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21-水酸化酵素欠損症

最終更新日:
2024年10月29日
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2024/10/29
更新しました
2018/09/12
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概要

21-水酸化酵素欠損症は、先天性副腎過形成(congenital adrenal hyperplasia: CAH)を生じる病気の1つです。先天性副腎過形成は、コレステロールからコルチゾルと呼ばれるホルモンをつくるまでの過程に異常があることによって生じる遺伝性疾患で、6つの病気が知られています。

21-水酸化酵素欠損症は先天性副腎過形成全体の90%以上を占め、日本では18,000人から19,000人あたり1人に生じるとされています。CYP21A2遺伝子と呼ばれる遺伝子の異常により生じます。

21-水酸化酵素欠損症は、ホルモンである糖質コルチコイド(コルチゾル)、鉱質コルチコイド(アルドステロン)の不足と、男性ホルモン(アンドロゲン)の過剰の、大きく分けて2つの原因によって引き起こされるさまざまな症状と理解することができます。

新生児の検診(新生児マススクリーニング)で検査される病気であるため、国内の大半の患者は新生児期に発見され治療が開始されます。

原因

副腎は文字どおり腎臓のすぐ上にあり、コルチゾル、アルドステロンという生命維持に関わる2種のホルモンをつくります。これらはコレステロールを原料に、複数の酵素による反応を経てつくられますが、先天的に21-水酸化酵素をもたず、コルチゾル、アルドステロンをつくれなくなった状態を21-水酸化酵素欠損症と呼びます。

コルチゾルやアルドステロンがつくられなくなると、生命を維持しようとして副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の分泌量が増加し、その影響で副腎が大きくなります。この状態を過形成と呼びます。

また、コルチゾルとアルドステロンがつくられない代わりに、本来は副腎であまりつくられることのない男性ホルモンが大量に産生されます。

症状

副腎不全(副腎クリーゼ)

コルチゾルの不足により、副腎不全(副腎クリーゼ)と呼ばれる状態になることがあります。副腎クリーゼは年齢や性別を問わず発症する可能性があります。発熱や倦怠感(けんたいかん)、腹痛や嘔吐などさまざまな症状を生じますが、特徴的な症状はありません。命に関わる状態にもなるので注意が必要です。

通常は内服治療(コルチゾルの薬剤としてヒドロコルチゾンによる治療)ができていれば問題となることはありませんが、感染症や大きな身体的ストレスがかかる場合には通常の内服量では足りないため、急激に副腎クリーゼが生じる場合があります。

低身長

性別を問わず、小児期に過剰な男性ホルモンに慢性的にさらされることが原因で、最終身長(大人になったときの身長)が低くなることがあります。男性ホルモンや女性ホルモンは二次性徴を促しますが、治療が不足し男性ホルモンが過剰となると、骨は成熟が進み最終的には早期に骨端線が閉じ、低身長となります。

女性における症状

女性患者の場合には、男性ホルモンが大量につくられることでさまざまな問題が生じます。

外性器の男性化

男性ホルモンが大量につくられた結果、その作用として胎内で外性器が男性化し、男性か女性かの判別が難しい外性器となります。

そのほかの男性化

小児期以降には、男性ホルモンの影響で、毛髪や体毛、皮膚、声帯の男性化、陰核の肥大などを生じます。男性化は一度生じた場合、完全には元に戻りにくい症状もあるため注意が必要です。

妊娠可能性

子宮や卵巣は正常に保たれているため、適切な治療を受けていれば、妊娠出産は可能とされています。

男性における症状

 適切な治療を受けられなかったり病気が悪化したりした場合などには、精子の形成がうまく機能しなくなり、妊娠可能性が低下します。

検査・診断

日本では新生児マススクリーニングまたは外性器の男性化(女性の場合)でみつかる場合がほとんどです。

スクリーニングはあくまで疑いがある人をみつけることが目的であり、最終的な診断は血液検査や尿検査などの詳細な検査によって行われます。遺伝子検査も確定診断には有用です。

治療

副腎クリーゼの予防と男性ホルモンの分泌抑制を目的として、本来副腎皮質で産生される糖質コルチコイド、鉱質コルチコイドの薬剤による薬物療法を行います。

糖質コルチコイド

ヒドロコルチゾンという薬剤などが、新生児期の治療から成人期の治療まで使用されます。薬の種類や投与量などによっては副作用が起こる可能性もあるため、医師の管理のもと、患者の状態などにより使い分けられます。

ストレス時(体調不良など)の内服

手術、外傷や火傷、歯科治療、高熱を伴う感染症などの身体的ストレスに対して、必要なコルチゾルの量が増加します。21-水酸化酵素欠損症ではコルチゾルが正常に分泌されないため、通常の薬物療法に加えて注射や点滴などで投与を行うことで副腎クリーゼの発症を防ぐ必要があります。

投与量はストレスの種類や程度にもよりますが、普段と同じ量を投与することも、3~4倍の量を投与することもあります。

鉱質コルチコイド

体内の塩分や水分の量は、多くは鉱質コルチコイドで調節されており、それを補う目的で薬剤(フルドロコルチゾン)を使用します。

外科的治療

21-水酸化酵素欠損症の女性患者は、副腎で過剰につくられる男性ホルモンの影響で外性器が男性化しており、外観や性機能の問題などから手術を行うこともあります。なお、子宮や卵巣は正常に保たれているため、適切な治療などを行うことで妊娠出産が可能です。

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