ふくあつせいにょうしっきん

腹圧性尿失禁

最終更新日:
2021年05月20日
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2021/05/20
更新しました
2017/04/25
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治療

念のためにパッドをあてている程度の軽い腹圧性尿失禁では、骨盤底筋トレーニングで骨盤底筋の収縮能や迅速性を高めると尿漏れが軽減することがあります。また、肥満している人(BMI≧28kg/m2が目安)では、しばしば減量により尿漏れが少なくなります。咳やくしゃみの出ている人、気管支喘息(きかんしぜんそく)のある人は、それぞれ治療や予防の薬を適切に使うことで尿漏れが軽減します。これらの方法で十分に症状が改善しない場合、腹圧性尿失禁であれば確実に尿もれを軽減する治療は手術療法であり、薬物による治療も人によっては一定の効果を期待できます。

薬物による治療では、βアドレナリン受容体作動薬が腹圧性尿失禁に対して保険適用を持っています。そのほか、漢方薬の一部は保険で使用することができます。

手術療法の中でもっとも一般的なものは、ポリプロピレンでできたメッシュ状のテープを膀胱から離れたところで尿道の下側に回すように通し、尿道の動きを小さくすることで尿もれを解消する“中部尿道スリング手術”です。中部尿道スリング手術には“TVT手術”と“TOT手術”と“ミニスリング手術”があり、日本では“TVT手術”と“TOT手術”が行われています。いずれの術式でも手術は15~30分程度で完了し、年齢や持病のために行えないということはほとんどありません。

これらの手術の効果は、腹圧性尿失禁の尿もれを軽減しパッドなしで生活できるようになる見込が85%と報告されており、高い抗失禁効果を誇ります。一方、高齢者に中部尿道スリング手術を行う場合には尿流波形、残尿、UDSなどを駆使して手術治療が適するかどうかを慎重に見極める必要があります。

また、中部尿道スリング手術は、ブラスチック製のループスリングが恒久的に尿道回りに残る手術です。このループスリングは、適切な場所にあるのでなければよい効果を発揮できません。この手術を受けた女性がもし新たに排尿しづらさや頻尿、尿意切迫などの刺激症状を感じるようになることがあれば、手術で入れたループスリングのずれや食い込みが起こっていないかどうかを再評価する必要があります。

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腹圧性尿失禁を得意な領域としている医師

  • 東京都立大久保病院 泌尿器科 非常勤

    • 骨盤臓器脱
      • 経腟メッシュ手術(TVM手術)・ロボット支援下仙骨腟固定術などを骨盤臓器脱の部位・重症度・患者背景によって、症例にあった術式を決める。

      骨盤臓器脱には、膀胱瘤、子宮脱、直腸瘤、膣断端脱などがある。

    • 腹圧性尿失禁
      • 骨盤底筋訓練・薬物療法に加え、中部尿道スリング手術であるTVT手術やTOT手術でスポーツができるようになることを目指す。
    • 過活動膀胱
      • 抗コリン薬やβ₃作動薬による薬物療法を行う。内服薬で効果不十分や副作用で継続できない難治性過活動膀胱には、ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法を外来にて行う。
    • 間質性膀胱炎
      • 原因不明の頻尿・膀胱痛を排尿日誌や膀胱鏡で診断をつけ、経尿道的に膀胱水圧拡張術やハンナ病変を焼灼するハンナ型間質性膀胱炎手術を行う。食事療法やDMSO膀胱内注入療法も併用する。