原因
血友病Bは12種類の血液凝固因子のうち、“第Ⅸ因子”が不足することによって引き起こされます。私たちの体には、出血が生じると12種類の血液凝固因子が次々に反応して最終的にはフィブリンという物質を形成し、出血を止める仕組みが備わっています。血友病Bではこの止血の過程に必要な第Ⅸ因子が不足することによって、出血が止まりにくい、些細な刺激で出血するといった症状が引き起こされるのです。
なお、第Ⅸ因子が不足する原因は大きく分けて次の二つのパターンがあります。
遺伝子の異常
第Ⅸ因子の産生に必要な遺伝情報は、X染色体(性別を決める性染色体の一種)に存在します。血友病Bの多くは、このX染色体上の遺伝子に異常があることによって発症します。X染色体は男性に1本、女性に2本存在し、性染色体型が“XY型”の男性は1本のX染色体の遺伝子に異常があれば100%血友病が発症し、“XX型”の女性は2本のX染色体のうち、1本に異常があってももう片方に異常がなければ血友病は発症しないことが一般的です。このため、血友病Bは女性よりも男性のほうが発症しやすいといえます。
X染色体上の遺伝子の異常によって引き起こされる血友病Bのうち、約70%は親から引き継がれる遺伝によるものですが、残りの約30%は遺伝子の突然変異によるもので親からの遺伝は関係しないとされています。なお、遺伝による血友病Bだけでなく、突然変異による血友病Bでも自分の子どもへ遺伝する可能性があります。
自己抗体によるもの
血友病Bの多くは上で述べたように遺伝子の異常による生まれつきのものですが、ごくまれに遺伝子の異常がないにもかかわらず第Ⅸ因子を攻撃する“自己抗体”が形成されるようになることで、成人になってから発症するケースがあります。
このような血友病Bを後天性血友病Bと呼びますが、明確な発症メカニズムは解明されていません。しかし、加齢、妊娠・出産、関節リウマチや全身性エリテマトーデス(SLE)などの自己免疫疾患が発病の引き金になると考えられています。
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