院長インタビュー

地域の救急医療に貢献する多根総合病院

地域の救急医療に貢献する多根総合病院
丹羽 英記 先生

多根総合病院 院長

丹羽 英記 先生

目次
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この記事の最終更新は2019年03月19日です。

社会医療法人きつこう会 多根総合病院(以下、多根総合病院)は、1949年に大阪市九条に創立されました。創設者である多根要之助医師は、「医療で日本の役に立ちたい」と祖国復興と地域貢献のために、同院を病床数21床で開院。その後1968年に移転し、2011年に現在の大阪市西区九条南へと新築移転、2019年3月現在では病床数304床と30の診療科を構える総合病院です。

「自分の家族を入院させたい病院になる」という理念を掲げ、設備だけでなく、医療技術と看護レベルの向上に日々努めている同院の取り組みについて、院長の丹羽英記先生にお話を伺いました。

多根総合病院外観
多根総合病院外観

当院は、二次救急指定病院として積極的に救急患者さんを受け入れています。ICU6床とHCU16床を合わせた高度急性期病床を22床有し(2019年3月時点)、地域の救急医療への貢献に努めています。

当院は、地域の皆さんに「コンビニ病院」とあだ名をつけていただいています。これは、地域の患者さんを断らず、24時間いつでも救急搬送を引き受ける姿勢を1948年に救急指定病院に定められて以来、続けてきたためです。2017年度には、救急搬送受入患者数が年間7,653 

件に到達しました(2017年4月から2018年3月まで実績)。患者さんをただ受け入れるだけでなく、患者さんが安心できる医療を提供するよう努力しています。

救急外来の様子
救急外来の様子

当院の外科では、緊急手術でもできる限り腹腔鏡手術で対応しています。

これは、救急患者さんだとしても、なるべく傷を小さく抑え、負担の少ない手術を行うという方針をとっているためです。病院スタッフみんながこの方針に共感してくれているため、腹腔鏡手術の症例もだんだんと増え、より回復が早く低侵襲な治療を提供できています。

当院は日本救急医学会の指導医指定施設に認定されています。そのため、当院で研修を受けていただくと、日本救急医学会の指導医資格を取得することができます。救急医療が盛んな当院では、実際にさまざまなことを肌で感じ、学んでいただくことが可能であると考えています。

当院は、幅広い急性期疾患に対する外科的手術を行っているため、若手の医師であっても多様な経験を積むことができます。また、当院の初期臨床研修では外科研修を6か月と定めており、外科医を志望している研修医にとても適していると考えています。

当院では1年目から救急当直に入ってもらっています。もちろん、患者さんにとって常によりよい処置を目指すことが前提です。すぐ後ろには先輩医師が付き添い、どのような状況下でも問題なく手術を行えるようフォローしています。

日帰り手術センターの面談コーナー
日帰り手術センターの面談コーナー

当院の日帰り手術センターは、1998年に開設して以来、患者さんの生活リズムをできるだけ変えずに治療に取り組む日帰り手術を実施しています。体だけでなく、精神的にも負担の少ない日帰り手術は、仕事や家事など、さまざまな理由で時間の取れない方にも喜んでいただいていると思います。

日帰り手術センターは、外科疾患では鼠径ヘルニア胆石症大腸ポリープ、肛門疾患、下肢静脈瘤、そして胃・大腸早期がんなどのがん手術まで日帰りで行うことが可能です。ほかにも泌尿器科・整形外科・形成外科・耳鼻科の病気などに対応しています。いずれも患者さんの安全と安心のために、日帰り手術の適応条件を満たしているか慎重に検討し、実施しています。

当院では、できる限り患者さんの手術をお待たせしないよう、さまざまな工夫をしています。一般的に手術室は各科の割り振り時間があり、他科の割り振り時間にはたとえ手術の予定がなくても自由に使うことはできません。しかし当院では、いつでも全診療科が手術室を使っていいという環境にしています。また、救急患者さんでなくても、24時間いつでも手術ができるようにしており、常勤の麻酔科(麻酔科標榜医:棚橋識生医師)の医師が臨機応変に対応しています。このような取り組みの結果、手術待ちの患者さんをほかの病院から紹介してもらう機会も増え、地域の医療にも貢献できていると思っています。

腹腔鏡手術の風景
腹腔鏡手術の風景

患者さんにご満足いただける医療を提供することが、当院のもっとも大きな使命です。その一方で患者さんの満足のためには「職員の満足度」がとても重要であると考えています。そのため、当院では患者さんと職員、それぞれの満足につながる取り組みを多々行っています。

当院では、患者さんの満足度を上げるために「患者満足度(CS)研修」を行っています。新入社員全員を対象に、笑顔を大切に、患者さんへの対応に高い基準を持ってもらえるよう指導しています。CSの基礎を身に付けるためには、毎日意識することが大切です。今後も患者さんに「この病院にきてよかった」と思っていただけるよう、引き続き技術のみならず質の向上にも努めてまいります。

当院ではクリスマスに、理事長がサンタさんに扮して、患者さんの部屋を回るなど、患者さんに季節を感じてもらうようなイベントも行っています。また、内向けのイベントとして、職員のお子さんなどを呼んで疑似手術体験などをしてもらう、ファミリーデーというものがあります。

このファミリーデーでは、お父さん、お母さんたちが毎日どんなところで、どんなふうに働いているのか見学してもらう職業見学という側面と、次世代を担う子どもたちが、この体験を通じて医療に興味をもってくれたらという目的があります。すでに医療従事者を目指している子どもたちには、医療に携わる将来をイメージしやすくなるという利点があると思っています。また、約600名が参加(2017年度実績)する「KHS年末大忘年会 かめフェス!」やバーベキューなど、職員の満足度も大切にしています。

2018年度「「KHS年末大忘年会 かめフェス!」の様子
2018年度「「KHS年末大忘年会 かめフェス!」の様子

丹羽先生

当院は「多根総合病院があるから、いつも安心」と言われる病院になりたいと思っています。救急医療や外科治療だけでなく、大阪府のがん診療拠点病院としての手術・検査・治療、緩和ケアまでを一貫して提供でき、災害時には災害拠点病院としての役割も果たします。また、京セラドーム大阪の西に位置する当院では、スポーツ整形外科の外来も構えています。このように、さまざまなケースで地域の皆さんの健康に貢献できるよう努めています。24時間いつでも患者さんを受け入れると共に、今後も常によりよい医療が提供できるよう職員一同努力してまいります。

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