検査・診断
腹圧性尿失禁の問診評価は、どの程度のインパクトで漏れるかという閾の判定と、実際にその女性の生活の中でどのくらいの量の尿漏れがあるか、生活の質への影響はどの程度あるかということです。妊娠・出産歴、手術歴、便秘の有無なども参考のために聞き取っておきます。
問診に加えて婦人科の診察と超音波検査を行えば、ほぼ診断は確定します。
多くの施設が、腹圧性尿失禁の評価に排尿日誌を使用しています。排尿日誌は、24時間もしくは48時間と時間を区切って、排尿した時刻と尿の排出量などを記録するもので、膀胱にためられる量や飲水の習慣など多くの情報が得られます。夜間3回以上トイレに起きているなど、腹圧性尿失禁以外に重要な問題がみつかることもあります。
パッドテストも、現にまとまった尿漏れを日々経験しているのであれば行いたい検査です。パッドテストには、24時間、48時間など実生活の一定の時間内に何gの尿漏れがあるのかをみるものと、受診時に一定量の水分を摂取させ所定の運動を負荷して尿漏れを計るものがあります。いずれも、あてていたパッドの重さを計って尿漏れを数量化します。
ただし、パッドテストでほとんど漏れていなかった場合でも、それだけで治療の不要な状態とみなすことはできません。漏れないのは本人が日常動作に制限を加えているためで、その制限こそが生活の質の低下する原因であるというケースがよくあります。
慢性的な膀胱炎の問題がないかどうか、尿検査は必須です。手術治療を検討する場合、尿流波形検査と残尿の評価を行い、尿の排出に遜色のない状態であることを確認する必要があります。
手術に進む場合、可能であればUDSを行います。この検査は尿流動態検査とも呼ばれ、専用の機材を用いて膀胱と尿道の生理的なはたらきを評価する生理検査です。UDSにより、排尿の基盤となる膀胱や尿道の基礎的な性能や、尿排出に際しての膀胱平滑筋や骨盤底筋の関与をチェックすることができます。
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腹圧性尿失禁を得意な領域としている医師
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骨盤臓器脱
- 経腟メッシュ手術(TVM手術)・ロボット支援下仙骨腟固定術などを骨盤臓器脱の部位・重症度・患者背景によって、症例にあった術式を決める。
骨盤臓器脱には、膀胱瘤、子宮脱、直腸瘤、膣断端脱などがある。
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腹圧性尿失禁
- 骨盤底筋訓練・薬物療法に加え、中部尿道スリング手術であるTVT手術やTOT手術でスポーツができるようになることを目指す。
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過活動膀胱
- 抗コリン薬やβ₃作動薬による薬物療法を行う。内服薬で効果不十分や副作用で継続できない難治性過活動膀胱には、ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法を外来にて行う。
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間質性膀胱炎
- 原因不明の頻尿・膀胱痛を排尿日誌や膀胱鏡で診断をつけ、経尿道的に膀胱水圧拡張術やハンナ病変を焼灼するハンナ型間質性膀胱炎手術を行う。食事療法やDMSO膀胱内注入療法も併用する。
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