じゅつごこうもんしょうがい

術後肛門障害

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

術後肛門障害とは、肛門や直腸の手術後に生じたさまざまな肛門の機能障害を指します。手術から1~2日後に生じる早期合併症と数か月あるいは数年かけて出現する遅発性合併症に分類されます。

早期合併症には肛門からの出血や細菌感染、また、肛門病変ではありませんが尿の停滞が起こる尿閉などが生じる場合もあります。そのほかにも血栓性核(血豆のようなもの)や裂孔(れっこう)痔瘻(じろう)、便秘などもあります。遅発性合併症としては肛門狭窄、皮垂形成、便失禁、慢性疼痛(とうつう)などが挙げられます。

原因

手術の術式によりそれぞれの合併症の発生頻度が異なります。

結紮切除術(けっさつせつじょじゅつ)

核に対して行われるもっとも一般的な術式です。疼痛、尿閉、出血、糞便塞栓の合併症の頻度が高いといわれています。

PPH(Procedure for prolapse and hemorrhoids)法

自動縫合機で痔核へ流入する血液を遮断する方法です。結紮切除術に比べ術後疼痛は軽度ですが、括約筋損傷のリスクがあることや適応病変が限定されるなどの欠点もあります。

硫酸アルミニウムカリウム・タンニン酸 4 段階注射法

脱出性内痔核に対して広く用いられている治療法です。手技は簡便で術後疼痛が少ないとされています。合併症としては肛門痛、排便困難、出血、直腸潰瘍、肛門狭窄などがあります。

ホワイトヘッド手術

痔核を全周性に切除し、肛門上皮と直腸粘膜を吻合する術式です。吻合部位がずれることにより、粘膜脱や肛門括約筋障害による肛門狭窄や排便障害が起こる場合があります。このような状態をホワイトヘッド肛門と呼んでいます。

ほかにも、術後1~2週間に起こる遅発性出血は感染や外傷、あるいは痛みのコントロールとして使用する薬剤起因性が原因となることがあります。また抗凝固剤や抗血小板剤などを内服中の場合は、さらに注意が必要となります。

症状

直腸や核手術直後の少量の出血は高頻度にみられますが、自然止血します。しかし、ごくまれに出血が持続する場合があり、何らかの止血処置が必要となります。

肛門手術後に感染の起こる頻度は高くありませんが、感染が起きた場合は治療が必要となります。感染が起こると、患部の腫脹(しゅちょう)、発熱や悪化する疼痛などの症状がみられます。

肛門狭窄が起きた場合は、便柱が細くなったり排便痛が伴ったりします。また下着への便の付着や便失禁などもみられます。

検査・診断

臨床症状から診断します。出血や感染を合併した場合は、貧血や炎症の程度を調べるために血液検査や、瘍形成の有無を確認するため適宜CT検査などを行います。

治療

出血に対しては、自然止血しない場合まず圧迫止血が試みられます。保存的治療が奏功しない場合は再手術となることもあります。

術後早期の便秘に対してはまず予防が重要です。十分な水分と食物繊維を多く含んだ食品の摂取が重要で、緩下剤を組み合わせてコントロールします。

肛門狭窄に対しては、緩下剤や鎮痛剤の投与により保存的治療を試みます。改善しない場合は外科的治療を考慮します。

いずれの場合も症状が持続する場合は手術担当の医師あるいは肛門科の医師に相談しましょう。

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