べんちゅうしょう

鞭虫症

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

鞭虫症とは、寄生虫の一種である鞭虫が消化管に寄生することによって引き起こされる病気です。

衛生環境が整っていない不衛生な場所で感染が起こることがあり、世界的にみると数十億人規模で鞭虫の感染が起こっていると推定されています。

鞭虫症に感染すると、腹痛や下痢などの消化器症状がみられることがあります。重症になると血液まじりの下痢、それに関連した貧血などが生じることもあるため注意が必要です。

原因

原因となる寄生虫の卵によって土壌が汚染されると、野菜や果物にも卵が付着する可能性があります。こうした食べ物を調理不十分な状態で摂食することが原因となり、鞭虫の寄生が成立します。

体内に取り込まれた鞭虫の卵は、小腸のなかで孵り大腸へと移動します。大腸へ移動した鞭虫は、盲腸や上行結腸(大腸の一部)などの粘膜にしっかりと付着し、その場に留まろうとします。

また感染後に消化管内の鞭虫は消化管内で卵を産みつけます。鞭虫は1日に数千から数万個の卵を産むため、大量の卵が糞便と共に体外へと排泄されることになります。環境中へと排泄された卵は、およそ3週間の経過で感染性を持つ卵へと変わります。

症状

軽度の場合は、特に症状が現れないこともあります。しかし鞭虫の量が多い場合には、下痢や腹痛などの消化器症状が現れます。便の状態は粘液や血液まじりだったり、水様性の下痢だったりとさまざまです。血液まじりの便が繰り返されると徐々に貧血が進行することがあり、顔色不良・動悸・疲れやすさなどといった症状が現れます。

鞭虫症は成長期の小児にも発症することがあり、消化器症状や貧血が続くことで、成長が遅れたり認知発達に支障が生じたりすることがあります。

また鞭虫が盲腸や直腸などに寄生すると、直腸脱虫垂炎などを生じることがあります。直腸脱では、直腸が体外に出てきてしまい肛門周囲に異物を感じるようになります。虫垂炎は、食欲不振心窩部(しんかぶ)周囲の不快感からはじまり、右下腹部の痛み、発熱などが典型的な症状です。

検査・診断

診断は、糞便を用いておこなわれます。

便中に含まれる卵を顕微鏡下で観察することで鞭虫症の診断が可能です。ただし鞭虫症の症状は鞭虫の量によって大きく異なるため、軽度の場合は診断がつきにくいことがあり、注意が必要です。

直腸脱が起きている場合には、直腸鏡を用いて肉眼的に鞭虫の存在を確認することもあります。虫垂炎を発症している場合は、エコー検査やCTなどの画像検査、血液検査などが検討されます。また貧血を確認するために、血液検査を用いてヘモグロビンなどの測定を行います。

治療

治療は駆虫薬を用いて行われます。基本的に3日間ほどの内服が推奨されています。

妊娠中の場合は薬の使用に考慮が必要となるため、医師に相談することが大切です。

予防

鞭虫の寄生を防ぐために予防策を講じることも大切です。

汚染が疑われる食べ物を摂食することはできる限り避けましょう。もし摂食する場合には、しっかりと洗う、加熱処理を徹底する、などの方法をとることが大切です。

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