概要
猩紅熱とは、A群溶血性レンサ球菌によって引き起こされる感染症です。幅広い年代で発症しますが、特に小児に多くみられます。感染経路としては、主に感染者との濃厚接触が挙げられます。
A群溶血性レンサ球菌に感染すると、急な発熱や喉の痛みを伴うA群溶血性レンサ球菌咽頭炎から始まり、この細菌が出す発赤毒という毒素に免疫のない一部の方は、全身症状が現れる猩紅熱を発症します。特徴的な症状として、 発熱の12~24時間後に全身に赤い点状の紅斑や日焼け後のような発疹が出現し、主に首や腋の下、足の付け根(鼠径部)から始まって全身に広がります。また、舌は「イチゴ舌」と呼ばれる赤くぶつぶつした状態になります。発疹は全身に広がったあと、1週間程度で消失し始めます。
治療では、主にペニシリン系抗菌薬の内服による薬物療法が行われます。適切な治療により症状を改善させることで、心臓に炎症を引き起こすリウマチ熱などの合併症のリスクも軽減することができます。症状が改善しても自己判断で処方された薬を中止せず、最後まで服用することが重要です。
原因
猩紅熱は、A群溶血性レンサ球菌に感染することにより発症する病気です。感染経路には、感染者の咳やくしゃみなどのしぶきに含まれる細菌を吸い込むことによる飛沫感染と、細菌が付着した物に触れることによる接触感染があります。この細菌は日頃から人の鼻や喉などの粘膜、皮膚などにみられますが、どのようなメカニズムで猩紅熱を引き起こすかは明らかになっていません。A群溶血性レンサ球菌は症状が出始める初期に感染力が強く、そのため家庭や学校などで感染が拡大しやすい傾向があります。
症状
猩紅熱は、感染から2~5日の潜伏期間後に特徴的な症状が生じます。発症初期には、発熱や喉の痛み、全身の疲労感、嘔吐などの症状が現れ、患者の喉の奥(咽頭)や扁桃が腫れます。特に注目されるのは、舌が赤くブツブツと腫れるイチゴ舌の症状です。
病気の初期段階では、舌が白い苔のようなもので覆われ、その後この苔が剥がれ落ち、赤く腫れたイチゴ舌へと変化します。顔の皮膚には通常発疹は現れませんが、頬や額は赤くなり、口の周りは青白くなるのが特徴的です。
発熱や喉の痛みなどの初期症状が現れてから12~24時間後、点状の赤い斑点や日焼け後のような発疹が皮膚に現れます。これらの発疹は腋の下や首、足の付け根に発生しやすく、線状に見えることもあります。触れるとザラザラとした感触があり、紙やすり状とも言われます。発疹は1週間程度で治まりますが、その後、体の皮膚がめくれて剥がれ落ちるようになります。
検査・診断
猩紅熱が疑われる場合には、A群溶血性レンサ球菌の感染の有無を確認するため、細菌の培養検査や抗原検査が行われます。咽頭を拭って採取した検体を用いて、感染源となる細菌の有無を調べます。
治療
猩紅熱の治療の第一選択はペニシリン系の抗菌薬の内服です。ペニシリンにアレルギーがある患者の場合は、エリスロマイシンなどの代替薬が使用されます。抗菌薬は通常10日間服用し続ける必要があり、症状が改善しても医師の指示に従って薬を飲みきることが重要です。これらの抗菌薬を一定期間内服しても除菌が認められない場合には、ほかの薬剤に変更することもあります。
予防
猩紅熱の予防には、感染者との濃厚接触を避けることが重要です。手洗いやマスクの着用、アルコール消毒なども感染予防に有効です。食事の前後ではこまめに手を洗い、消毒するようにしましょう。また、感染者と同じ食器を使用したり、同じ皿から食べ物を食べたりしないよう注意が必要です。
猩紅熱は、適切な治療を受けることが重要です。猩紅熱の症状がみられた場合には早めに医療機関を受診しましょう。
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