しんけいないぶんぴつがん

神経内分泌がん

最終更新日:
2021年07月27日
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2021/07/27
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概要

神経内分泌腫瘍は、神経内分泌細胞から発生し、その特徴を備えた腫瘍の総称であり、NEN(neuroendocrine neoplasms)といわれています。その中でも比較的緩徐な進行と経過をたどる腫瘍がNET(neuroendocrine tumors)、急速に進行し転移しやすいものがNEC(neuroendocrine carcinoma)であり、“NEC”がここでいう神経内分泌がんのことです。神経内分泌がんは、特に膵臓(すいぞう)や消化管などに発生し、時にそれぞれの臓器に見られるがん(膵臓であれば膵臓がん、胃であれば胃がん)と混在し見つかることもあります。

症状はがんが発生した部位や大きさによって異なります。治療の第一選択は手術による切除ですが、神経内分泌がんは進行が速いため発見時にはすでに転移が広がっていることも少なくありません。その場合は、抗がん剤治療が行われます。神経内分泌がんは、病理診断や遺伝子異常などがある種の肺がんと似ていることから、一般的には肺がんで使用されるプラチナ系抗がん剤と、もう一種類の抗がん剤の併用療法が行われます。しかし、それ以外の治療法は確立していないのが現状です。

原因

神経内分泌がんは、全身のさまざまな部位でよく見られるがんが、さらに悪性度を高める過程で神経内分泌がんに変化するのではないかと考えられています。しかしながら、通常のがんを伴わないことや比較的まれながんであることから、明確な発症メカニズムは解明されていません。

症状

神経内分泌がんの症状は、発生した部位や大きさ、広がりによって大きく異なります。

胃や大腸などの消化管に発生した場合は、腹痛や食欲低下、体重減少、便秘などの症状が引き起こされ、がんから出血することで貧血が見られることもあります。また、便に血液が混ざることで血便や黒色便といった便の性状の変化が現れるのも特徴の1つです。

一方、膵臓に発生した場合は上腹部痛や背部痛が生じやすく、体型によってはしこりが体表面から触れるようになります。また、膵臓のがんが胆管などを詰まらせることで胆管炎を引き起こし、高熱・強い腹痛・黄疸(おうだん)・吐き気などが生じることもあります。

いずれの部位にできた場合でも、神経内分泌がんは非常に進行が早く、転移や再発を起こしやすいのも特徴の1つです。発見が遅れると転移が広がり、治療が困難になることも多いため注意しなければならないがんでもあります。

検査・診断

神経内分泌がんが疑われるときは、次の検査が行われます。

画像検査

がんの位置、大きさ、転移の広がりなどを評価するために必要な検査です。簡易的にがんの有無を評価することができるのは超音波検査ですが、詳しく調べるためにはCT、MRI、PETなどを用いた精密検査が必要です。

また、胃や大腸などの消化管に発生した神経内分泌がんの場合は、内視鏡検査も行われます。

病理検査

神経内分泌がんの確定診断に必要な検査であり、がんの組織の一部を採取して顕微鏡で詳しく観察します。神経内分泌がんは神経内分泌腫瘍(しんけいないぶんぴつしゅよう)の一種ですが、細胞の核の状態がほかの神経内分泌腫瘍(NET)と異なります。両者は治療方針が大きく異なるため、病理検査で正しい鑑別を行うことが大切です。

病変組織の採取方法はがんが発生した部位によって異なり、消化管の場合は内視鏡を用いて採取されます。また、膵臓などにできたがんは超音波内視鏡を用いて、胃や十二指腸から針を刺して吸引する方法で採取されます。

治療

神経内分泌がんの根本的な治療は、手術による切除です。しかし神経内分泌がんは上述したとおり進行が速いため、発見された段階で転移が認められ、完全に切除することが困難なケースも少なくありません。手術を行うことで体力を消耗するなど、全身の状態を悪化させることもあるため、転移がある場合は抗がん剤治療がすすめられています。

抗がん剤は、小細胞肺がんで使用されるプラチナ系抗がん剤と、もう一種類の抗がん剤の併用療法が一般的には行われています。神経内分泌がんは、病理所見や遺伝子異常のパターンが小細胞肺がんに似ているためです。

予防

神経内分泌がんは発症メカニズムが不明なため、現在のところ予防方法も確立していません。一般的な腹部のがんの症状である、腹痛や食欲不振などが続くときは、できるだけ早く医療機関を受診するようにしましょう。

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