概要
羊水過少症とは、子宮内にいる赤ちゃんの周りを取り囲む羊水の量が通常よりも少ない状態です。羊水は赤ちゃんの尿が主な産生源であるため、尿量の減少で羊水減少症となることがあります。一方、破水などに伴う羊水の流出によって羊水過少となることもあります。
羊水過少症を発症すると、その原因となる病気やその程度によってさまざまな不具合が生じます。赤ちゃんの発育が制限されてしまうこと、臍帯が圧迫されて赤ちゃんの循環に影響することなどがあり、場合によっては赤ちゃんの命にかかわることもあります。
原因
羊水量の減少は、赤ちゃんの尿産生の減少、腎臓や尿の通り道(尿管や尿道)の閉鎖などが原因となって起こります。妊娠高血圧症候群や胎児発育不全などを合併することで、赤ちゃんのおかれる環境が悪く、低酸素環境にあると赤ちゃんは脳のような重要な臓器に血流を集めてその環境に耐えようとします。その際に腎臓への血流は減少することが知られており、赤ちゃんの尿量の減少となります。
そのような状況が長く続くと羊水過少症になります。また、先天的な理由で腎臓に異常がある場合や、尿の通り道の閉鎖や狭窄がある場合には尿量が少ないために羊水過少症となります。また、特定の薬物の影響で赤ちゃんの尿量が減少することも知られています。
一方、母体側の要因としては、母体の発熱や脱水に伴って起こることもありますし、前期破水などでも起こります。羊水過少症を認めた場合にはその原因を検索して、その原因に応じた対応を検討することが重要です。
症状
羊水は子宮内に存在する液体成分であり、子宮内にいる赤ちゃんの周りを取り囲む形で存在します。そのため、羊水の量が少ない場合、お母さんのお腹の大きさが通常よりも小さくなることがあります。
羊水は、赤ちゃんが子宮内で自由に動いたり、赤ちゃんが正常に成熟したりするために必要不可欠です。羊水過少症があると臍帯圧迫により胎児循環が障害されること(胎児心拍数異常が出やすくなること)で、胎児機能不全(赤ちゃんに苦しい兆候がある状態)を呈することがあります。また、長時間続くことで、赤ちゃんの動きが制限されて、手足が変形してしまうことや、赤ちゃんの肺が正常に機能しないことで出生直後から呼吸障害を現すことがあります。呼吸回数が多い、チアノーゼ(皮膚や唇が青紫色になること)を示す、母乳やミルクを上手に飲むことができないなどの状態に陥ることがあります。羊水過少症が非常に重い場合には赤ちゃんの命にかかわることもあるため、注意が必要です。
検査・診断
羊水過少症では、お母さんのお腹周りが小さくなることから指摘されることもあります。また、超音波検査を行うことで羊水量を評価し、妊娠週数と比較して少ない場合に羊水過少と診断されます。
原因の項目で記載したように、さまざまな理由で羊水過少症を発症することが知られています。そのため、原因を特定するために、お母さんの血圧測定、血液・尿検査が行われることもあります。
さらに、超音波検査を重点的に行い、赤ちゃん側に要因がないかを検索することや、状況に応じて染色体検査が検討されることもあります。
そのほか、羊水過少症では臍帯圧迫に伴う胎児機能不全が併発していないかをみるため、胎児心拍数モニタリング検査が行われます。
治療
羊水過少症では、原因に応じてさまざまな対応策が講じられます。母体の発熱や脱水が原因と考えられる場合には補液が行われます。感染がある場合には抗菌剤の投与なども行われます。また、赤ちゃんの健康が確認できない状態であれば帝王切開が検討されます。
一方、迅速な分娩の適応がない場合には、慎重に経過をみることがすすめられます。経時的に羊水の量、赤ちゃんのストレス状況などを評価しながら分娩のタイミングが見計られます。また、羊水を補填する意味合いから子宮内への液体成分の補充が検討されることもあります。
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