耳硬化症(じこうかしょう)は難聴のほか、耳鳴りや耳の違和感、めまいなどの症状をあらわします。耳硬化症の代表的な症状について、それぞれの特徴を、三井記念病院耳鼻咽喉科部長の奥野妙子先生にお話し頂きました。
難聴とは、その名のとおり「聴くことが難しくなる」症状のことをいいます。
難聴には様々な原因や種類があります。『耳硬化症とは』で述べたとおり、耳硬化症による難聴は一般的に伝音難聴(音がうまく伝わらないことで聞こえにくくなるタイプ)ですが、進行してしまうと徐々に感音難聴(内耳にある蝸牛と有毛細胞が正常に機能しないことで聞こえなくなるタイプ)や混合性難聴(伝音難聴と感音難聴が合わさったタイプの難聴)へと発展します。
患者さんが「私は耳が悪い」というとき、聞こえの程度が悪いという意味と耳漏(じろう:外耳道から異常な分泌物が排出されている状態)があるという意味があります。耳漏は中耳炎など炎症のあるときに起こります。
耳硬化症は難聴が主症状で、耳漏などはありません。鼓膜も正常です。そのため以前では感音難聴と間違われ、難聴は治らないと医師にいわれてしまった方もいます。これは残念なことです。
耳硬化症はしっかり聴力検査を行わないと診断がつきません。診断に至るには種々の検査がありますので、きちんと診断してもらいましょう。アブミ骨の動きが悪くて起こる伝音難聴であることが診断されれば、手術によって聞こえが回復します。
耳鳴りは耳硬化症の症状のひとつであり、およそ7割近くの方が耳鳴りを感じるといわれます。これは耳硬化症が本来蝸牛の壁の病気ということに由来するかもしれません。ただ、耳鳴りそのものはあまり大きな音ではなく、増大することもないので、日常生活ではあまり気になることはありません。それよりもよほど難聴のほうが不便を感じるということでしょう。また、手術後聴力が回復するとほとんど耳鳴りを自覚することはなくなります。
もともと耳硬化症は内耳の病気なので、めまいを合併することもあります。ただし、回転性めまい(ぐるぐると視界が回るようなめまい)は少なく、浮動性めまい(ふわふわする感じがある)と訴える患者さんが多くいらっしゃいます。
「耳の閉塞感」という訴えはおおもとを辿れば難聴によるものと考えられます。したがって難聴が軽度のときは、日常生活には支障をきたさないので、「耳がつまっている」という風な訴えをする患者さんが多くなります。つまり、耳の閉塞感を感じるときは軽度な難聴の状態です。難聴が高度になると耳の閉塞感ではなく、難聴そのものが主訴として増加します。
三井記念病院 耳鼻咽喉科特任顧問
関連の医療相談が10件あります
耳下腺癌の治療について
3年前から耳の下に腫瘍(良性腫瘍)ができ、通院及び検査をしていましたが、最近悪性の耳下腺癌と診断され、より大きな病院である奈良医大の医師を紹介され、7月に手術すると言われました。 腫瘍は、4~5cmの塊で、大きいため放射線治療も効果が期待出来ないと言われました。(細かい癌にしか効かないとの事でした) 最新治療の重粒子線治療も出来ないか医師に尋ねましたが、癌細胞と顔面神経が癒着するので、その後手の施しようが無くなるので、お勧め出来ないとの事でした。 手術すると、顔面神経切断する可能性が高いと言われました。 神経再建手術も同時にするとの話でしたが、足の筋肉と神経を移植するので、目がうまく閉じられないなど不自由な状態は解消されないとの説明でした。(元通りには回復しないし、ただ眼病予防のためにする形を整えるための手術との事) それなら手術はせずに、抗癌剤で治療を希望しましたが、医師から即却下され、手術の予約をするよう言われました。 本当に顔面神経切断する可能性が高い手術しか方法がないのでしょうか?
下腹部左下の鈍痛
下腹部左下に鈍痛があります。 今も耐えられない痛みでは無いんですが、キリキリ痛みが続いてます。 何が原因でしょうか。
回転性の目眩
夜、寝ている時は回転性の目眩、椅子に座ってる姿勢の時は、右側に回転し滑り落ちるような目眩がたまに起きます。 車の運転の時にもこういった目眩が起きる可能性はありますか? 気になるので早めに受診したいです。 この場合は何科になりますか?
騒音性難聴と耳鳴り
1年くらい前から耳鳴りがきになり耳鼻科を受診したら騒音性難聴とのことでした。その後テレビがついていたり雑音があると会話が聞き取りにくく、仕事中どうしてもなんかしら雑音があるため聞き取りにくく聞き返すことが増えてこまっています。時々耳抜きができないような詰まった感じがすることも増えました… 加味帰脾湯という薬を処方されましたが改善しません… ほかの病院を受診してみるべきですか? あと、耳の感じはとても説明しにくいです。症状を伝えるのになにかアドバイスあったらおしえてほしいです…
※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。
「耳硬化症」を登録すると、新着の情報をお知らせします
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。