A群β溶血性レンサ球菌性咽頭炎(溶連菌感染症)とは主に化膿レンサ球菌に感染することにより、喉の奥にある咽頭や扁桃などの上気道が炎症を起こす病気です。主な症状は急な発熱や体のだるさ、喉の痛みなどで、時に嘔吐が現れることもあります。
このページでは、溶連菌感染症の治療方法や診断後の生活の注意点などについてお伝えします。
溶連菌感染症とは、主に化膿レンサ球菌に感染することによって急な発熱や体のだるさ、喉の痛みなどの症状が現れる病気です。大人から子どもまでかかる可能性がありますが、好発年齢は3~15歳といわれ、特に子どもがかかりやすい病気といえます。
また、1年を通じてみられる感染症ですが、流行期は冬から春にかけてといわれており、流行期には家庭や学校などで集団感染が生じることもあります。
咽頭炎を引き起こす病原体には、ウイルスや細菌などさまざまな種類があります。病原体によって治療が異なるため、診断の際には検査によって病原体を同定することが大切です。
症状などから溶連菌感染症が疑われた場合、咽頭粘液を使用して迅速診断キットや菌の培養による検査が行われます。一般的には、迅速診断キットで検査を行った後、必要に応じて菌の培養による検査が追加で行われることがあります。
溶連菌感染症と診断された場合、抗菌薬による治療が行われます。抗菌薬の種類は第一選択としてペニシリン系抗菌薬、次いで第1世代セフェム系抗菌薬が検討されます。
また、アレルギーによってペニシリン系抗菌薬の使用ができない人の場合、マクロライド系抗菌薬が検討されることもあります。ただし、A群レンサ球菌の中にはマクロライド系抗菌薬への耐性を持つものも10~20%存在するといわれているため、マクロライド系抗菌薬を使用する際には事前に薬剤感受性検査を行う必要があります。
抗菌薬を服用する際は、必ず医師や薬剤師に指定された分量を飲み切るようにしましょう。溶連菌感染症では、ペニシリン系抗菌薬の場合は10日間、第1世代セフェム系抗菌薬では5日間は確実に服用することが必要です。
途中で服用をやめてしまうと、A群レンサ球菌の感染症特有の合併症として知られる“リウマチ熱”にかかるリスクが高まるといわれています。症状が和らいできた場合でも自己判断で服用をやめず、抗菌薬の服用を継続してください。
溶連菌感染症と診断されたら、症状があるうちは学校や仕事などを休み、自宅で安静にすることを検討しましょう。学校保健安全法では、溶連菌感染症は第3種感染症のうち「その他の感染症」と分類されており、状況によっては出席停止の措置をとることもありますので、都度医師や学校の指示に従うようにしましょう。
溶連菌感染症では抗菌薬を服用すると24時間以内に症状が和らぎ、感染性も低下することが一般的です。出席停止の措置をとった場合でも、有効な抗菌薬による治療を開始してから24時間以上を経過すれば、登校(登園)再開してよいとされています。また、前述のように症状が和らいでも抗菌薬の服用は続けるようにしましょう。
溶連菌感染症に罹患してから2週間前後たって、まれではありますが“急性糸球体腎炎”を発症することがあります。肉眼的血尿(真っ赤な尿)が出たり、まぶたや足などがひどくむくんでしまったりした場合には、すぐに医療機関を受診しましょう。
また、溶連菌感染症と同じ化膿レンサ球菌による感染症として、猩紅熱が挙げられます。
猩紅熱とは喉の痛みや発熱とともに皮疹や顔の紅斑、口角炎などの症状がみられる病気です。皮疹は首や腋、鼠径部から全身に広がった後5〜6日程度で消失し、手先の皮膚などが剥がれ落ちることもあります。溶連菌感染症同様、ペニシリン系の抗菌薬を10日以上服用することによって治癒が期待できますが、ごくまれに腎機能障害を併発することがあるため、長期的に様子を見ることが大切です。
抗菌薬の開発により、現在、猩紅熱は重症化に至る確率が低い病気として認知されています。しかし、かつては後遺症を残す病気として恐れられていました。たとえば、高熱で聴覚や視覚を失ったとされるヘレン・ケラーは、猩紅熱を原因とする髄膜炎を理由に聴覚や視覚を失ったと考えられています。
溶連菌感染症や猩紅熱をはじめとする化膿レンサ球菌による感染症は、ペニシリン系抗菌薬が登場するまで重症な細菌感染症として捉えられていましたが、現在ではほとんどが抗菌薬を服用すれば治癒が見込める病気として認知されています。
急な発熱や体のだるさ、喉の痛みなど溶連菌感染症を疑う症状が現れた場合には、内科や耳鼻科の受診を検討しましょう。子どもの場合には小児科を受診してもよいでしょう。
なお、診断後は決められた期間、抗菌薬を継続的に服用するようにしましょう。
鎌ヶ谷総合病院 小児科 部長
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