院長インタビュー

先進的な医療と患者さんに寄り添う心で進化を続ける――東京女子医科大学病院の取り組み

先進的な医療と患者さんに寄り添う心で進化を続ける――東京女子医科大学病院の取り組み
板橋 道朗 先生

東京女子医科大学病院 病院長、消化器・一般外科 主務/教授、炎症性腸疾患外科学分野 基幹分野長

板橋 道朗 先生

目次
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東京女子医科大学病院は、東京女子医科大学の附属病院として1908年に開設された伝統ある病院です。医療者の育成に重きを置きながら、地域医療にも深く貢献しています。同院では先進医療や低侵襲治療(ていしんしゅうちりょう)の実施に力を入れ、教育と治療の両面で革新を追求し続けています。また院内学級を開設するなど、病気の治療だけにとどまらないサポートで患者さんに寄り添っています。常に新しい治療に取り組みながら、医療の発展に尽力する同院の院長 板橋 道朗(いたばし みちお)先生にお話を伺いました。

当院の母体である東京女子医科大学は、女性医療者の育成という重要な使命を担ってきた歴史ある教育機関です。その伝統を継承し、当院は医療者の教育に力を入れながら、先進医療など新しい治療に取り組むことで地域医療に貢献しています。当院の位置する新宿区はさまざまな医療機関が多く存在する地域ですが、他病院とも連携を深めながら、地域医療の強化に努めています。

また、新しい治療法の実施や開発にも注力していることから、周辺地域のみならず遠方からも多くの患者さんが訪れます。当院ではそうした患者さん一人ひとりに合わせた治療を心がけ、常に安心で質の高い医療を提供できるよう努めています。

ロボット手術
ロボット手術(画像提供:東京女子医科大学病院)

当院は患者さんの身体的な負担軽減を考え、各診療科で低侵襲な治療を積極的に採用しています。さまざまな診療科で内視鏡手術を取り入れていることはもちろん、手術支援ロボットを使用した手術も行っており、3台設置している手術支援ロボットはほとんど毎日のように稼働しています(2023年12月現在)。また循環器内科でも、従来手術が必要となっていた病気に対しカテーテルによる治療を積極的に行っています。こうした低侵襲な治療により患者さんの身体的な負担を減らすとともに、早期社会復帰も期待できます。低侵襲な治療を行うことは、急性期病院としての役割を果たすうえでも重要な要素となっています。

また当院では役職などにかかわらず、全ての医師が現場での治療に積極的に参加しています。経験値のある医師が直接治療に携わることは、患者さんの安心につながるとともに、後進の医師たちにとっては大きな学びの機会になっていると感じます。このように、当院では常に新しい医療技術と幅広い経験を持つ医師の知見を融合させることで、患者さんに良質な医療を提供できるよう努めています。

Hyper SCOT
Hyper SCOT(画像提供:東京女子医科大学病院)

当院は2019年から、“Hyper SCOT”という革新的な治療室を導入しています。このシステムでは、MRIを中心に約20種類の機器を組み合わせて使用しており、それらをネットワークで接続しています。この技術により、術中にMRI画像や器具の位置情報、患者さんの生体情報をリアルタイムで確認することができ、手術の進行と患者さんの状態を総合的に把握することが可能となります。また、手術中に収集された情報は、治療の改善に役立つ貴重なデータベースとして活用されます。このシステムにより、手術の精度と安全性のさらなる向上が期待できます。

当院では患者さんの安全を第一に考え、定期的にハイリスク症例検討会を実施しています。この会議では、リスクの高いケースに対して、医師や看護師、薬剤師などの多職種が集まり、治療方針や術後管理の方針まで慎重に決定しています。週に2~3回のペースで行われているこの検討会は、難度の高い新規医療などを実施するうえでも、安全性を確保するための重要なプロセスとなっています。

院内学級

 

院内学級
わかまつ学級(画像提供:東京女子医科大学病院)

当院には、慢性疾患や臓器移植を待つ小児の患者さんも多く、そうした子どもたちは長期間の入院を余儀なくされることも少なくありません。そうした長期入院の子ども(小学生)を対象に、近隣の新宿区立余丁町小学校の特別支援学級という形で“わかまつ学級”という院内学級を設けています。入院生活の中でも学びを続けることで、病気と向き合いながら日常の一部を保つことができます。ただ単純に患者さんを治療するということだけでなく、満足して元の生活に戻ってほしいという思いから取り組んでいます。また、教育面だけでなく心のケアや社会復帰支援なども大切だと考えています。こうした取り組みを含め、これからも治療に限らず幅広く豊かなサポートを提供できるよう、患者さん一人ひとりに寄り添っていきたいです。

板橋 道朗先生当院は、患者さんに寄り添いながら発展を遂げてきた病院です。これからも地道な努力を続け、患者さんに信頼され選ばれる病院であり続けたいと考えています。そのため、職員全員が一丸となり、当院をよりよい病院にするために日々前進しています。

人材の育成や充実はもちろん、医療機器や施設などのハード面の充実を図ることも積極的に行っていきたいと考えています。また、患者さんに高度な医療を提供し続けることが私たちの使命の1つであるため、新たな治療法の提供から開発までを担うことにも、変わらず力を注いでいきます。当院は、これからも患者さんと共に歩み、医療の進歩に貢献し続けることで医療の未来を創造していきます。

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