概要
汗孔角化症とは、四肢を中心として、円形のがさがさした皮膚病変が多発する病気です。男性に多く、自覚症状が乏しいことが多いです。分布によって数種類の病型に分けますが、明確でないことも多いです。発症の原因として、外傷・紫外線・免疫抑制状態などや一部の患者さんでは遺伝が関係していることがあります。
皮膚症状はよくなったり悪くなったりして、基本的に慢性的かつ寛徐に病気が経過します。ときにしこりのようになり、皮膚がんに移行する例もあります。治療は遮光の他、角質溶解剤やビタミンD3製剤などによる外用薬の使用、エトレチナート内服や、レーザーや手術などによる外科的な治療をすることがありますが、治療に抵抗性です。
原因
原因として、
などが考えられています。
以前は汗の孔(汗孔)が厚みを増して硬くなる(過角化)ことが関与していると考えられていましたが、皮膚病変が汗孔に限局しないことがわかっています。
症状
中央部は少し陥凹して萎縮し、辺縁は隆起を伴った円形のかさかさした皮疹が典型的です。皮膚病変の分布や経過で数種類の病型に分けますが、明確でないことも多いです。下記、参考程度として分類を記載します。
古典型(ミベリ型)
手足や顔面に小型の皮疹が左右対称に数個生じます。
日光表在播種型
特に日光に当たる腕や足の外側に小さな発疹が多数現れます。発疹が融合することもあります。
表在播種型
日光表在播種型とほぼ同様ですが、日光があたる部分以外にも発疹が現れます。
線状型
生まれたときから幼少期までの間に発疹ができ始め、線状・帯状に現れます。
掌蹠播種型
手のひらや足の裏に角化した小さな発疹が多数現れます。全身に拡大することもあります。
限局型
限られた部位に大型の発疹ができます。
検査・診断
典型的な皮膚の症状では、見た目でも診断がつくことが多いです。
尋常性乾癬、表皮母斑、疣贅、扁平苔癬などの病気と区別する必要があります。他の病気と区別が難しい時は、皮膚を採取して病理検査(皮膚生検)をすることがあります。
病理検査では、不全角化細胞の柱(cornoid lamella)、顆粒層欠如や中央部での表皮の菲薄化といった所見を認めます。
治療
投薬による治療や、外科的な処置による治療があります。いずれにしても基本的に慢性的かつ寛徐に病気が経過し、なかなか治療効果が出なかったり、再発をしたりすることも多いです。皮膚がんに移行した例では、手術の治療が必要です。
外用薬や内服薬による治療
汗孔角化症の治療は、主にサリチル酸ワセリンや尿素軟膏といった角質溶解剤、ビタミンD3軟膏、保湿剤の外用薬を用います。内服薬としては、レチノイド(エトレチナート)を用いることがあります。
外科的な処置による治療
処置などによる治療としては、液体窒素による凍結療法、切除手術による治療のほか、炭酸ガスレーザーやルビーレーザーなどのレーザー治療を行うことがあります。
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