬症候群ありましょうこうぐん

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
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概要

有馬症候群とは、脳の奇形(特に小脳中部と呼ばれる部位に関して)、発達の遅れ、重度の腎障害にて特徴付けられる先天性疾患の一つを指します。有馬症候群はCEP290遺伝子と呼ばれる遺伝子異常に関連して発症することが知られており、「常染色体劣性」の遺伝形式をとります。日本においては難病指定を受けている疾患の一つであり、2012年の全国調査にて7人の患者さんがいらっしゃることが報告されています。 病気に対しての根本治療は確立されておらず、生命予後の既定となりうる腎障害に対しての治療が行われることになります。その他、運動精神発達の遅れを見ることも稀ではないため、リハビリテーションや療育が必要になる疾患です。 なお類似の臨床症状を呈する疾患として、Joubert症候群、COACH症候群、家族性若年性ネフロン癆を挙げることができます。

原因

有馬症候群はCEP290遺伝子と呼ばれる遺伝子異常を原因として発症します。CEP290遺伝子とは、「中心体」や「絨毛」として知られる器官に関連して重要な働きをしています。中心体は、細胞増殖の過程において一つの細胞が二つに分裂する際に重要な役割を担っています。絨毛とは細胞の表面に出ている突起物のような構造をしていますが、細胞の動きや化学物質による情報伝達に関与する構造物です。特に情報伝達は多くの臓器に存在することが知られており、脳や指、腎臓などの形成に深く関与しています。CEP290遺伝子に異常が生じると、中心体や絨毛の働きが障害を受けることになり、各種臓器の形成が阻害されることになります。その結果として、有馬症候群で認めるような各種症状を引き起こすことになります。 同じく絨毛に関与する遺伝子には、AHI1、NPHP1、NPHP6、MEM67などが知られていますが、同遺伝子に異常が生じると有馬症候群と類似の症状を引き起こします。全体を含めて、「Joubert症候群関連疾患」という名前で知られています。 有馬症候群は、「常染色体劣性遺伝」と呼ばれる遺伝形式で発症すると考えられています。一種類の遺伝子に注目してみた時、人の細胞には2つ遺伝子が存在していますが、それぞれ1つずつ両親から遺伝子を引き継ぎます。有馬症候群の原因遺伝子であるCEP290遺伝子も、一つの細胞の中に2つ存在することになります。1つのCEP290遺伝子に異常があるだけでは病気を発症することはありません。しかし、例えば両親がそれぞれ1つずつ異常なCEP290遺伝子を有する場合を想定すると、子どもに異常なCEP290遺伝子が同時に伝播する可能性があります。その結果、子どもが2つのCEP290遺伝子異常を抱えることとなり、この場合に病気が発症することになります。すなわち、両親は病気の保因者となります。常染色体劣性遺伝では、病気がお子さんに伝わる可能性は、理論上25%であり、病気の保因者となる可能性は50%です。

症状

有馬症候群は、脳の奇形(特に小脳中部と呼ばれる部位に関して)、発達の遅れ、重度の腎障害にて特徴付けられます。有馬症候群では、新生児期からの筋緊張の低下を認めます。早期の段階から重度の精神運動発達遅滞を生じます。腎機能障害は進行性であり、精神運動発達遅滞のフォローアップ中の尿検査などで異常を指摘されることもありますし、成長障害、不明熱といった症状をきっかけとして病気が判明することもあります。有馬症候群の原因遺伝子であるCEP290は網膜の形成にも関わっていることが推定されていることから、網膜の部分欠損に伴う視覚障害を認めることがあります。また、有馬症候群では、上まぶたがさがる「眼瞼下垂」といった症状を呈することもあります。さらに、眼振や無呼吸、過呼吸などの症状を呈することもあります。

検査・診断

有馬症候群の診断は、基本的には臨床症状を基盤として診断がなされることになります。各種の臓器障害を伴うことから、臓器障害の状況を評価するための検査が補助的に行われることがあります。頭部CTやMRIでは小脳虫部が形成されていないことが確認されますし、生命活動において必須である「脳幹」と呼ばれる部位にも異常が生じることが観察されます。 また腎機能障害を評価するために、血液検査(クレアチニンやBUN、電解質や貧血)、尿検査が行われることになります。腎臓のCTやMRI、超音波検査にて、腎臓に嚢胞が形成されていることを確認することもあります。さらに腎生検においては腎臓の組織を実際に採取し、「ネフロン癆」という有馬症候群で観察される病理学的な変化を見ることになります。 さらに、有馬症候群は網膜の異常を伴う疾患であることから、網膜電位検査を行うこともあります。

治療

有馬症候群に対しての根治的な治療方法は存在せず、症状に応じた支持療法が中心となります。無呼吸といった呼吸障害を見ることもあるため、人工呼吸管理が必要となることもあります。年齢を重ねるにつれて、精神運動発達遅滞が明らかになってくるため、早期の段階からのリハビリ、療育の導入が必要となります。幼少期に腎機能障害が明らかになり、腎不全へと至ることになります。この状況においては、透析や腎臓移植などを行うことが検討されます。