そくわんしょう

側弯症

同義語
脊柱側弯症,脊椎側弯症
最終更新日:
2024年03月21日
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2024/03/21
更新しました
2021/10/18
更新しました
2017/04/25
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概要

側弯症とは、本来なら後正面(背後)から見ると真っ直ぐに並んでいる脊椎(せきつい)(背骨を構成する骨)が捻じれて左右に曲がっている病気のことです。もっとも大きく傾いている背骨のコブ角*が、10度以上だと側弯症と診断されます。発生頻度は1~2%程度であり、男子より女子に発症しやすいとされています。

側弯症の原因はさまざまなものが挙げられますが、もっとも多いのは原因がはっきりしない“特発性側弯症”で、全体の約8割を占めます。特発性側弯症は思春期の女子に多く発生することが知られています。そのほか、筋肉や神経の病気なども側弯症を引き起こすことが知られており、姿勢の悪さなども側弯症の原因になることがあります。

発症すると、肩や腰の高さに左右差が生じる、胸の形が変化するなど、さまざまな症状が現れます。背骨の曲がり方が緩やかな場合は少しの不快症状しか生じないこともありますが、曲がりが強い場合では慢性的な腰や背中の痛み、心臓や肺の圧迫による機能低下を引き起こすことがあります。また、“見た目”にも深刻な影響を与えるため、側弯の程度に応じて、進行を防止する装具の使用や手術などの治療を行います。

*背骨を構成する椎骨のうち、もっとも大きく曲がっている上下2つの椎骨から線を引き、2本の直線が交差する角度。

原因

側弯症は、“機能性側弯症”と“構築性側弯症”という2つのタイプがあります。

機能性側弯症は、姿勢の悪さや痛みなどが原因で骨盤が傾くことなどによって背骨が曲がって見えるようになるタイプのものです。背骨自体に異常はないため、姿勢を矯正することなどによって改善することができます。また、このタイプの側弯症は慢性的な腰痛や下肢の痛みをかばう体勢を続けることで発症することも少なくありません。

一方、構築性側弯症は背骨自体に捻じれなどが生じて発症するタイプのものです。はっきりした発症原因は分からないことが多いですが、近年では特定の遺伝子が発症に関与しているとの報告も上がっています。

ほかにも、神経や筋肉、背骨の形自体の生まれつきの異常、マルファン症候群など体を作る組織に異常を引き起こす病気も側弯症の原因になることがあります。

また最近、変性側弯症が増加しています。変性側弯症は主に加齢により椎間板が変性した上に、肉体労働や生活習慣によって側弯が惹起されて発症します。また特発性側弯症の症状が長い期間続いたり、増悪したりした場合も変性側弯症に含まれます。すべり症や脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)を合併することが多く、高齢化に伴い患者数は年々増加しています。

症状

背骨が捻じれて左右に曲がります。軽度な変形の場合は自覚症状がほとんどないことも多いですが、背骨の変形が強くなると肩の高さや腰のくびれが左右不均一になり、肩甲骨が突出するなど“見た目”に大きな影響を及ぼします。また、体幹のバランスが悪くなったり、骨盤が傾きやすくなったりすることで背中や腰の痛みも現れるようになります。

さらに背骨の変形が進むと肋骨(ろっこつ)も変形していくため、胸を圧迫して心臓や肺の機能が低下するケースもあります。

変性側弯症では、腰部脊柱管狭窄症の症状である間欠跛行(かんけつはこう)や下肢しびれ、排尿障害なども現れます。

検査・診断

側弯症が疑われるときは次のような検査が行われます。

視診

側弯症の診断では、背骨の状態を確認することが大切です。

前かがみの姿勢をした状態で背面から背骨の状態を確認します。左右片方の背中や腰が盛り上がって見える“ハンプ”と呼ばれる症状が認められると側弯症が疑われます。

画像検査

背骨や肋骨の変形の有無や程度を調べるため、X線検査、CT検査、MRI検査などの画像検査が必要となります。また、機能性側弯症は腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニアなどの病気が原因となることもあるため、必要に応じてそれらの病気の有無を調べる画像検査が必要になることがあります。変性側弯症では、すべり症や脊柱管狭窄症を調べるため、MRI検査などが必要になります。

血液検査

側弯症は、マルファン症候群など何らかの病気が原因となって引き起こされることがあるため、病気が原因と考えられるときにはそれぞれに合わせた診断のために血液検査を行うことがあります。

治療

特発性側弯症は、軽度の場合は定期的な経過観察を行うだけでよいケースもあります。

しかし、側弯症は年齢が上がると背骨の曲がりが進行することもあり、そのような場合には骨が成長している段階である15歳以下の時点で側弯の進行を防止するために装具を着用する治療が行われます。装具の種類は、体幹全体を固定して支えるタイプや、骨盤ガードル・頭部を支えるネックリング・パッドの3点支持で姿勢を保持するタイプなどがあり、側弯の位置や度合いなどによって選びます。装具は入浴や運動しているとき以外は一日中装着し、骨の成長や側弯の進行が止まったと判断されたら装具治療は終了となります。

一方、装具を用いても背骨の曲がりが進行していく場合や進行が予想される場合は、将来的な心臓や肺機能への影響、整容面などを考慮して背骨の形を矯正する手術を行うことがあります。

加齢による変性側弯症では、症状に応じて、除圧術や矯正固定術が選択される場合もあります。

予防

側弯症ははっきりした原因が分からないケースも多いですが、機能性側弯症は姿勢の悪さや椎間板ヘルニアなどの病気が原因で引き起こされます。そのような場合は、側弯症が進行する前に姿勢を正すためのトレーニングをしたり、原因となる病気の治療を行ったりすることで側弯症の発症を予防することが可能です。

また、原因がはっきり分からない場合や生まれつきの病気が原因の場合は、進行を抑えるためにできるだけ早く専門的な経過観察や治療を受けることが大切です。

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側弯症を得意な領域としている医師

  • 独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)東京新宿メディカルセンター 副院長 脊椎脊髄外科 主任部長

    • 側弯症
    • 脊髄腫瘍
    • 後縦靱帯骨化症
    • 腰部脊柱管狭窄症