インタビュー

排尿障害とは-生活の質(QOL)に大きく関わる問題

排尿障害とは-生活の質(QOL)に大きく関わる問題
宮原 茂 先生

宮原 茂 先生

「トイレが近い」「夜間何度もトイレにいく」「尿がもれて恥ずかしい」など、尿に関するトラブルで困っている人は少なくありません。排尿障害は日常生活にも大きな影響をあたえ、生活の質(QOL)を低下させてしまいます。宮原 茂先生に排尿障害についてお話を伺いました。

排尿障害にはさまざまなタイプがある

排尿困難や頻尿、尿失禁など尿のトラブルで困っている人は少なくありません。加齢や疾患にともなって起こるこれら排尿障害は、日常生活にも大きな影響を与えます。排尿は、体内の不要物を体外に排出するという生命維持のために欠かせない重要な機能のひとつです。尿は膀胱に溜まり、ある程度の量になると尿意を感じ、からだの外に排出されます。尿の回数は、通常1日に昼間では5〜6回程度、夜間では1回までが正常範囲とされています。1日に10回以上、あるいは夜間に2回以上トイレに行くような場合は、何らかの排尿障害が疑われます。

排尿トラブルで多いものは頻尿です。頻尿は、排尿困難とも関連があります。尿が出にくくなる排尿困難などでは、排尿後にも膀胱に尿が残留しているため何度もトイレに行きたくなります。そのため、排尿困難を呈する場合は頻尿も伴うことが多く、頻尿は排尿トラブルでよくみられるものといえるのです。こういった排尿障害の原因となる疾患で多いものは、男性では前立腺肥大症、女性では過活動膀胱(OAB)です。前立腺肥大症は老化現象のひとつで、およそ2〜3割の男性に発症します。前立腺が肥大することで尿道が圧迫され、さまざまなパターンの排尿障害を起こすのです。症状は前立腺が肥大した部位によって異なります。当然、尿道に近い部位が肥大すれば症状が顕著に現れます。

一方、女性に多い「過活動膀胱」とは、簡単にいうと膀胱が過敏になって尿意を早く感じる状態です。女性の場合は、骨盤底筋の機能低下などが原因となって起こります。出産や加齢によって、膀胱や子宮、尿道などを支えている骨盤底筋の機能が低下して、排尿のメカニズムがうまくいかなくなるのです。

現代において問題となっている、糖尿病による排尿障害

排尿障害で、現在非常に問題になっているのが糖尿病です。糖尿病は、高血糖状態が続く病気ですが、その状態が続くと神経にダメージを与えてしまいます。膀胱の内圧が高まると尿意が起きて尿を排出しますが、自律神経をはじめとする排尿に関わる各神経が高血糖のためにダメージを受けると、排尿運動がスムーズに起こらなくなる・尿意を感じなくなる・排尿する力が弱くなるということが起こります。さらに糖尿病が進行すると腎不全になり、さらに尿量も増えますます悪化の一途をたどっていくことになるのです。

主な排尿障害とは

主な排尿障害と原因として考えられる疾患は次の通りです。

①排尿困難

  • 尿が出にくい
  • 排尿に時間がかかる
  • 尿が途中でとまる
  • 尿の勢いがない
  • 排尿後もすぐに尿意がおきる

【考えられる疾患】
前立腺肥大症・神経因性膀胱・膀胱結石・尿道結石・尿道狭窄症・子宮筋腫など

②頻尿

  • 尿が出る回数が多い 

【考えられる疾患】
神経因性膀胱・過活動膀胱・骨盤邸筋のゆるみ・子宮筋腫・尿道狭窄・膀胱結石など

③尿失禁

  • 尿がもれる 

【考えられる原因】
加齢や出産などによる骨盤底筋の低下など

尿失禁には、以下のような種類があります。

  1. 腹圧性尿失禁:重いものを持ったときや咳やくしゃみなどをしたときなどお腹に力が入ると尿がもれる
  2. 切迫性尿失禁:急な尿意のため、我慢できずにもれてしまう
  3. 溢流性(いつりゅうせい)尿失禁:尿がすっきりと出ない。尿が少しずつ出てしまう
  4. 機能性尿失禁:歩行障害や認知症などが原因でトイレまで間に合わない
  5. 混合型尿失禁:腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の混合型