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神経線維腫
神経線維腫とは、体中に存在する神経(脳や脊髄など)に関係して腫瘍が発生することと関連して、全身にさまざまな症状を引き起こす疾患を指します。病気の原因となる遺伝子はさまざまであり、遺伝子異常の違い...
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神経線維腫しんけいせんいしゅ

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
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概要

神経線維腫とは、体中に存在する神経(脳や脊髄など)に関係して腫瘍が発生することと関連して、全身にさまざまな症状を引き起こす疾患を指します。病気の原因となる遺伝子はさまざまであり、遺伝子異常の違いによって下記三つに分類されています。

  • 神経線維腫症Ⅰ型
  • 神経線維腫症Ⅱ型
  • シュワマトーシス

それぞれ腫瘍の発生部位や合併症、発症年齢などに違いがあることも知られています。

原因

神経線維腫症は、遺伝子異常が原因となり神経系に腫瘍が発生しやすくなっています。原因遺伝子に応じて神経線維腫症Ⅰ型、神経線維腫症Ⅱ型、シュワマトーシスの三つに分類されます。

神経線維腫症Ⅰ型

神経線維腫症I型は、NF1と呼ばれる遺伝子に異常が生じることから発生します。NF1遺伝子はニューロフィブロミン(neurofibromin)と呼ばれるタンパク質を産生します。ニューロフィブロミンは、神経細胞そのものや、神経細胞周囲に存在すシュワン細胞などと呼ばれる細胞に多く認めます。ニューロフィブロミンは、細胞が異常に増殖しないように調整するはたらきを有していますが、NF1遺伝子のように、細胞増殖に対してブレーキとしてのはたらきを持つ遺伝子を一般的に「癌抑制遺伝子」と呼びます。異常なニューロフィブロミンが産生される神経線維腫症Ⅰ型においては、細胞増殖に対する抑止力がはたらかなくなり、無秩序に細胞が増殖するようになります。その結果、神経線維腫をはじめとした腫瘍が神経系に多くみるようになります。

神経線維腫症Ⅰ型は、「常染色体優性遺伝」と呼ばれる遺伝形式をとります。本遺伝形式では、原因となる異常遺伝子を1本でも持つと病気を発症することになります。両親いずれかが病気を有する場合、その子どもが同じ病気を発症する確率は50%です。ただし、腫瘍の遺伝子をみると2本ともが異常な遺伝子を呈していることから、腫瘍が発生するためには1本のNF1遺伝子に異常があるだけでは不十分です。しかしながら、片割れの正常なNF1遺伝子に出生後異常が入る可能性はとても高いため、結果として常染色体優性遺伝形式をとります。その他、両親に病気がなくても、神経線維腫症Ⅰ型を発症することもあります。

神経線維腫症Ⅱ型

神経線維腫症II型の責任遺伝子はNF2と呼ばれる遺伝子であり、この遺伝子が作り出すタンパク質はマーリン(merlin)と名付けられています。メルリンはシュワン細胞(神経細胞を包み込む細胞の一種類です)に多く認め、ニューロフィブロミンと同様に細胞が異常に増殖しないようにする「癌抑制遺伝子」としてのはたらきを有しています。したがって、NF2に異常のある神経線維腫症Ⅱ型では、シュワン細胞を中心として腫瘍が形成されるようになります。遺伝形式は、神経線維腫症Ⅰ型と同様「常染色体優性遺伝」の形式をとります。

シュワマトーシス

シュワマトーシスはSMARCB1遺伝子あるいはLZTR1遺伝子の変異を原因として発症することが多いです。これら遺伝子異常があるのみでは腫瘍が発生するには不十分であり、NF2遺伝子変異など追加の遺伝子異常が発生することから腫瘍が発生すると考えられています。家族例がある場合もあれば、ない場合もあります。

症状

神経線維腫症の症状は、タイプによってさまざまです。

神経線維腫症Ⅰ型

皮膚にカフェオレ斑と呼ばれる発疹をみることが特徴であり、早期の段階から認めます。年齢を経て思春期頃になると、神経線維腫と呼ばれる腫瘍が皮膚に多発性にみられるようになります。その他にも悪性末梢神経鞘腫瘍、視神経膠腫、視神経膠腫、毛様細胞性星細胞腫、脊髄腫瘍など多種多様な腫瘍があらゆる神経において発生します。また側彎や四肢の骨の変形をみるようになりますし、学習障害・注意欠陥多動症などがみられることもあります。

神経線維腫症Ⅱ型

神経線維腫症Ⅱ型の特徴は、両側性の聴神経梢腫です。本腫瘍に関連して、難聴やふらつきを認めるようになります。その他、脊髄にも同タイプの腫瘍が発生することも知られており、手足のしびれや感覚低下、脱力なども認めることがあります。これらの症状は10代後半以降でみるようになります。

シュワマトーシス

シュワマトーシスでも、神経梢腫に分類される腫瘍を認めることから神経線維腫症Ⅱ型に類似した部分も多いのですが、神経線維腫症Ⅱ型の特徴ともいえる両側性の聴神経梢腫を認めないことから両者は区別されます。また見た目にそれと判る腫瘍が発生する前から、慢性的な疼痛を認めることも特徴です。

検査・診断

神経線維腫症の診断は、全身各種臓器に発生する腫瘍を見た目に確認することがとても重要になります。たとえば神経線維腫症Ⅱ型であれば、両側性の聴神経梢腫が特徴であるため、頭部MRIにて同病変を確認することが重要です。腫瘍部位によっては、実際に組織を採取し、病理検査を行うこともあります。また、神経線維腫症Ⅰ型であれば眼の中に「虹彩小結節」と呼ばれる病変をみることもあるため、眼科的な検査も必要になります。また骨の変形を伴うこともあるため、レントゲン写真が併用されることもあります。各種臓器における多発する病変の広がりをもとに最終的な診断が下されるため、家族歴を含めた病歴、身体所見、画像検査等が診断には重要です。

治療

全身各部位に生じる神経系に関連した腫瘍の多くは良性腫瘍です。腫瘍が存在することでの症状が出現している場合においては、症状や部位に応じて適宜手術や放射線療法などが行われます。たとえば神経線維腫症Ⅱ型であれば、聴神経梢腫に関連して難聴が生じることがあるため、腫瘍を摘出することがあります。しかし治療に際して、周囲神経を損傷する可能性もあるため、注意深く治療方針を検討することが求められます。

神経線維腫症Ⅰ型で生じる皮膚の神経線維に対しては、外科的手術、電気焼却術、ガスレーザーなどで切除することも検討されます。ただし、カフェオレ斑については完全に消失させる治療方法は確立されていません。