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インタビュー

狂犬病とはどんな病気?致死率ほぼ100%のその症状

狂犬病とはどんな病気?致死率ほぼ100%のその症状
青柳 有紀 先生

ダートマス大学 Clinical Assistant Professor of Medicine

青柳 有紀 先生

犬やその他の動物にかまれることで起こる狂犬病。狂犬病は、発症するとほぼ100%死亡するという恐ろしい病気です。

日本では既に撲滅された狂犬病ですが、インド、中国などの海外ではまだ注意をしなければならない病気です。狂犬病になるとどのような症状が起こるのか、どのような治療法があるのかを、アフリカのルワンダで日々感染症と戦う医師、青柳先生にお伺いしました。

狂犬病は狂犬病ウイルス(リッサウイルス lyssavirus genus)に感染することで起こる病気です。狂犬病ウイルスに感染した動物に咬まれることで、咬まれた傷口から狂犬病ウイルスが侵入し、人の筋肉などで増殖します。筋肉などで増殖した狂犬病ウイルスが、脳まで移行します。

一般的には、ウイルスが体内で増殖して、症状が出るまでの潜伏期間は1ヵ月から3ヵ月と言われています。ただし短い場合は数日、長い場合は数年という場合もあります。私がかつて勤務していた病院で扱ったケースでは、旅先の流行地で犬にかまれてから6ヶ月後に発症したという例がありました。

狂犬病の初期症状は、非特異的(この病気に特別な状態ではなく、一般的に様々な病気で起こりうる)な症状しか示しません。以下に挙げる風邪のような症状です。

通常は数日から1週間程度このような非特異的な症状が続きます。
それに引き続いて、狂犬病に特徴的な症状が起こります。

  • 興奮
  • 意識障害
  • 錯乱
  • 幻覚
  • 恐水症(水を飲むことを恐がったり、水が恐くて手が洗えなかったりするなど)
  • 恐風症(空調の風などを嫌がるなど)

やがて全身の麻痺やけいれん、不整脈などが起き、全身の臓器に障害が起こり、死に至ります。

狂犬病の診断は、病歴および症状で行われます。つまり、狂犬病の流行地域で犬などの動物に咬まれたかどうか、狂犬病に典型的な症状が出ているのかどうかということで診断されます。

ただし、半数以上の場合は死後に診断が確定しています。狂犬病は症状が出てしまったあとではもう手遅れという恐ろしい病気なのですが、残念ながら症状が出る前に診断するというのは極めて困難です。

発病したら基本的に致死率は100%という恐ろしい病気です。WHOの推計では年間約5万5千人の人が狂犬病で亡くなっています。

ただし過去には、狂犬病が発症してから生還したという例が存在します。

2004年にアメリカ・ウィスコンシン州のミルウォーキーで、15歳の女性がコウモリに咬まれた1か月後に狂犬病を発症しました。ミルウォーキープロトコルという治療法が行われた結果、彼女は回復しました。狂犬病のワクチンを接種しなかった患者で、狂犬病から生還した初めての患者です。

ミルウォーキープロトコルに関しての詳細は割愛しますが、ケタミンやミタゾラムなどの麻酔薬を使うことで脳の活動を一時的に抑え、狂犬病ウイルスに対する抗体ができるのを待つというアプローチです。

ミルウォーキープロトコルでも、生還する患者さんはごく一部(まだ数名しか生存例が見られていません)です。基本的には狂犬病が発症してからではもう手遅れなので、犬やその他の動物に咬まれたあとに発症をさせないように予防をするというのが狂犬病の最大の対処法です。

  • ダートマス大学 Clinical Assistant Professor of Medicine

    青柳 有紀 先生

    国際機関勤務などを経て、群馬大学医学部医学科卒。米国での専門医研修後、アフリカ中部に位置するルワンダにて、現地の医師および医学生の臨床医学教育に従事。現在はニュージーランド北島の教育病院にて内科および感染症科コンサルタントとして勤務している。日本国、米国ニューハンプシャー州、およびニュージランド医師。

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