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インタビュー

排尿障害と現代社会の抱える課題について

排尿障害と現代社会の抱える課題について
宮原 茂 先生

やなせ内科医院 院長

宮原 茂 先生

高齢社会を迎えた日本において、排尿トラブルは避けては通れない課題となりました。誰もが平等に老いていきますが、いくつになっても「排泄だけは自力で」と望むのは当然のことだと思います。宮原 茂先生に排尿障害における現代社会の課題についてお話を伺いました。

自分の排尿機能に問題があることを知らずに過ごしている方は意外と多いのです。若い頃には特にトラブルが表面化しませんが、加齢にともない40代、50代頃から排尿のトラブルが顕在化(あらわれてくること)してきます。例えば、尿を排出してすっきりしたと思っていても、実は膀胱に尿が残っていることがあるのです。このような尿を「残尿」といいますが、膀胱に50ml以上の残尿があれば治療が必要となります。ただ問題は、残尿があることに気づいていない方がいるということです。

残尿があると膀胱は過伸展(かしんてん)(伸びすぎてしまうこと)の状態になります。過伸展状態が続くと膀胱は繊維化したり、筋肉が断裂したりします。膀胱の収縮力が低下してしまうため、蓄尿障害や排出障害など、さまざまなタイプの排尿障害を起こしてくるのです。さらに、膀胱に尿が溜まっていると感染症を起こしやすくなります。感染症を繰り返し起こすことで、腎臓もダメージを受けてしまうのです。

残尿が起こる原因としては、脳血管障害や脊髄疾患、大腸がんや子宮がんの術後、糖尿病前立腺肥大症といった病気があげられます。生まれつきという方もいますが、主に神経が障害されることで膀胱の収縮力が低下したり、薬剤の影響を受けたり、尿道が狭くなったりすることで残尿が生じるのです。

こういった排尿障害に気づかないままに年を重ねて、例えば高齢者施設などに入所すると、ますます排尿コントロールができなくなり、排尿管理のためにおむつを着けられてしまいます。泌尿器科医としては、おむつの前に導尿(尿道から膀胱内にカテーテルを挿入して尿を体外に排出させること)を勧めますが、慢性的な人手不足状態にある介護施設などでは、1日に数回の導尿を実施することは難しい状況にあるのです。

残尿があると診断されたら、どのタイプの排尿障害なのかを判断して治療を行います。まず薬による治療や行動療法を行いますが、効果がみられない場合は自分で導尿を行ってもらいます。自己導尿が必要となるのは残尿が100ml以上ある方です。対象は年齢には関係なく、高齢者でも子どもでも残尿が100mlあれば導尿が必要になってきます。特に子どもで、小学生の頃から残尿があるような場合であれば、早くみつけて対処しなければ30歳前後になる頃には腎不全になって、人工透析を受けなければならないということにもなりかねません。早期発見が重要となるのです。

泌尿器科疾患は病気全体のうちのおよそ3%といわれています。そう頻繁に受診する科ではありませんし、泌尿器科にかかったことのない方も多いのではないでしょうか。この3%という数字は、人生の中で1度はかかるくらいの頻度です。ですから、たとえば膀胱炎尿路結石などで泌尿器科を受診した際は、排尿機能を知るチャンスととらえてほしいのです。

排尿をはじめとする排泄行為は人間の尊厳に深くかかわる領域です。自力で排尿できることは人生を楽しく生きる基本ともいえるものです。いくつになっても自力での排尿ができるよう、若いうちから自身の排尿機能に関心を持って、残尿などの異常があれば早い段階で治療を受けてほしいと考えています。

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