そくしざめつそう

足趾挫滅創

最終更新日:
2018年10月18日
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2018/10/18
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概要

足趾挫滅創(そくしざめつそう)とは、足の指に起こる鈍的外傷のうち、きずが開いている状態になる開放創(かいほうそう)を指します。

外傷は原因となる外力の性質により、鈍的外傷と鋭的外傷に分けられます。

  • 鈍的外傷:打撲や転倒、衝突などによるけが
  • 鋭的外傷:刃物や尖った針、ガラス片などによるけが

また、医学的にはきずの種類も細かく分類されており、ここで取り上げる挫滅創(ざめつそう)とは、皮膚や皮下の組織が損傷し、組織が引き裂かれるなど、離断した状態になるものを指します。足趾の挫滅創は、交通事故やスポーツ活動中に、足の指に強い衝撃などが加わってできることがあります。

足趾挫滅創と足趾挫創

挫滅創とよく似たきずに、挫創(ざそう)と呼ばれる外傷もあります。挫創も、打撲や圧迫などの鈍的な外力により、皮膚が切れてできる開放創ですが、挫滅創よりも軽い状態を指します。すり傷擦過傷(さっかしょう))と挫滅創の中間のような開放性のきずが挫創であるといえます。

この記事では、より重い足趾挫滅創を主に取り上げつつ、同じ機会に同じ原因で生じることもある足趾の挫創についても触れて解説します。

足趾挫滅創など、さまざまなきずを扱う形成外科では、適切な診断や治療を行うために傷と創の漢字を明確に使い分けています。傷とは、外から目に見える損傷がない皮下組織の損傷を指します。きず口はないものの、内出血や痛みを伴うことなどがあります。

一方、足趾挫滅創などで使われる創とは、目に見えるきず口が存在する開放性の損傷を指します。一般的にけがや外傷という場合のほとんどは、後者の創に該当します。この記事でも、足趾挫滅創の正確な情報提供のため、創という漢字を使用します。

原因

足趾挫滅創は、足の指やその付近に強い打撃を受けた場合などに加わる鈍的な外力によって生じます。

受傷のきっかけ

足趾挫滅創には、さまざまな重症度のものが含まれており、日常生活中の行為により生じることもあります。

たとえば、家や車のドアに足の指を挟んだり、転倒したりすることでも生じ得ます。挫滅創ほど重くはない足趾の挫創も、同様に何らかのものや機器に指が接触したり挟まったりすること、転倒や転落などにより生じることがあります。

なお、神経や血管などにも損傷が及ぶ重い足趾挫滅創を生じるきっかけには、工場や農場での作業中に、機械に接触してしまうなどの労災事故や、歩行中に足をタイヤにひかれてしまう交通事故などがあります。

症状

挫滅創は、皮膚やその下層の皮下組織や血管が離断するきずであることから、痛みや出血を伴うことがほとんどです。

重症例では、神経や筋肉、腱が断裂したり、骨折が生じたりすることもあります。損傷が及んだ組織によっては、足の指の曲げ伸ばしが難しくなったり、感覚が鈍くなったりすることがあります。

以上は皮下組織まで大きな損傷が及ぶ例ですが、皮膚のみが開放性に損傷している例では、重い症状を伴わないこともあります。

なお、どのような程度の足趾挫滅創であっても、きず口が開いているため、雑菌などによる感染を起こすリスクがあります。受傷後は、適切な治療や洗浄などにより、きず口を保護することが大切です。

検査・診断

損傷の程度が重い場合には、出血部位を押さえて圧迫し、すぐに医療機関を受診しましょう。足の指の外傷であるため、無理に歩いたり立ち上がったりせず、救急車を呼ぶなどして患部を安静にした状態で医療機関に向かうことが大切です。

ご本人、もしくは周囲の方は、救急隊や医師に受傷したときの状況(どこで何をしていたか)を伝えましょう。

医療機関では、異物や付着した血液などを取り除くために、生理食塩水などを使って洗浄が行われます。洗浄の前には、局所麻酔が使われることもあります。

創の状態を調べる検査は、これらの措置と並行して速やかに行われます。レントゲン検査やCT検査などの画像検査や問診、診察から、創の深さ(深達度)、骨や神経・血管の損傷の有無、損傷の程度、生じている症状などを確認します。緊急性が高いと判断される場合では、検査と並行して速やかに治療が行われます。

治療

治療方針は創の状態や損傷が及んでいる組織など、さまざまな条件により変わります。

きず口や創の内部に異物がある場合も多いため、生理食塩水などによる洗浄や、清潔なガーゼ、ブラシなどを用いた異物の探索、除去が行われます。医療用のメスやハサミを用いて、損傷により壊死した組織を除去するデブリドマンが行われることもあります。

また、感染を予防するために、あらかじめ抗生物質や鎮痛剤が用いられます。

止血

出血が多い場合や止まらない場合には、圧迫止血や、受傷した足の指の付け根をゴムなどで縛る駆血が行われることもあります。このほか、ナイロン糸を使った結紮(けっさつ)などが選択される場合もあります。

創を閉じる治療

比較的軽い挫滅創や挫創では、医療用テープを使用して固定する方法が用いられることがあります。また、挫創ではガーゼで創を覆い、湿潤環境を保つことにより、数日できず口が閉鎖することもあります。

手術

深い挫滅創の場合は、皮下組織が癒合(くっつくこと)するよう、ナイロン糸や吸収糸を用いた真皮縫合が行われます。

神経や血管などの損傷がある場合には、マイクロサージャリーと呼ばれる顕微鏡を用いた手術が検討されることもあります。マイクロサージャリーとは、非常に細かな措置を行うために形成外科で行われることの多い手術であり、血管や神経の再建、断裂した組織の縫合を行うことができます。

これらの治療後も二次的な感染が起こらないよう、破傷風ワクチンの予防接種などが行われます。

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