市立大町総合病院は雄大な北アルプスの麓の長野県大町市に位置しています。同院は地域医療の提供のために急性期医療から慢性期医療までカバーし、老人保健施設の併設、訪問診療や訪問看護など患者さんの退院後もサポートできるように連携を取っています。同院の取り組みについて、院長の井上善博先生にお話を伺いました。
1927年に大町町営病院として開院したことから当院の歴史は始まります。開院から90年以上の歴史を誇り、公立病院として地域医療の実践に従事しています。
急性期病棟から地域包括ケア病棟を経て療養病棟へと病期に応じた医療を一貫して提供し、老人保健施設、訪問診療や訪問看護も行い、患者さんの帰宅後も医療や介護でサポートします。
当院の運営を支えてくれている大町病院サポーターの会をご紹介します。大町病院サポーターの会は地域のボランティアの方々が集まり、さまざまな取り組みを行ってくれています。たとえば、院内の庭木の剪定や掃除などから、冬にはクリスマスのイルミネーションを飾り付けてもらいました。また、新しく入職した職員のために歓迎会を開いてくださったり、レクリエーションを企画してくれたりしています。地域の皆さんと職員の交流の場にもなり、より充実した地域医療を提供するために励む活力になっています。
総合診療科は、当院の強みのひとつでもあります。地域の高齢化も進み、患者さんのなかには複数の病気を持っている方や、受診するきっかけとなった症状とは別の病気の治療中である方も少なくありません。患者さんを総合的に診療する医師は今後の地域医療を支えていくうえで、とても重要な役割を担っています。
産婦人科では、良性の婦人科疾患の治療とお産に対応しています。お産では帝王切開や異常分娩については小児科と連携し、小児科の医師の立ち合いのもと出産に臨んでいただいています。また、合併症のみられる妊婦さんでは信州大学医学部附属病院、県立こども病院と連携を取って、妊婦さんが安心して出産に臨めるようにしています。
また、大町市で出産をご希望されているお母さんたちが、当院の産婦人科での取り組みを知っていただけるようにSNSを活用しています。産婦人科独自の取り組みであるマタニティヨーガ教室やお散歩の会の様子をアップしていますので、ぜひご覧ください。
地域の高齢化も進み、最期までその人らしい生活を送ることや、住み慣れた地域で最期のときを迎えることを望まれる方もいらっしゃいます。当院では、最期までご自宅での療養を希望される方や住み慣れた地域で生活したいという患者さんをサポートするために、家庭医療科を開設し訪問診療を実施しています。患者さんのご自宅だけでなく、介護施設にも訪問診療を行っています。また、在宅で医療を受けている患者さんの体調が悪くなったときなど、入院での治療が必要になった際には当院で受け入れ、再び在宅へ戻れるようにサポートします。
また、患者さんが望んだ最期の時間を送ることができるように、看取りをふくめた在宅医療にもいっそう注力してまいります。
充実した地域医療の提供を実現するためには、近隣にある北アルプス医療センターあづみ病院との機能分化が重要です。お互いの得意な分野での診療を行うとともに、お互いの診療をカバーしあうことで充実した地域医療の提供を実現できるのだと思います。
当院は信州大学医学部附属病院の臨床研修病院として総合診療科を開設し、初期研修医や専攻医を受け入れ、患者さんを総合的に診療できる医師の育成に注力しています。当院の位置する大町市は北アルプスの麓にあり、雄大な自然に囲まれたなかで研修することができます。近くにはスキー場がたくさんありますので、冬はウインタースポーツも楽しめ、公私ともに充実した生活を送れると思います。立地面だけでなく、教育面も熱意溢れる先輩医師たちがサポートしてくれますので、この大町の土地で地域医療を学んでみませんか。
総合診療科の研修では、家庭医療科と連携して訪問診療の研修も実施しています。患者さんのご自宅や老人保健施設などに訪問して、総合診療科の医師として院内外での活躍の場を経験してもらっています。実際に訪問診療を経験することで、地域医療を深く知ることはもちろん、総合診療科の医師としても多くのことを得られる研修だと思います。
若手医師の皆さんには、若いうちに切磋琢磨してほしいと思います。勉強して得た知識や経験は全て患者さんのためになります。そして患者さんのために勉強し、実践して得た経験は全て自分自身の糧になっていきます。地域医療に貢献できる医師になるための自己研鑽を忘れずに、よい医師を目指して頑張ってください。
地域の皆さんには長く病院を信頼し、支えていただいてきました。ここ数年経営状況が悪く皆さんにはご心配をおかけしてしまいましたが、平成30年(2018年)度は大幅に医業収支が改善しております。地域の皆さんからいただいた当院を激励するお言葉は今でも忘れません。当院の強みである総合診療科を中心に診療体制を今以上に充実させ、地域医療の実践に尽力してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
市立大町総合病院 非常勤職員/病院事業管理者補佐
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。