インタビュー

狂犬病の原因は? どの地域で要注意?

狂犬病の原因は? どの地域で要注意?
青柳 有紀 先生

ダートマス大学 Clinical Assistant Professor of Medicine

青柳 有紀 先生

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この記事の最終更新は2015年05月02日です。

犬やその他の動物にかまれることで引き起こされる狂犬病。狂犬病は、発症するとほぼ100%死亡するという恐ろしい病気です。

狂犬病はそもそもどのような病気なのか、原因は何であるか、どのような地域に旅行をするときに注意をするべきなのかを、アフリカのルワンダで日々感染症と戦う医師、青柳先生にお伺いしました。

狂犬病は狂犬病ウイルス(リッサウイルス lyssavirus genus)に感染することで起こる病気です。狂犬病ウイルスへの感染は、狂犬病ウイルスに感染した動物に咬まれたり、体に傷口があったときに、感染した動物の唾液と接触したりすることで起こります。

その後、咬まれた傷口から狂犬病ウイルスが侵入し、人の筋肉などで増殖します。そして筋肉などで増殖した狂犬病ウイルスが神経細胞を通って脳まで移行します。

狂「犬」病と書きますが、必ずしも犬に限った話ではありません。犬以外でもコウモリ・キツネ・アライグマ・スカンク・ネコなどにも狂犬病ウイルスが感染している可能性があり、狂犬病の原因になっています。

地域によっても原因となる動物が異なります。アジアやアフリカなどの発展途上国で多い病気ですが、発展途上国での狂犬病の90%は、犬にかまれることによっておこる感染です。一方、南米ではコウモリが原因となることが多いですし、北米やヨーロッパではキツネ・アライグマ・スカンクなどの狂犬病が問題になっています。

日本で犬に咬まれても、狂犬病の心配はありません。日本国内では1956年を最後に発生がありません。1950年に制定された狂犬病予防法により、犬へのワクチン接種・検疫制度が整えられ、日本国内での狂犬病は撲滅されました。

一方で、1970年と2006年に狂犬病の流行国(それぞれネパールとフィリピン)で犬に咬まれて帰国後に発症したケースがあります。

日本では撲滅された狂犬病ですが、WHOの推計によると年間におよそ5万5千人の方が亡くなっており、海外へ旅行する際は注意が必要です。

狂犬病の流行地域を下記の図に示しました。日本人がよく旅行をする場所で特に注意が必要なのは、インド・中国・フィリピン・インドネシアのバリ島などです。それらの国に旅行する際には、犬に咬まれないようによく注意をしましょう。

  • ダートマス大学 Clinical Assistant Professor of Medicine

    青柳 有紀 先生

    国際機関勤務などを経て、群馬大学医学部医学科卒。米国での専門医研修後、アフリカ中部に位置するルワンダにて、現地の医師および医学生の臨床医学教育に従事。現在はニュージーランド北島の教育病院にて内科および感染症科コンサルタントとして勤務している。日本国、米国ニューハンプシャー州、およびニュージランド医師。

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