岐阜県高山市に病院を構えるJA岐阜厚生連 飛騨医療センター 久美愛厚生病院(以下、久美愛厚生病院)は、病院名の通り、地域の皆さんに“久しく、美しく、愛される”病院を目指しています。その一環として、救急医療や予防医療、緩和ケアなど地域の皆さんが必要とする医療の提供に尽力しています。
同院の歩みや診療内容などについて、病院長である堀 明洋先生にお話を伺いました。
当院は、地域の皆さんに求められる形で1939年10月に開院いたしました。当院の位置する岐阜県高山市は、冬は雪に閉ざされてしまう地域です。そのため、病院に患者さんが来られないほど雪深い場所もあるため、開院当初は医師が馬車や自転車で患者さんの自宅へ訪問し、診療を行っていました。そういった活動や思いが、検診車で地域や企業を回って、健康維持をサポートする今の活動に受け継がれています。
現在病院を構える場所に2012年5月に新築移転した折に、新たに緩和ケアセンターや医療介護センターなどを設置しました。これにより、医療のみならず介護の側面からも地域の皆さんを支えられる体制を整備いたしました。これからも当院は、地域の皆さんの声に応えるべく、病院をさらに発展させてまいります。
当院の病院名である“久美愛”には、「地域の皆さんに久しく美しく愛されるように」という思いが込められています。また、当院のロゴは患者さんと病院のスタッフが手を添えている様子をハートの形で表しています。まさに病院名やロゴが示すように、当院は、患者さんに寄り添いながら地域に根差した医療を提供するために日々努力を重ねています。
積雪3mを越える特別豪雪地帯で山間部の集落が多いこの地域には、何かあったとき、すぐに病院を受診することが難しい方もいらっしゃいます。そこで当院では、体調が悪くなる前に病気を見つけて治療につなげたいという考えのもと、保健師が中心となって地域の皆さんに向けて予防の重要性を発信しています。
二次救急医療機関である当院は、地域の一次救急ならびに二次救急を担っています。そのため、外来で対処できる軽度の救急医療から入院や手術を必要とする救急医療まで対応可能です。
循環器疾患に関しては、緊急の心臓カテーテル治療も行っています。心臓カテーテル治療とは、狭くなったり詰まったりしている血管を、手首や足から挿入したカテーテルという管で広げる治療です。開胸を必要としない治療であるため、患者さんの負担を軽減させることができます。
地域の皆さんから設置を求める声をいただき、開設した緩和ケアセンターでは、がん患者さんの体と心の負担をやわらげる治療を行っています。
がん患者さんは、治療に伴う体の痛みや不安な思いを抱えています。緩和ケアセンターでは、患者さんが感じている苦痛を少しでも減らすために、医師や看護師をはじめとするスタッフがチームで治療にあたっています。当センターでは、がん患者さんが治療を続けながら住み慣れた地域で生活を送れるようにさまざまな側面からサポートしています。
循環器内科では、狭心症や心不全などの心疾患を抱える患者さんに対して、心臓リハビリテーションを行っています。運動療法や生活指導などのリハビリテーションを通して、患者さんが身体機能を回復し、日常生活を送れるようにすることに重きを置いています。
特に手術後の患者さんに関しては、生活の質を向上させることを熟慮し、患者さんに応じたリハビリテーションを提供しています。
当院では、地域の皆さんが治療や介護などの多様な悩みを相談できる場として、医療介護センターを設けています。医療介護センターでは、どのような相談も同じ窓口で承っています。これにより、相談の内容に応じて看護師や医療ソーシャルワーカーなど複数の職種のスタッフが対応し、患者さんの悩みを総合的に解決できる体制となっています。
当院の看護師のなかには、飛騨高山地域の出身者が多く在籍しています。これは、いったん地元を離れても、「昔から関わりのある地域の方を看護したい」という思いで地元に戻ってきてくれるからです。患者さんからも、「幼い頃から知っている看護師さんが看てくれるのは、見守られていると感じられて安心できる」という声を寄せていただき、嬉しい限りです。
また、当院には公益社団法人日本看護協会認定の感染管理認定看護師、がん化学療法認定看護師、緩和ケア認定看護師など専門的な知識を有する認定看護師が、適切かつ丁寧な看護を提供しています(2020年2月現在)。
若手医師の皆さんには、地域医療を経験していただきたいと考えています。もちろん、最先端の医療を学ぶことは重要ですが、地域医療を経験することも医師人生の中で大きな経験のひとつとなるでしょう。地域医療には、医療の原点のような側面があります。ですから、当院で行っているような地域医療を経験することは、その後の医師人生に生かせる経験となると思います。若手医師の皆さんには、その時々に自分ができることを遂行し、さまざまな経験を積み重ねて、成長してほしいと願っています。
当院は、病院名に込められた “久しく、美しく、愛される”病院であり続けるために、地域の皆さんのニーズに応える形で発展してきました。医療に対するニーズは、時代の移り変わりとともに変化していきます。そのため、地域の皆さんには当院への要望や意見がありましたら、積極的にお知らせいただきたいと思っています。
これからも当院は、救急医療から緩和ケア、リハビリテーションまで多様な医療の提供を通して、どのようなときも地域の皆さんに寄り添い続けてまいります。
JA岐阜厚生連 飛騨医療センター 久美愛厚生病院 病院長
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