インタビュー

耳硬化症の症状。難聴や耳鳴り、めまいなどが中心

耳硬化症の症状。難聴や耳鳴り、めまいなどが中心
奥野 妙子 先生

三井記念病院  耳鼻咽喉科特任顧問

奥野 妙子 先生

この記事の最終更新は2015年12月17日です。

耳硬化症(じこうかしょう)は難聴のほか、耳鳴りや耳の違和感、めまいなどの症状をあらわします。耳硬化症の代表的な症状について、それぞれの特徴を、三井記念病院耳鼻咽喉科部長の奥野妙子先生にお話し頂きました。

難聴とは、その名のとおり「聴くことが難しくなる」症状のことをいいます。

難聴には様々な原因や種類があります。『耳硬化症とは』で述べたとおり、耳硬化症による難聴は一般的に伝音難聴(音がうまく伝わらないことで聞こえにくくなるタイプ)ですが、進行してしまうと徐々に感音難聴(内耳にある蝸牛と有毛細胞が正常に機能しないことで聞こえなくなるタイプ)や混合性難聴(伝音難聴と感音難聴が合わさったタイプの難聴)へと発展します。

患者さんが「私は耳が悪い」というとき、聞こえの程度が悪いという意味と耳漏(じろう:外耳道から異常な分泌物が排出されている状態)があるという意味があります。耳漏は中耳炎など炎症のあるときに起こります。

耳硬化症は難聴が主症状で、耳漏などはありません。鼓膜も正常です。そのため以前では感音難聴と間違われ、難聴は治らないと医師にいわれてしまった方もいます。これは残念なことです。

耳硬化症はしっかり聴力検査を行わないと診断がつきません。診断に至るには種々の検査がありますので、きちんと診断してもらいましょう。アブミ骨の動きが悪くて起こる伝音難聴であることが診断されれば、手術によって聞こえが回復します。

耳鳴りは耳硬化症の症状のひとつであり、およそ7割近くの方が耳鳴りを感じるといわれます。これは耳硬化症が本来蝸牛の壁の病気ということに由来するかもしれません。ただ、耳鳴りそのものはあまり大きな音ではなく、増大することもないので、日常生活ではあまり気になることはありません。それよりもよほど難聴のほうが不便を感じるということでしょう。また、手術後聴力が回復するとほとんど耳鳴りを自覚することはなくなります。

もともと耳硬化症は内耳の病気なので、めまいを合併することもあります。ただし、回転性めまい(ぐるぐると視界が回るようなめまい)は少なく、浮動性めまい(ふわふわする感じがある)と訴える患者さんが多くいらっしゃいます。

「耳の閉塞感」という訴えはおおもとを辿れば難聴によるものと考えられます。したがって難聴が軽度のときは、日常生活には支障をきたさないので、「耳がつまっている」という風な訴えをする患者さんが多くなります。つまり、耳の閉塞感を感じるときは軽度な難聴の状態です。難聴が高度になると耳の閉塞感ではなく、難聴そのものが主訴として増加します。

 

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