インタビュー

突発性発疹とは―2歳以下の子どもに多いウイルス感染症

突発性発疹とは―2歳以下の子どもに多いウイルス感染症

国立成育医療研究センター 小児医療系レジデント

中嶋 萌 先生

窪田 満 先生

国立成育医療研究センター 総合診療部 統括部長(チャイルドライフサービス室長)

窪田 満 先生

この記事の最終更新は2015年11月20日です。

2歳以下の子どもに多いウイルス感染症に「突発性発疹」というものがあります。40度を超える高熱を伴うこともあり、心配される保護者の方も多いかもしれません。これはどのような病気で、どう対処すればよいのでしょうか。国立成育医療研究センター総合診療部長の窪田満先生ご監修のもと、同センターレジデントの中嶋萌先生にご説明いただきました。

突発性発疹は、2歳以下の子どもに多いウイルス感染症です。男女差や季節性はなく、6~9ヵ月齢に好発し、“初めての発熱”の原因になることも多いです。突然の高熱で発症し、解熱と同時に発疹が認められるという特徴的な経過をたどります。発疹が目立ち心配になりますが、通常は自然に良くなる病気です。

突然の高熱が特徴で、40度を超えることもあり、3~5日続きます。解熱と同時に体幹や首に薄いピンク色またはバラ色の2~3mmの発疹がみられるようになります。発疹は体幹から手足へと広がりますが、1~2日で消えていきます。

高熱の割に意識状態が良く活気があるなど全身状態が良いことも特徴的です。他の症状として、首のリンパ節の腫れや喉の発赤、永山斑と呼ばれる隆起する喉の発赤、経口摂取不良などがあります。

合併症として、熱性けいれん脳炎・脳症、無菌性髄膜炎、血小板減少等があります。一番多い熱性けいれんは、日本人では10%程度の発症率と言われており、注意が必要です。

参考:「こどもが起こす『熱性けいれん』とは?

赤ちゃんはお腹の中で、ウイルスに対抗する抗体という免疫物質をお母さんからもらってきます。この抗体の蓄えが少なくなってくる生後6か月以降に、原因ウイルスに感染することによって発症します。原因となるウイルスのうち最も多いのは、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)です。他の原因ウイルスとして、HHV-7、エンテロウイルス(コクサッキーウイルスA・B、エコーウイルス)、アデノウイルス、パラインフルエンザウイルス1型があります。

子どもは、ウイルスを持っている大人の唾液から感染するといわれています。しかし、大人は感染していても無症状であるため、感染を防止する方法はありません。

突発性発疹は自然に良くなる病気であるため、普段通りにご飯を食べたり飲んだりしていて子どもの状態が良ければ、すぐに病院へ行く必要はありません。突発性発疹を診断するため検査は一般的には行われておらず、最初の段階での確定診断はベテランの医師でも難しく、むしろ解熱して発疹が出たという経過をみて診断されることも多い病気です。

ただし他の病気の可能性もあるため、生後3カ月以下の子どもの38度以上の発熱や、3カ月以上の子どもでも熱が3日以上続いたり、元々の病気があったり、ミルクや食事の量が減っている場合には病院を受診してください。また、けいれんした場合や熱がある間に発疹が出た場合も受診しましょう。

突発性発疹は自然に良くなる病気であるため、子どもの訴える症状への対症療法が基本となります。水分を十分に与えることが重要です。生後6ヵ月以上で、発熱で子どもが辛そうな場合は解熱薬を使用します。

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