ひふひけっかくせいこうさんきんしょう

皮膚非結核性抗酸菌症

最終更新日:
2018年07月19日
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2018/07/19
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概要

皮膚非結核性抗酸菌症とは、抗酸菌のうち、結核菌とらい菌以外の抗酸菌に感染することで生じる皮膚疾患です。

非結核性抗酸菌には100種類以上のものがあり、自然界に広く分布しています。すべての菌が人に感染するわけではありませんが、このなかでヒトに対して病原性を持つ菌が約30種類あることが知られています。

感染すると、もっとも病巣が形成されやすいのは肺ですが、皮膚は二番目に多く病変が現れるといわれています。一般的な感染症のように感染後に数日の潜伏期間を経て急激に発症することもありますが、数年以上の長い時間をかけて徐々に病変が現れるケースもあるのが特徴です。

感染の機会や症状、治療法などは非結核性抗酸菌の種類によって大きく異なります。

原因

結核性抗酸菌に感染することで発症します。病原性を持つ非結核性抗酸菌は約30種類程知られていますが、菌によって生息している場所は異なります。

一般的に非結核性抗酸菌は水や土壌、家畜の体内などに広く分布しており、これらと接点の多い職業に従事する人が感染しやすいといわれています。特に皮膚非結核性抗酸菌症のなかでも患者数が多いMycobacterium marinum感染症は水槽肉芽腫やプール肉芽腫とも呼ばれ、水族館の飼育員や熱帯魚を飼育する人が発症しやすいといわれています。

皮膚に非結核性抗酸菌症が生じる場合、菌を吸い込んで肺に感染したものが血液に乗って皮下に到達し、そこで病巣を形成する場合と、皮膚の小さな傷やアトピー性皮膚炎などで皮膚のバリア機能が低下している状態の毛包などから直接皮膚に感染する場合があります。

前者はAIDS患者さんなど免疫力が著しく低下している人に生じやすく、後者は健常な人でも起こり得ます。

症状

症状は感染した菌によって異なりますが、国内で多く見られる皮膚非結核性抗酸菌症の症状は下記の通りです。

Mycobacterium marinum感染症(水槽肉芽腫)

プールや水槽の汚染された水を介して、菌が皮膚の傷に感染します。感染が成立すると、約2週間でその部位にかさぶたを伴った膿疱が現れます。膿疱は赤く、痛みを生じ、徐々に表面が角化して落屑を持ったイボのようになります。

感染部位にのみ生じることが多いですが、リンパに乗って全身に広がり、いたるところに同様の皮疹が形成されることもあります。

Mycobacterium avium感染症

国内では銭湯や温泉で感染した事例が報告されています。また、小児の発症が多いのが現状です。手足や腹部などに硬く触れる結節や硬結を生じ、進行すると瘍や潰瘍を形成することもあります。多くは多発性で、痛みを伴います。

Mycobacterium fortuitum感染症

広く自然界に生息する菌であるため、感染の機会は多く、術後の傷などに感染することもあります。感染すると、赤い結節が生じ、膿瘍や潰瘍を形成します。また、皮疹の周辺は腫れ、進行すると皮疹部に瘻孔(ろうこう)が生じるのが特徴であり、排膿が見られます。

検査・診断

診断には皮疹の汁や組織の培養検査や、PCR法による遺伝子検査などを行うことで、非結核性抗酸菌を同定する必要があります。

水槽や温泉など感染原因となる環境が推測される場合には、そこから採取した水などを培養して菌の存在を確認することもあります。

また、皮膚結核や真菌症など他の皮膚疾患との鑑別を行うために、皮疹の組織を病理検査することが一般的です。

治療

多くの皮膚非結核性抗酸菌症の治療では、抗結核薬やニューキノロン系などの抗菌薬の内服治療を数か月~1年ほど続ける必要があります。

また、大きな(のうよう)瘻孔(ろうこう)などが形成されている場合には、皮膚を切開して排膿(はいのう)を促したり、皮疹や瘻孔を切除する手術が行われたりすることもあります。

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