しんこうせいきゅうまひ

進行性球麻痺

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

球麻痺とは、口や舌、咽頭の運動に関わる脳神経が、何らかの原因により障害されて起こるさまざまな症状のことです。これらの脳神経の核となる部分は、脳の中の延髄(えんずい)と呼ばれる部位にあります。延髄は丸いボール状の形をしているため、「球」麻痺と呼ばれるのです。

脳卒中脳腫瘍など、脳の病気で球麻痺が起こる場合、多くは手足の麻痺など球麻痺以外の症状も同時に起こります。球麻痺症状のみが起こり、次第に悪化していく病気を進行性球麻痺と呼びます。

進行性球麻痺の予後は不良で、2年以内にALS(筋萎縮性側索硬化症)という神経難病に移行することが多いです。

原因

進行性球麻痺は、延髄にある舌咽神経、迷走神経、舌下神経の神経核が障害されることで起こります。人の体には、左右それぞれに支配する神経線維と神経核があります。球麻痺では、左右両方の神経核が障害されます。その結果、咽頭部、喉頭部、食道にいたる広範囲な部位の運動が障害されてしまい、球麻痺が生じます。

進行性球麻痺は、ALS(筋委縮性側索硬化症)、ギランバレー症候群、多発性硬化症重症筋無力症などに併発することが多いです。ギランバレー症候群は感染症をきっかけに発症し、多発性硬化症や重症筋無力症は自己の免疫が誤って自身を攻撃することで起こるといわれています。

ALSがどのようにして発生するのかは、まだ正確には解明されていません(2018年2月時点)。

症状

延髄の脳神経核が障害されることにより、咽頭部から喉頭部、食道の広範囲の筋肉が萎縮します。これにより、言葉を話しづらくなったり、食べ物などの飲み込みが悪くなったりします。特に舌が萎縮するのが特徴的です。また、重症化した場合には、呼吸障害や誤嚥による肺炎、食事量低下によるるい痩などの状態になることもあります。

検査・診断

進行性球麻痺は、ALSの症状のひとつであることが多いです。検査は非常に難しく、診断もスムーズにつけられないケースが多い病気といわれています。

(1) 筋電図検査

舌の筋肉に細い針を刺して筋肉の電気的な運動を調べる検査です。進行性球麻痺では、ほとんどの場合に舌が萎縮します。そのため、筋電図検査で異常を発見できることが多いです。

(2) 末梢神経伝導検査

舌の末梢神経に電気刺激を与え、起こる筋肉の反応や神経活動電位から、末梢神経の機能を調べます。

(3) 筋生検

舌の筋肉の組織を採取して調べる病理検査です。神経に変性があるかどうかを調べることができます。

(4) 血液検査

血液検査では、特異的な所見はありませんが、CKの軽度上昇が見られることがあります。

(5) 頭部CT、MRI

麻痺の原因となる病変が脳にないかを調べます。また、矢状断像では舌の萎縮が観察することができます。
(1)~(5) の多くの検査と舌の萎縮などの臨床所見を総合的にみて、診断がつけられます。

治療

現時点では、進行性球麻痺の治療は確立されていません(2018年2月時点)。進行性球麻痺の原因が、ギランバレー症候群や重症筋無力症多発性硬化症などの場合にはステロイド大量療法や血漿交換療法などを行うことで、症状が軽快することがあります。

最も多い原因であるALSは、根治を目指す有効な治療法がありません。そのため、進行していく症状に対する治療(対処療法)を行って、QOL(生活の質)の改善を目指します。

進行性球麻痺では、急速に呼吸障害が起こることがあります。この場合には、気管切開など、呼吸をサポートする治療を行います。

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